40 / 154
地獄はまだ一丁目だったようです
しおりを挟む
部屋の中は畳だが座椅子も設置してあるというのに、なぜに正座何だろうか。
それもただの正座でもなくて、膝を左右に広げて手を握り太ももに置く感じ……
侍?うん、侍みたいな感じだ。
何かの決まりか何かだろうか、誰1人として、男も女もみんな同じ格好で崩れていないんだよね。
夏の渥美で見かけた顔ばかりだけど、儀に参加していたメンツでもないから、1~2歳上って感じだろう。
その誰もが……いや、若干1名を除いた9名がこちらをジロリと睨んでいる。
睨んでいる面々は、夏にも睨んできていた人たちだ。
面倒くさそう……だけど、今日は全く気にならないっ!
なぜならその睨んでいない、唯一の人が女性で、しかも最近売り出し中のグラビアアイドルの朝宮エミちゃんである。
ちょっと童顔で、まるでクラスの学級委員長的な真面目な雰囲気なのに、脱いだら凄いというギャップがたまらないボディだ。
夏休み前に雑誌の表紙で見たので、しっかり覚えている。
そんな子が、俺を見てちょっと微笑みながら頭をぺこりと下げてきたのだ、他の有象無象の目付きなんて気になるわけがないっ!
何しにここへ来たのかは全くわからないけれど、エミちゃんに会えただけでもここに来たかいがあるってもんだね。
さてとりあえず座ろうかと思うけれど、俺も侍のように座らなければいけないのだろうか?
見た感じ座椅子は人数分以上にあるようだし、指示も受けていないから座らせて貰おう。
んっ?なんだ?
睨んでいる面々の顔が、いやらしく歪んだぞ?
これは……「やらかしやがった、怒られればいい」って感じかな?
ダメなのかな……でもな、何も指示されていないから知らないし、今更ここで正座し直すのもカッコ悪いしな。
そう思っていたら、エミちゃんがこちらを見てから立とうとして、隣の人に手を引っ張られて止められている。
おそらく「教えてくる」「やめときなよ」とかそんな感じなんだろうな~
まぁどっちでもいいけど、なぜにここまで敵視されないといけないのだろうか?
望んでもいない、クソ忍者の直弟子にされたというだけなのに。
全く、代わってくれるなら代わって欲しいくらいなのにさ。
魔法袋を預けているので何をすることも出来ないので、ただただ居心地悪いままにぼっーと過ごす事となった。
そして体感20~30分経った頃……
襖がすすっと音もなく開いたと思ったら、誠三さんが顔を出した。
「横川くん、若様がお呼びだ」
「あっ、はい」
誠三さんが「若様」と言った瞬間、また部屋内の空気が尖った感じがしたのは気のせいではないだろう。
みんな大好きだね~クソ忍者。
あっ、そうだ、座椅子じゃなくて正座する意味を聞かなきゃ。
「何か皆さん正座してますけど、何か決まりでもあるんです?」
「あぁ~彼らは組長の付き人として来ているから、待っている間は身を正しくしてって感じだと思うよ。まぁ明確な決まりはないから、だらけていなければ別にどのようにしていてもいいんだけどね」
納得した。
納得したが、幾人かが「えっ?」って顔して驚いている……
もしかして意味わからず正座していたのだろうか、それってどうなんだろう。
きっと代々の習わしとかなんだろうね……真意が伝わらず、形だけの継承。
よくある話だね。
そして俺が怒られると期待していた人たちにとっても、残念なお知らせとなったようで肩を落として……いない、更に目付きを鋭くしているようだ。
逆恨みもすぎるわっ!面倒くさいな、もう!
誠三さんに促されて案内された場所は、虎と龍が睨み合っている水墨画が描かれた豪華な屏風のある部屋だった。
屏風の前には組長10人と、夏に見た事があるような気がしないでもない2人の男性とクソ忍者が、まるで坊さんが座るような分厚い座布団の上に座ってお茶を飲んでいた。
何この場所……
あの屏風とか怖すぎるんですけど!?
やっぱりヤクザ組織と言われても納得出来る雰囲気だ。
「よく来たな、まぁ座れ」
全員が見える、クソ忍者の正面に同じ座布団とお茶が用意されたので座る。
一体何が始まるんだろうか、嫌な予感しかしない。
「来て貰ったのは他でもない、この者らを紹介しようと思ってな」
「私はこの度、武術班組長となりました、山岡誠一です、以後よろしく」
「同じく武術班組長になった、鬼頭英太だ、よろしく」
「組長?」
組長はハゲヤクザと鬼畜治療師だったはずだが?
そういえば、この度なったとか言ってたから、代替わりなのかな?
どちらにしても、なぜに俺を呼びつけてまで紹介するんだろう。
「わしと近松のは引退だ」
「お疲れ様です」
引退という事はだ、これまでの地獄のような訓練にも来ないって事かな?
「山岡のジジイと近松と俺は、これからお前のパーティーメンバーとなる」
「……えっ?」
えっ?
今なんて言った?
パーティーメンバーだって??
ちょっ!?
何勝手にそんな事が決まってるの!?
俺は如月先輩と一緒に潜りたいのに!!
「まぁまだお前は学校があるから、本格的に潜るのは春からになるがな」
いや、そんな事聞きたい訳じゃないんですよっ!
「組長の仕事は引き継いだからの、これから春に向けて、本格的にお主を鍛えてやれるぞ」
本格的って何ですか?
これまでよりも酷い修行になるって事ですか?
「東《あずま》、瓦崎《かわらざき》、ここへ」
新しい名前が出てきたと思ったら、横の襖が開き2人の洋服姿の男女が出てきた。
「横川、これらの顔は知っているか?」
「はい」
知っているも何も、この2人は日本のダンジョン最前線にいる世界でもTOPに数えられる1組のパーティーの人だ。
ダンジョン関連の専門誌、<ジャパンシーカーズマガジン>でも度々表紙を飾る有名人でもある。
「我らを含め、お前もあまり表に出る事は好ましくない故に、これらや勇者パーティーを最前線班として世に出す」
身代わりって事?
ってか、それよりも今勇者って言ったよね!?
もしかして合流したりするのかな?
でも勇者は狙われやすいって言うのに、世の中に出していいんだろうか?
「勇者jobは今日本にあるという事は知られておる。そして世界各国が、それは誰かと突き止めようと必死になっておるのが現状じゃ。故に特定されるのは時間の問題。そこで実績と共に一気に著名人として、逆に狙われにくくするのが狙いだ。ただヤツらはまだ若い、そのために東や瓦崎のパーティーと共に出て貰う事で信憑性を増させる」
「今の日本の最高到達階層は何階か知っているか?」
「確か、東さんたちパーティーでの名古屋北ダンジョンの178階層だと」
「うむ、本当は273階層だ。とりあえずそこまで引き連れて行く予定だ。それにはお前の力が必要となる、心して修行に励め」
「はっ?」
273階層ってなんだよ……
いや確かにクソ忍者たちと接していて、どうして日本はまだ178階層なんかで止まっているんだろうな~なんて思ってはいたけれど、それよりも100階層も下だとは想像もしていなかったよ。
「えっと……273階層?です?」
「あぁ、そうだ。5年ほど前にな」
「なぜ公表しないんですか?」
「うちだけが武力を持ちすぎていると知れると、内外で色々面倒でな」
よく分からんが、目の前の3人はやっぱりおかしいレベルなんだと改めて認識させられる。
そしてその中に俺を連れて行こうだって?
無茶だろ……
そういえば東さんと瓦崎さん以外にもパーティーメンバーは7~8人いたはずだけど、その人たちは納得しているのかと不思議に思ったら、他の人たちも伊賀やら甲賀やらの忍者組織の関係者らしく、話も通っているらしい。要は広告媒体って事だね。皆さんが装備している武器防具が、各々バラバラだな~統一感皆無だななんて思っていたけれど、それもそのはず各流派経営の広告塔だからなわけだ。
「到達した事だけを皆さんが公にするという訳にはいかないんですか?」
調べる術なんてないだろうから、わざわざ危険をおかしてまで連れて行く必要なんてないと思うんだよね。
「そうしたいのはやまやまなんだがな、世界にはそれを見破るやつがおる」
「人間嘘発見器のような?」
「まぁ似たようなもんじゃ」
マジかよ……
大変な事になってしまったようだ。
それから色々クソ忍者や各組長たちに色々質問をぶつけまくった、ビビっている余裕なんてない、何とか逃げ出したくて……
だがわかった事といえば、もう逃げれないって事と、これから更に激しい修行が待っていているという事。
有名になると隠しきれなくなり、未知のjobやスキルという事で拉致されて人体実験なんて話がリアルに予想されるらしいとの事だった。
「まぁNINJAだ、影に潜み生きる者だ。表に出ん方がそれっぽくてええじゃろ、ぶはははははっ」
じゃないんだよ、全く!
「お前はjobスキルを含めて、我らより遥か上の力を持つ可能性を大いに秘めている」
とか言われても、全く嬉しくないっ!
それもただの正座でもなくて、膝を左右に広げて手を握り太ももに置く感じ……
侍?うん、侍みたいな感じだ。
何かの決まりか何かだろうか、誰1人として、男も女もみんな同じ格好で崩れていないんだよね。
夏の渥美で見かけた顔ばかりだけど、儀に参加していたメンツでもないから、1~2歳上って感じだろう。
その誰もが……いや、若干1名を除いた9名がこちらをジロリと睨んでいる。
睨んでいる面々は、夏にも睨んできていた人たちだ。
面倒くさそう……だけど、今日は全く気にならないっ!
なぜならその睨んでいない、唯一の人が女性で、しかも最近売り出し中のグラビアアイドルの朝宮エミちゃんである。
ちょっと童顔で、まるでクラスの学級委員長的な真面目な雰囲気なのに、脱いだら凄いというギャップがたまらないボディだ。
夏休み前に雑誌の表紙で見たので、しっかり覚えている。
そんな子が、俺を見てちょっと微笑みながら頭をぺこりと下げてきたのだ、他の有象無象の目付きなんて気になるわけがないっ!
何しにここへ来たのかは全くわからないけれど、エミちゃんに会えただけでもここに来たかいがあるってもんだね。
さてとりあえず座ろうかと思うけれど、俺も侍のように座らなければいけないのだろうか?
見た感じ座椅子は人数分以上にあるようだし、指示も受けていないから座らせて貰おう。
んっ?なんだ?
睨んでいる面々の顔が、いやらしく歪んだぞ?
これは……「やらかしやがった、怒られればいい」って感じかな?
ダメなのかな……でもな、何も指示されていないから知らないし、今更ここで正座し直すのもカッコ悪いしな。
そう思っていたら、エミちゃんがこちらを見てから立とうとして、隣の人に手を引っ張られて止められている。
おそらく「教えてくる」「やめときなよ」とかそんな感じなんだろうな~
まぁどっちでもいいけど、なぜにここまで敵視されないといけないのだろうか?
望んでもいない、クソ忍者の直弟子にされたというだけなのに。
全く、代わってくれるなら代わって欲しいくらいなのにさ。
魔法袋を預けているので何をすることも出来ないので、ただただ居心地悪いままにぼっーと過ごす事となった。
そして体感20~30分経った頃……
襖がすすっと音もなく開いたと思ったら、誠三さんが顔を出した。
「横川くん、若様がお呼びだ」
「あっ、はい」
誠三さんが「若様」と言った瞬間、また部屋内の空気が尖った感じがしたのは気のせいではないだろう。
みんな大好きだね~クソ忍者。
あっ、そうだ、座椅子じゃなくて正座する意味を聞かなきゃ。
「何か皆さん正座してますけど、何か決まりでもあるんです?」
「あぁ~彼らは組長の付き人として来ているから、待っている間は身を正しくしてって感じだと思うよ。まぁ明確な決まりはないから、だらけていなければ別にどのようにしていてもいいんだけどね」
納得した。
納得したが、幾人かが「えっ?」って顔して驚いている……
もしかして意味わからず正座していたのだろうか、それってどうなんだろう。
きっと代々の習わしとかなんだろうね……真意が伝わらず、形だけの継承。
よくある話だね。
そして俺が怒られると期待していた人たちにとっても、残念なお知らせとなったようで肩を落として……いない、更に目付きを鋭くしているようだ。
逆恨みもすぎるわっ!面倒くさいな、もう!
誠三さんに促されて案内された場所は、虎と龍が睨み合っている水墨画が描かれた豪華な屏風のある部屋だった。
屏風の前には組長10人と、夏に見た事があるような気がしないでもない2人の男性とクソ忍者が、まるで坊さんが座るような分厚い座布団の上に座ってお茶を飲んでいた。
何この場所……
あの屏風とか怖すぎるんですけど!?
やっぱりヤクザ組織と言われても納得出来る雰囲気だ。
「よく来たな、まぁ座れ」
全員が見える、クソ忍者の正面に同じ座布団とお茶が用意されたので座る。
一体何が始まるんだろうか、嫌な予感しかしない。
「来て貰ったのは他でもない、この者らを紹介しようと思ってな」
「私はこの度、武術班組長となりました、山岡誠一です、以後よろしく」
「同じく武術班組長になった、鬼頭英太だ、よろしく」
「組長?」
組長はハゲヤクザと鬼畜治療師だったはずだが?
そういえば、この度なったとか言ってたから、代替わりなのかな?
どちらにしても、なぜに俺を呼びつけてまで紹介するんだろう。
「わしと近松のは引退だ」
「お疲れ様です」
引退という事はだ、これまでの地獄のような訓練にも来ないって事かな?
「山岡のジジイと近松と俺は、これからお前のパーティーメンバーとなる」
「……えっ?」
えっ?
今なんて言った?
パーティーメンバーだって??
ちょっ!?
何勝手にそんな事が決まってるの!?
俺は如月先輩と一緒に潜りたいのに!!
「まぁまだお前は学校があるから、本格的に潜るのは春からになるがな」
いや、そんな事聞きたい訳じゃないんですよっ!
「組長の仕事は引き継いだからの、これから春に向けて、本格的にお主を鍛えてやれるぞ」
本格的って何ですか?
これまでよりも酷い修行になるって事ですか?
「東《あずま》、瓦崎《かわらざき》、ここへ」
新しい名前が出てきたと思ったら、横の襖が開き2人の洋服姿の男女が出てきた。
「横川、これらの顔は知っているか?」
「はい」
知っているも何も、この2人は日本のダンジョン最前線にいる世界でもTOPに数えられる1組のパーティーの人だ。
ダンジョン関連の専門誌、<ジャパンシーカーズマガジン>でも度々表紙を飾る有名人でもある。
「我らを含め、お前もあまり表に出る事は好ましくない故に、これらや勇者パーティーを最前線班として世に出す」
身代わりって事?
ってか、それよりも今勇者って言ったよね!?
もしかして合流したりするのかな?
でも勇者は狙われやすいって言うのに、世の中に出していいんだろうか?
「勇者jobは今日本にあるという事は知られておる。そして世界各国が、それは誰かと突き止めようと必死になっておるのが現状じゃ。故に特定されるのは時間の問題。そこで実績と共に一気に著名人として、逆に狙われにくくするのが狙いだ。ただヤツらはまだ若い、そのために東や瓦崎のパーティーと共に出て貰う事で信憑性を増させる」
「今の日本の最高到達階層は何階か知っているか?」
「確か、東さんたちパーティーでの名古屋北ダンジョンの178階層だと」
「うむ、本当は273階層だ。とりあえずそこまで引き連れて行く予定だ。それにはお前の力が必要となる、心して修行に励め」
「はっ?」
273階層ってなんだよ……
いや確かにクソ忍者たちと接していて、どうして日本はまだ178階層なんかで止まっているんだろうな~なんて思ってはいたけれど、それよりも100階層も下だとは想像もしていなかったよ。
「えっと……273階層?です?」
「あぁ、そうだ。5年ほど前にな」
「なぜ公表しないんですか?」
「うちだけが武力を持ちすぎていると知れると、内外で色々面倒でな」
よく分からんが、目の前の3人はやっぱりおかしいレベルなんだと改めて認識させられる。
そしてその中に俺を連れて行こうだって?
無茶だろ……
そういえば東さんと瓦崎さん以外にもパーティーメンバーは7~8人いたはずだけど、その人たちは納得しているのかと不思議に思ったら、他の人たちも伊賀やら甲賀やらの忍者組織の関係者らしく、話も通っているらしい。要は広告媒体って事だね。皆さんが装備している武器防具が、各々バラバラだな~統一感皆無だななんて思っていたけれど、それもそのはず各流派経営の広告塔だからなわけだ。
「到達した事だけを皆さんが公にするという訳にはいかないんですか?」
調べる術なんてないだろうから、わざわざ危険をおかしてまで連れて行く必要なんてないと思うんだよね。
「そうしたいのはやまやまなんだがな、世界にはそれを見破るやつがおる」
「人間嘘発見器のような?」
「まぁ似たようなもんじゃ」
マジかよ……
大変な事になってしまったようだ。
それから色々クソ忍者や各組長たちに色々質問をぶつけまくった、ビビっている余裕なんてない、何とか逃げ出したくて……
だがわかった事といえば、もう逃げれないって事と、これから更に激しい修行が待っていているという事。
有名になると隠しきれなくなり、未知のjobやスキルという事で拉致されて人体実験なんて話がリアルに予想されるらしいとの事だった。
「まぁNINJAだ、影に潜み生きる者だ。表に出ん方がそれっぽくてええじゃろ、ぶはははははっ」
じゃないんだよ、全く!
「お前はjobスキルを含めて、我らより遥か上の力を持つ可能性を大いに秘めている」
とか言われても、全く嬉しくないっ!
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
17
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる