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外部資料

KAIJU Data File(出現怪獣詳細記録)その1

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File001─Monster1(Vodziga000)
出現地─日本(東京)
出現日時─000/05/04
出現時刻─AM11:34
体長─50M
体重─20,000t

 東京に出現した、記録されている中では最初の怪獣。後に出現したヴォズィガと極めて類似した個体。
 東京湾から上陸し、東京新宿付近を壊滅状態に陥らせた。
 その被害は甚大であり、都庁及び複数のランドマークを破壊。
 この第一次新宿怪獣災害の負傷者は20万人を超え、死傷者は7,546人と記録されている。
 被害に対して国連主導の元、HERMの前身となる国連巨獣対策センターが都庁跡地に建設された。

(機密事項)
 個体名Monster1は新宿壊滅後、上陸経路を引き返し、東京湾沿岸より姿を消した。
 後日、国連巨獣対策センター職員SGに匿名の連絡あり。
 内容は「Monster1の死骸の場所を教える」というものであり、この時の匿名の通報者がMonster1をヴォズィガ(Vodziga)と呼称した。
 通報者の情報を元に、伊豆・小笠原海溝よりMonster1の死骸を秘密裏に回収した。
 今尚匿名の通報者の身元は確認できていない。

(機密事項追記)
 元司祭ガブリエィル・ゼフィレッリィの証言。
 Monster1はヴォズィガと同一種であり、シャッガイ領域を通じて上位次元に存在するヴォズィガ本体(以下DV)がその接続を切断した為に死骸が残ったとのこと。
 Monster1との接続をDVが切断したのは、東京湾から太平洋に消えたMonster1とガイア由来の怪獣との交戦があった為。
 この時にMonster1と交戦したガイア由来の怪獣はアルゴスと同個体と推測される。


File012─MOOM
出現地─日本(茨城)
出現日時─002/04/04
出現時刻─AM09:51
体長─30M
体重─不明

 関東平野の地下から突如出現した怪獣。
 長い鼻だけで体長の半分以上(16M)ある巨象のような姿。
 出現と同時に関東平野を100km/hで直進。その先にあったM小学校に襲来。同小学校の校舎、体育館を破壊し、当日入学式だったM小学校の生徒、教師、関係者らに多数の負傷者を出したが、記録映像によるとモームによる死傷者は十名程度であると推測されている。
 後に出現したヴォズィガの熱光線により消失した。


File013─Vodziga001
出現地─日本(茨城)
出現日時─002/04/04
出現時刻─AM10:34
体長─55M
体重─不明

 モームの出現したM小学校周辺の雑木林内に出現。出現時、街全体を覆う閃光のような物が発生したと、周辺住民の多数から証言が得られているが記録は存在しない。
 ヴォズィガの放つ熱光線により消失。その際の死傷者は1,025人と記録されている。

(機密事項)
 HERM所属のMedium1(巫女1)はモーム/ヴォズィガによる怪獣災害の生存者である。


File072─Argos
出現地─日本(尖閣諸島)
出現日時─009/12/24
出現時刻─PM11:25
体長─66M
体重─不明

 対怪獣部隊HERMが初めて討伐した怪獣。
 HERM達(ヘルメス)の討伐すべき怪獣とのことから、ギリシャ神話にてヘルメスが退治した100の目を持つ巨人の名が命名された。
 長い海蛇のような姿をした怪獣であり、尖閣諸島魚釣島に上陸した際は、島内を這うように動き回った。
 アルゴスの暴れた魚釣島の人口は無人島であり、アルゴスによる被害者も0人である。
 アルゴスの討伐を皮切りにして、人類は初めて怪獣への対抗手段を手に入れたことになる。

(機密事項)
 アルゴスは、Medium1の怪獣を捕捉する眼により、衛星映像を通して発見された。
 その為、正確な出現時刻は不明。記録された出現時刻はMedium1が怪獣を発見した時刻である。
 また、アルゴスの討伐日時は12月28日とされているが、こちらも正確ではなく、実際はアルゴスが発見された12月24日当日に討伐されている。
 アルゴス討伐はMedium1の初陣であり、当初は怪獣の発見も非公開とし、極秘裏に記録する予定であった。
 しかしMedium1の活躍は凄まじく、当時まだ1秒以上のDelayラグのあったマスタ/スレイヴ型遠隔ドローンにより、見事アルゴスの討伐に成功。
 その報せを受けたHERMは、アルゴス討伐の映像を全世界に公開。
 怪獣に対抗する手段が存在することを、全人類が知ることとなった。

(機密事項追記)
 元司祭ガブリエィル・ゼフィレッリィの証言。
 アルゴスはガイアによる、対ヴォズィガ及び地球表面偵察用の個体であり、他の怪獣のように人間の捕食機能を有していなかった。
 また、Monster1との交戦後、既にアルゴスの戦闘機能はほぼ削除されており、偵察用としての機能が主であった。他怪獣に比べると動きも緩慢であったことが、討伐を容易とした原因である、としている。
 対ヴォズィガ及び偵察用個体アルゴスが倒されたことにより、ガイアはヴォズィガへの対抗能力を大きく低下させた。
 ガイアはアルゴス消失により失ったエネルギー補充の為、その後の出現させる怪獣の人間捕食機能を強化することとなった。


File084─Xamoza
出現地─日本(福島)
出現日時─013/05/02
出現日時─PM00:52
体長:3.8M(平均)
体重:2t(平均)

 福島の大型ショッピングモール内に現れた怪獣で、それまで3例しかなかった群体怪獣。日本に群体怪獣が出現したのはザモザが初。
 膨張したヒキガエルのような姿をしており、大型個体でも5M程度という比較的小型の怪獣。
 死傷者は約300名と記録されているが、その多くがザモザに捕食されており、正確な被害者数はわかっていない。
 後に出現したヴォズィガに全個体の9割以上が踏み潰された。

(機密事項)
 HERM所属のMedium2(巫女2)はザモザ/ヴォズィガによる怪獣災害の生存者である。

(機密事項追記)
 元司祭ガブリエィル・ゼフィレッリィの証言。
 ザモザはそれまでにガイアが試験的に行っていた人間捕食によるエネルギー補充の効率を最大にした怪獣である。
 その運用の為、怪獣との接続率は最低限に抑えられ、それはMedium1がザモザの被害を発見できなかった原因でもあった。
 ザモザの目的はあくまで人間の捕食であったが、その場に居合わせたMedium2の消化中にヴォズィガが現れたことで、偶発的にガイアはMedium2と接続。“怪獣の眼”を与えることになった。
 Medium2の出現はガイアの意図しないものではあったが、これを機に、既にヴォズィガに対抗する手段として、ガイアの波長と適合する人間の端末化が選択肢として浮上した。

 ガイアと接続した人間はMedium2とゼフィレッリィ以外は未確認であり、ゼフィレッリィ自身も「存在しない」と断言している。

 その為、Medium1の持つ怪獣の眼はガイアではなく、ヴォズィガと接続した為に獲得した物と推測される。

 以下、ゼフィレッリィの証言を一部そのまま記録する物である。

「一人目の巫女は、ガイアの使徒ではない。
 彼女にその自覚はないだろうが、彼女はヴォズィガの端末として操られていた。

 結果を見れば一目瞭然だろう。

 巫女はガイアがヴォズィガに対抗する為に産み出した怪獣を悉く殺して回り、ヴォズィガの力を助長させた。

 二人目の巫女がガイアの為に働くことができれば良かったが、その接続は私程強くはない。
 その為に、ヴォズィガに操られた一人目の巫女の手助けをすることになってしまったのは嘆かわしい。君達HERMはずっとヴォズィガの手先として、この地球を破滅に陥らせる手伝いをしていたのだ。

 私の使命は、それを君達に知らせることでもあった。今からでも私の元に、二人目の巫女を任せてくれれば、ヴォズィガに対抗し、討伐する為の力を与えよう。

 私を信用できないのであればそれでいい。

 その時は、地球諸共、人類は絶滅するだけだ」


File085─Vodziga010
出現地─日本(福島)
出現日時─013/05/02
出現時刻─PM02:52
体長─55M
体重─不明

 ザモザの出現したショッピングモール近辺に突如として出現。
 出現したザモザを殲滅した。

(機密事項)
 ヴォズィガにより殲滅されたと思われていたザモザだが、調査員の報告により生存個体を確認。その内、十二体をHERMは回収。
 後にMedium1/2の対怪獣訓練用の個体として再利用。


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