1 / 2
教育係レオ
しおりを挟む第三騎士団に入団してから一ヶ月。
だんだんと仕事も覚えてきて、最近は一人での仕事も任されるようになってきた。
それもこれも、教育係であるレオさんが熱心に教えてくれたからである。
レオさんは凄い人だ。二十歳という若さで団長候補になってしまうほどの実力者。
それだけではない。皆に平等に優しくて、物凄く慕われている。もちろん、僕もレオさんを慕っている内の一人だ。
でも、流石にこれはないと思う。
「好きだハヤト。どうか、俺に答えてくれ」
「お、おい。レオ? 何言ってんだ。冗談はよせよ」
「冗談なんかじゃない。俺は本気なんだ」
流石に、上司が王子のことを口説いている現場を見せられて、平常心を保っていられる人は少ないと思う。
なんで、レオさんがハヤト王子を......?
最近では同性婚も増えてきて、そのことに対して偏見などは一つもない。だけど、ここは職場だ。それは流石にやっちゃいけないだろう……
もし誰かに見られたらとか考えないのだろうか。
僕が考えを巡らせている間にも、レオさんはハヤト王子を口説いている。
「なぁハヤト。俺を選んでくれ」
「レオ......」
「良いだろ? 俺、ずっと待ってたんだよ。これ以上は無理だ。我慢できない」
「レオッ」
「ハヤト。俺と付き合ってくれ」
ハヤト王子は少し考えた後、何かを決めたような顔をして、こくりと頷いた。
「ハヤトッ、愛してる」
「......俺も、愛してる」
レオさんはハヤト王子をグッと引き寄せ、強く抱きしめた。
ヤバい。これ以上見てしまったら何かに目覚めてしまう気がする。
僕はその場に響くリップ音を聞きながら、ゆっくりとその場を後にした。
ーーーー
数時間後
「リク、ちょっと良いか?」
「なんですか?」
食堂で夕食を食べていると、レオさんから声が掛かった。
昼間のこともあって気まずいが、重要な話かもしれないのでレオさんに着いていく。
「リク、お前最近優秀らしいな。団長が褒めてたぞ?」
「そ、そうですか? なんだか照れるなぁ」
「後、明日の仕事だがミカゲが病気らしいから一人でしてもらう。それでも良いか?」
「はい! 大丈夫です」
昼間の件で印象が変わってしまったが、レオさんはレオさんだ。
いつも通り優しい。
昼間の件は早く忘れて今まで通り普通に接しよう。
「それと......」
「? なんですか?」
「ハヤトは俺のだから、覚えとけよ?」
レオさんはそう言い残して去っていった。
......気づかれてた。しかも、牽制までされた。
レオさんって、僕が思ってたような人じゃない、かも。
独占欲が強くて、腹黒い。
そんなレオさんに愛されるって、ハヤト王子も大変だな。
僕はどこか他人事のようにそう思った。
33
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説

え?俺って思ってたよりも愛されてた感じ?
パワフル6世
BL
「え?俺って思ってたより愛されてた感じ?」
「そうだねぇ。ちょっと逃げるのが遅かったね、ひなちゃん。」
カワイイ系隠れヤンデレ攻め(遥斗)VS平凡な俺(雛汰)の放課後攻防戦
初めてお話書きます。拙いですが、ご容赦ください。愛はたっぷり込めました!
その後のお話もあるので良ければ


一日だけの魔法
うりぼう
BL
一日だけの魔法をかけた。
彼が自分を好きになってくれる魔法。
禁忌とされている、たった一日しか持たない魔法。
彼は魔法にかかり、自分に夢中になってくれた。
俺の名を呼び、俺に微笑みかけ、俺だけを好きだと言ってくれる。
嬉しいはずなのに、これを望んでいたはずなのに……
※いきなり始まりいきなり終わる
※エセファンタジー
※エセ魔法
※二重人格もどき
※細かいツッコミはなしで
当て馬系ヤンデレキャラになったら、思ったよりもツラかった件。
マツヲ。
BL
ふと気がつけば自分が知るBLゲームのなかの、当て馬系ヤンデレキャラになっていた。
いつでもポーカーフェイスのそのキャラクターを俺は嫌っていたはずなのに、その無表情の下にはこんなにも苦しい思いが隠されていたなんて……。
こういうはじまりの、ゲームのその後の世界で、手探り状態のまま徐々に受けとしての才能を開花させていく主人公のお話が読みたいな、という気持ちで書いたものです。
続編、ゆっくりとですが連載開始します。
「当て馬系ヤンデレキャラからの脱却を図ったら、スピンオフに突入していた件。」(https://www.alphapolis.co.jp/novel/239008972/578503599)

何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。
特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで…
*別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。


王命で第二王子と婚姻だそうです(王子目線追加)
かのこkanoko
BL
第二王子と婚姻せよ。
はい?
自分、末端貴族の冴えない魔法使いですが?
しかも、男なんですが?
BL初挑戦!
ヌルイです。
王子目線追加しました。
沢山の方に読んでいただき、感謝します!!
6月3日、BL部門日間1位になりました。
ありがとうございます!!!

罰ゲームって楽しいね♪
あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」
おれ七海 直也(ななみ なおや)は
告白された。
クールでかっこいいと言われている
鈴木 海(すずき かい)に、告白、
さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。
なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの
告白の答えを待つ…。
おれは、わかっていた────これは
罰ゲームだ。
きっと罰ゲームで『男に告白しろ』
とでも言われたのだろう…。
いいよ、なら──楽しんでやろう!!
てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が
こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ!
ひょんなことで海とつき合ったおれ…。
だが、それが…とんでもないことになる。
────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪
この作品はpixivにも記載されています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる