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13.私を、貴方に ※R18
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その日から、アルバートとのスキンシップは更に密なものになった。
事あるごとにキスをせがまれ、一日に何回も身を屈めては、唇が触れるだけのキスをした。正直、恥ずかしくて仕方なかったが、キス自体は好ましく、嫌とは言えなかった。
ただ、身長差的にどうしても自分が屈まなければいけないのがもどかしく、これまでとは異なる意味合いで、アルバートの成長を願うようになった。
(やはり、なるべく早めに自力で血を飲めるようになっていただかないと……)
共に生きよう、と自分もアルバートも、心を通わせたのだ。なればこそ、本当にそろそろ覚悟を決めてもらわないと──そんなことを考えていた数日後、恒例的に設けていた血を飲む練習の席で、アルバートがとんでもないことを言い出した。
「あのね、血の代わりに、テディのおっぱいを飲ませてほしいんだけど……」
「…………はい?」
いつものように寝支度を整え、アルバートの部屋に向かうと、なぜかカウチではなく、ベッドに座るよう勧められた。
普段とは違うアルバートの行動に首を傾げつつ、ベッドに腰掛ければ、目の前に立った彼がもじもじと恥じらいながら今ほどの言葉を告げた。
一体何を言っているのか──予想外を通り越した言に固まっていると、アルバートが懸命に説明し始めた。
「母乳は血液からできてるって、本に書いてあったんだ。僕達吸血鬼も、赤ん坊の頃は母親の母乳で育つし、多分だけど、おっぱいを飲めば、血を飲むのと同じような効果が得られるんだと思う。それに、おっぱいだったら体を噛まなくていいから、僕も怖くないし、テディも痛くないし、良いかなって、思って……」
頬を染め、照れながらも懸命に話す姿はとても愛らしく、自分の体を慮ってくれたのだろう彼の気持ちも伝わってきた。だが──……
「……私の体のことも考えてくださり、ありがとうございます。ただ、私は男ですので、母乳は出ませんよ」
動揺と困惑を抑え、極々当たり前の返事をすれば、なぜかアルバートがパァッと表情を明るくした。
「それなら大丈夫! 擬似子宮の印を作ったから! これで子宮があるように体に錯覚させて、その状態で体の中に精子を取り込めば、擬似子宮が受精したって信号を出すの。そうすると、体が妊娠したって錯覚して、母乳が出るように──」
「ア、アルバート様! お待ちを……!」
とんでもないことを言い出したアルバートに、理解が追いつかない。
擬似子宮という聞き捨てならない単語もだが、妊娠だの受精だの、やけに子作りに対する知識が深まっているアルバートに戸惑いが止まらない。
アルバートが精通を迎えたあの日以降、その話題には一度も触れていないはずだ。
「なぜ、その……そのような……」
「擬似子宮の印は僕が作ったよ」
「……作った? いえ、そちらではなく、いえ、そちらもですが、その……こ、子作りの知識などは……」
「? 本に書いてあったし、先生から聞いたよ」
「あ……」
考えてみれば、医師から医学と薬学を学んでいるのだ。そういった知識も医学の一部として教わっていて当然だろう。
知らぬ間に、知識的にも大人になっていたアルバートに、自分ばかりが戸惑ってしまう。
「では……その、ぎ、擬似子宮、というのは……?」
「んっとね、本当に体の造りを変える訳じゃなくて、子宮ができたように体と脳を錯覚させる、催眠みたいなものだよ。テディの体を傷つけないで血を飲むにはどうしたらいいかなって、いっぱい考えて、思いついたんだ。印の式を組むのが大変で、時間が掛かっちゃったけど、テディのために頑張ったんだよ」
「……左様で」
へへ、と照れたように笑うアルバートはとても可愛らしいのだが、気遣いの方向性がおかしい。
(この場合は、どうしたら……)
誰かを傷つけたくない、怖い思いをさせたくない、と家族にどれだけ貶され、傷つけられても、相手を思いやる気持ちを優先させたアルバート。
そんな心優しい子が、考えに考え、最終的に導き出した最善の答えが『これ』なのだ。
とんでもない魔法印を自作した才能を褒めこそすれ、どうして否定できよう。
「…………たくさん、頑張ったのですね」
「うん!」
長考の末、労いの言葉を振り絞るのが精一杯だったが、嬉しそうに返事をするアルバートは「褒めて」と言わんばかりに瞳を煌めかせていて、いよいよ逃げ場がなくなる。
それでも答えに詰まっていると、不意にアルバートの両手が自身の手を取り、その指先に唇を落とした。
「!?」
「母乳が血の代わりになるかもって思ったのは、本当だよ。でも、それとは別に、テディのおっぱいが飲みたいなぁって思ったの」
「っ……」
言葉と共に、纏う雰囲気をガラリと変えたアルバートに、ようやく自分が置かれている状況を理解する。
夜も更けた二人きりの部屋。
アルバートのベッドの上。
素肌の上に一枚羽織っただけのガウン。
目の前で、艶やかに微笑むアルバート──ようやく現状の危うさに気づくも、逃げ道はとうに塞がれていた。
「ねぇ、テディ。僕ね、テディとエッチしたい」
「っ……!」
「ずっとずっと、大好きだった。もっともっと、テディの体に触れたいって、ずっと思ってた」
口づけた指先に、頬を寄せるアルバート。その仕草はとても可愛らしいのに、紡ぐ言葉はストレートに性交を願うもので、耳が熱くなる。
「テディ、僕とエッチして? テディのおっぱい、僕に飲ませて?」
「うぁ……」
「本当に妊娠する訳じゃないから、怖くないよ? 痛くないよ? ちゃんと、テディも気持ち良くなれるように頑張るから……ね?」
あやすようなその言葉は、吸血行為の練習のたびに自分がアルバートに言っていた言葉とまるっきり一緒だった。
立場が逆転した上、熱烈に恋人としての営みを迫られている今に、頭がクラクラしてくる。
「大好きだよ、テディ」
彼に血を与えるため、いつも差し出していた左手に、何度も何度も口づけが落ちた。
「お願い。テディのおっぱいで、僕のこと大きくして?」
ああ、本当にどうしてこんなことに……そう思うも、心のどこかで、アルバートと体を交えることに期待し、ときめいている自分がいた。
擬似的にとはいえ、アルバートの子を孕む──信じられないほど恥ずかしいのに、彼に求められる喜びに、心も体も興奮していた。
(いつから、こんな……)
アルバートへの恋慕を自覚してまだ数日だというのに、一体どれだけの情を自分の中に閉じ込めていたのか。
ただ溢れるばかりとなった愛情を止められるはずもなく、決心してコクリと頷けば、アルバートが大きく目を見開いたあと、艶やかに破顔した。
「ん……」
ベッドに押し倒され、途切れることのない深い口づけを受けて早数分。既に息は上がり、目尻には涙が溜まっていた。
自分の舌よりも小さく薄い舌が、咥内を舐め回し、舌先を器用に絡める。それが一つの生き物のような動きに、これまで性経験はおろか、キスすらアルバートが初体験だった身は、既にいっぱいいっぱいになっていた。
(アルバート様だって初めてのはずなのに、どうしてこんなにキスが上手いんだ……!)
こんなところまで才能を発揮しなくていいのに……そんなことを考えている間も、長いキスは続き、互いの唾液が混じり合ったものが口の中に溜まっていく。
キスの角度が変わるたび、唇の隙間からクチュリと水音が響き、鼓膜を犯す。咥内を溶かすような口づけは、苦しいのに気持ちよくて、それだけで初な体は火照り始める。
「んんっ……、んぅ~っ!」
酸欠から喘ぐように解放を求めれば、一瞬唇が離れた隙に「飲んで」と囁くようにアルバートが呟いた。
それが咥内に溜まった唾液を飲み下せという意味だと瞬時に理解した脳は、再び唇を塞がれるのと同時に、とろりとしたそれを飲み干した。
「ん……っ、ふはっ、はぁ、はぁ……」
「テディはお口の中も美味しいね」
「ぁ、ん……」
酸素不足でクラクラする脳に、嬉しそうなアルバートの声が響く。
もう少し手加減してほしいのが本音だが、頬を染めて喜ぶアルバートを見ていたら、そんな気持ちも萎んでしまった。
「……?」
そこでふと、妙に体が火照っていることに気づく。
先ほどのキスで上がった熱とは違う、体の内側からじんわりと滲むような熱に違和感を感じるも、アルバートに突然抱き締められ、微かな違和感は瞬く間に消えた。
「嬉しい。テディといっぱいキスできて、すごく嬉しいよ」
「……私も、嬉しいです。アルバート様」
恥ずかしくはあるものの、嬉しいと思っているのは自分も同じだ。ふにゃりと笑うアルバートに頬を緩めれば、チュッと可愛らしい音と共に、啄むようなキスが返ってきた。
「大好きだよ、テディ。……このまま、擬似子宮の印だけ付けてもいい?」
「あ、は、はい」
恐る恐る尋ねるアルバートの言葉に僅かに怯むも、覚悟はできている。アルバートに促されるまま、ガウンの腰紐をゆっくり解くと、彼の前に裸体を晒した。
「ふわぁ……すごい……」
感嘆の声を漏らし、恍惚とした表情で裸を見つめるアルバートに、顔が熱くなる。
キスだけで頭を擡げた性器が、下着を押し上げていた。その様まで見られている恥ずかしさに耐えきれず、手の平で顔を隠すも、即座にアルバートの手に捕まり、染まった顔を暴かれてしまう。
「テディ、隠さないで。テディの可愛いお顔見せて」
「お、お許しを……!」
「ふふ、かぁわいい」
「可愛いのは貴方のほうだ!」と言ってやりたいが、そんな余裕はない。
「本当に可愛いよ、テディ。それに、体もすっごく綺麗でエッチだ」
「エッ……!?」
「お腹の筋肉も綺麗だし、おっぱいも大きいし……へへ、お乳いっぱい出そうだね」
「~~~っ!!」
ニコニコと無邪気な顔で言われ、もう返す言葉もない。
「ここから、おっぱいが出てくるんだよね……」
「アルバート様!?」
「……ちょっとだけ、食べさせて」
胸元に顔を近づけたアルバートが、色づいた小さな突起に唇を寄せる。声と共に漏れた息が肌を擽り、ゾワリとしたものが肌の上を走った。
「お、お待ちを! アルバ、ひっ……!」
ちゅぷり、と小さな音を立ててアルバートが乳首に吸い付き、その舌の熱さに背が仰け反った。
特別何かを感じた訳じゃない。ただ、十三歳前後の少年にしか見えない子が、自分の乳首に吸い付いているという現実に、背徳感からクラリと目が眩んだ。
チュウチュウと吸い付きながら、舌先が小さな突起をコロコロと転がす。飴でも味わうような舌の動きは、本当に食べているようで、自分の乳首をアルバートが舐めているという現実を一層濃いものにした。
「アルバート様……っ、もうおやめになって……っ」
「ん……、ふふ、テディのおっぱい舐めちゃったね」
「そういうことは言わないでください!」
わざとなのか、無自覚なのか、平気で恥ずかしいことを言うアルバートを軽く睨むも、その微笑みが崩れることはなかった。
「ごめんね。おっぱいは後にして、先にこっちだね」
「え、わっ、ちょっと!?」
胸元に寄せていたアルバートが顔を上げ、自身の太腿の間にその細い体を収めると、おもむろに下着に手を掛けた。
事あるごとにキスをせがまれ、一日に何回も身を屈めては、唇が触れるだけのキスをした。正直、恥ずかしくて仕方なかったが、キス自体は好ましく、嫌とは言えなかった。
ただ、身長差的にどうしても自分が屈まなければいけないのがもどかしく、これまでとは異なる意味合いで、アルバートの成長を願うようになった。
(やはり、なるべく早めに自力で血を飲めるようになっていただかないと……)
共に生きよう、と自分もアルバートも、心を通わせたのだ。なればこそ、本当にそろそろ覚悟を決めてもらわないと──そんなことを考えていた数日後、恒例的に設けていた血を飲む練習の席で、アルバートがとんでもないことを言い出した。
「あのね、血の代わりに、テディのおっぱいを飲ませてほしいんだけど……」
「…………はい?」
いつものように寝支度を整え、アルバートの部屋に向かうと、なぜかカウチではなく、ベッドに座るよう勧められた。
普段とは違うアルバートの行動に首を傾げつつ、ベッドに腰掛ければ、目の前に立った彼がもじもじと恥じらいながら今ほどの言葉を告げた。
一体何を言っているのか──予想外を通り越した言に固まっていると、アルバートが懸命に説明し始めた。
「母乳は血液からできてるって、本に書いてあったんだ。僕達吸血鬼も、赤ん坊の頃は母親の母乳で育つし、多分だけど、おっぱいを飲めば、血を飲むのと同じような効果が得られるんだと思う。それに、おっぱいだったら体を噛まなくていいから、僕も怖くないし、テディも痛くないし、良いかなって、思って……」
頬を染め、照れながらも懸命に話す姿はとても愛らしく、自分の体を慮ってくれたのだろう彼の気持ちも伝わってきた。だが──……
「……私の体のことも考えてくださり、ありがとうございます。ただ、私は男ですので、母乳は出ませんよ」
動揺と困惑を抑え、極々当たり前の返事をすれば、なぜかアルバートがパァッと表情を明るくした。
「それなら大丈夫! 擬似子宮の印を作ったから! これで子宮があるように体に錯覚させて、その状態で体の中に精子を取り込めば、擬似子宮が受精したって信号を出すの。そうすると、体が妊娠したって錯覚して、母乳が出るように──」
「ア、アルバート様! お待ちを……!」
とんでもないことを言い出したアルバートに、理解が追いつかない。
擬似子宮という聞き捨てならない単語もだが、妊娠だの受精だの、やけに子作りに対する知識が深まっているアルバートに戸惑いが止まらない。
アルバートが精通を迎えたあの日以降、その話題には一度も触れていないはずだ。
「なぜ、その……そのような……」
「擬似子宮の印は僕が作ったよ」
「……作った? いえ、そちらではなく、いえ、そちらもですが、その……こ、子作りの知識などは……」
「? 本に書いてあったし、先生から聞いたよ」
「あ……」
考えてみれば、医師から医学と薬学を学んでいるのだ。そういった知識も医学の一部として教わっていて当然だろう。
知らぬ間に、知識的にも大人になっていたアルバートに、自分ばかりが戸惑ってしまう。
「では……その、ぎ、擬似子宮、というのは……?」
「んっとね、本当に体の造りを変える訳じゃなくて、子宮ができたように体と脳を錯覚させる、催眠みたいなものだよ。テディの体を傷つけないで血を飲むにはどうしたらいいかなって、いっぱい考えて、思いついたんだ。印の式を組むのが大変で、時間が掛かっちゃったけど、テディのために頑張ったんだよ」
「……左様で」
へへ、と照れたように笑うアルバートはとても可愛らしいのだが、気遣いの方向性がおかしい。
(この場合は、どうしたら……)
誰かを傷つけたくない、怖い思いをさせたくない、と家族にどれだけ貶され、傷つけられても、相手を思いやる気持ちを優先させたアルバート。
そんな心優しい子が、考えに考え、最終的に導き出した最善の答えが『これ』なのだ。
とんでもない魔法印を自作した才能を褒めこそすれ、どうして否定できよう。
「…………たくさん、頑張ったのですね」
「うん!」
長考の末、労いの言葉を振り絞るのが精一杯だったが、嬉しそうに返事をするアルバートは「褒めて」と言わんばかりに瞳を煌めかせていて、いよいよ逃げ場がなくなる。
それでも答えに詰まっていると、不意にアルバートの両手が自身の手を取り、その指先に唇を落とした。
「!?」
「母乳が血の代わりになるかもって思ったのは、本当だよ。でも、それとは別に、テディのおっぱいが飲みたいなぁって思ったの」
「っ……」
言葉と共に、纏う雰囲気をガラリと変えたアルバートに、ようやく自分が置かれている状況を理解する。
夜も更けた二人きりの部屋。
アルバートのベッドの上。
素肌の上に一枚羽織っただけのガウン。
目の前で、艶やかに微笑むアルバート──ようやく現状の危うさに気づくも、逃げ道はとうに塞がれていた。
「ねぇ、テディ。僕ね、テディとエッチしたい」
「っ……!」
「ずっとずっと、大好きだった。もっともっと、テディの体に触れたいって、ずっと思ってた」
口づけた指先に、頬を寄せるアルバート。その仕草はとても可愛らしいのに、紡ぐ言葉はストレートに性交を願うもので、耳が熱くなる。
「テディ、僕とエッチして? テディのおっぱい、僕に飲ませて?」
「うぁ……」
「本当に妊娠する訳じゃないから、怖くないよ? 痛くないよ? ちゃんと、テディも気持ち良くなれるように頑張るから……ね?」
あやすようなその言葉は、吸血行為の練習のたびに自分がアルバートに言っていた言葉とまるっきり一緒だった。
立場が逆転した上、熱烈に恋人としての営みを迫られている今に、頭がクラクラしてくる。
「大好きだよ、テディ」
彼に血を与えるため、いつも差し出していた左手に、何度も何度も口づけが落ちた。
「お願い。テディのおっぱいで、僕のこと大きくして?」
ああ、本当にどうしてこんなことに……そう思うも、心のどこかで、アルバートと体を交えることに期待し、ときめいている自分がいた。
擬似的にとはいえ、アルバートの子を孕む──信じられないほど恥ずかしいのに、彼に求められる喜びに、心も体も興奮していた。
(いつから、こんな……)
アルバートへの恋慕を自覚してまだ数日だというのに、一体どれだけの情を自分の中に閉じ込めていたのか。
ただ溢れるばかりとなった愛情を止められるはずもなく、決心してコクリと頷けば、アルバートが大きく目を見開いたあと、艶やかに破顔した。
「ん……」
ベッドに押し倒され、途切れることのない深い口づけを受けて早数分。既に息は上がり、目尻には涙が溜まっていた。
自分の舌よりも小さく薄い舌が、咥内を舐め回し、舌先を器用に絡める。それが一つの生き物のような動きに、これまで性経験はおろか、キスすらアルバートが初体験だった身は、既にいっぱいいっぱいになっていた。
(アルバート様だって初めてのはずなのに、どうしてこんなにキスが上手いんだ……!)
こんなところまで才能を発揮しなくていいのに……そんなことを考えている間も、長いキスは続き、互いの唾液が混じり合ったものが口の中に溜まっていく。
キスの角度が変わるたび、唇の隙間からクチュリと水音が響き、鼓膜を犯す。咥内を溶かすような口づけは、苦しいのに気持ちよくて、それだけで初な体は火照り始める。
「んんっ……、んぅ~っ!」
酸欠から喘ぐように解放を求めれば、一瞬唇が離れた隙に「飲んで」と囁くようにアルバートが呟いた。
それが咥内に溜まった唾液を飲み下せという意味だと瞬時に理解した脳は、再び唇を塞がれるのと同時に、とろりとしたそれを飲み干した。
「ん……っ、ふはっ、はぁ、はぁ……」
「テディはお口の中も美味しいね」
「ぁ、ん……」
酸素不足でクラクラする脳に、嬉しそうなアルバートの声が響く。
もう少し手加減してほしいのが本音だが、頬を染めて喜ぶアルバートを見ていたら、そんな気持ちも萎んでしまった。
「……?」
そこでふと、妙に体が火照っていることに気づく。
先ほどのキスで上がった熱とは違う、体の内側からじんわりと滲むような熱に違和感を感じるも、アルバートに突然抱き締められ、微かな違和感は瞬く間に消えた。
「嬉しい。テディといっぱいキスできて、すごく嬉しいよ」
「……私も、嬉しいです。アルバート様」
恥ずかしくはあるものの、嬉しいと思っているのは自分も同じだ。ふにゃりと笑うアルバートに頬を緩めれば、チュッと可愛らしい音と共に、啄むようなキスが返ってきた。
「大好きだよ、テディ。……このまま、擬似子宮の印だけ付けてもいい?」
「あ、は、はい」
恐る恐る尋ねるアルバートの言葉に僅かに怯むも、覚悟はできている。アルバートに促されるまま、ガウンの腰紐をゆっくり解くと、彼の前に裸体を晒した。
「ふわぁ……すごい……」
感嘆の声を漏らし、恍惚とした表情で裸を見つめるアルバートに、顔が熱くなる。
キスだけで頭を擡げた性器が、下着を押し上げていた。その様まで見られている恥ずかしさに耐えきれず、手の平で顔を隠すも、即座にアルバートの手に捕まり、染まった顔を暴かれてしまう。
「テディ、隠さないで。テディの可愛いお顔見せて」
「お、お許しを……!」
「ふふ、かぁわいい」
「可愛いのは貴方のほうだ!」と言ってやりたいが、そんな余裕はない。
「本当に可愛いよ、テディ。それに、体もすっごく綺麗でエッチだ」
「エッ……!?」
「お腹の筋肉も綺麗だし、おっぱいも大きいし……へへ、お乳いっぱい出そうだね」
「~~~っ!!」
ニコニコと無邪気な顔で言われ、もう返す言葉もない。
「ここから、おっぱいが出てくるんだよね……」
「アルバート様!?」
「……ちょっとだけ、食べさせて」
胸元に顔を近づけたアルバートが、色づいた小さな突起に唇を寄せる。声と共に漏れた息が肌を擽り、ゾワリとしたものが肌の上を走った。
「お、お待ちを! アルバ、ひっ……!」
ちゅぷり、と小さな音を立ててアルバートが乳首に吸い付き、その舌の熱さに背が仰け反った。
特別何かを感じた訳じゃない。ただ、十三歳前後の少年にしか見えない子が、自分の乳首に吸い付いているという現実に、背徳感からクラリと目が眩んだ。
チュウチュウと吸い付きながら、舌先が小さな突起をコロコロと転がす。飴でも味わうような舌の動きは、本当に食べているようで、自分の乳首をアルバートが舐めているという現実を一層濃いものにした。
「アルバート様……っ、もうおやめになって……っ」
「ん……、ふふ、テディのおっぱい舐めちゃったね」
「そういうことは言わないでください!」
わざとなのか、無自覚なのか、平気で恥ずかしいことを言うアルバートを軽く睨むも、その微笑みが崩れることはなかった。
「ごめんね。おっぱいは後にして、先にこっちだね」
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