魔物のお嫁さん

東雲

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「お前は雄なのに乳があるのだな」
「んぐっ!?」

そう言って、ほっそりとした白い指が、素肌を晒した胸を無遠慮に揉んだ。
あまりにも突然の行動にギョッとして体を逃そうとするも、触手が絡み、地に足が着いていない状態で固定された体は、いくら揺すってもビクともしなかった。

「ふぅん?雌のように柔らかくはないが、良い弾力だ」

(い、てぇ…っ)

ぐにぐにと力任せに揉まれているのは、女の胸とは別物の大胸筋だ。
力加減が分からないのか、そもそも加減するつもりがないのか、女の胸とは違うそこを乱暴に掴まれ、苦痛からくぐもった悲鳴が漏れた。

「う"ぅっ…」
「…ああ、なんだ、こうすると痛いのか」
「ふ…っ」
「痛みは与えないと言ったからな。優しく揉んでやった方が好きか?」
「う…」

(どっちも好きじゃねぇよ!)

言い返したいが、口の中に突っ込まれたままの触手のせいで声が出せない。

「…ふむ。よく見れば、なかなかに綺麗な体をしている。今まで寄越されたのは雌か、雌のように体の細い雄ばかりだったからな。お前のような、いくら弄っても壊れないような頑丈そうな供物は初めてだ」

まるで新しい玩具を目の前にした子どものように、無邪気に笑う魔物に寒気がする。

「悪くはないが…はもう少しワタシ好みに育てようか」
「うぅっ!」

ここ、と言いながら、魔物の指先が摘んだのは、両胸の乳首だった。

「ぐぅぅっ!」
「雌の乳と同じような、咥えやすい乳首が好みだ。乳輪ごと、もっと腫れていやらしい形に変えてやろう」
「んうっ!?」

理解したくない言葉に青褪める暇もなく、二本の触手が伸びてきて、まるで口を開くようにぱっくりと広がった先端が、ガブリと胸の先端に齧りついた。

───ブツッ…

「!?」

瞬間、乳首の先に細い何かが何本も刺さったような痛みが走り、ビクリと体が跳ねた。

(いってぇ…!)

針よりも細いであろう何かが、乳首や乳輪にプツプツと突き刺さる感覚に、瞑った瞼の隙間から僅かに涙が滲んだ。

(なにしやがる…!)

勝手なことを言い、勝手なことをする魔物に、命の危機よりも痛みによる苛立ちが湧いた───その時だ。

「ッ…!?」

───乳首が痒い。
痛みにも似た強烈な痒みが、胸の先端のささやかな粒に集中し、その衝撃に拘束された手足が引き攣った。

(か、ゆ…っ、痒い…!!)

「ン"ン"ッ!!んぐうぅうぅぅっ!!」
「どうだ?堪らなく痒いだろう?痒みを誘発させる樹脂から取った薬だ。…ふ、可哀想に。こんなに腫れて…」
「んぅ"…っ」

見れば、胸の先に齧りつくように張り付いていた触手は離れ、自身の胸元が見えていた。
先ほどまでなんの変哲もなかった乳首が、今は真っ赤に腫れ上がり、ピンと勃ち上がっていた。

(痒い…!痛い、痒い…っ!)

痛みのような痒さに腰が揺れる。それを笑うように、魔物が胸元に口を近づけ、ふぅ…と乳首に熱い息を吹きかけた。

「ん"んんっ!!」

瞬間、ビリリッと走った痛みと倍増した痒みに、動くはずのない手足が勝手にバタついた。

(痒いっ!痒い痒い痒い…っ!)

───おもいっきり掻いてしまいたい。

瞬間的に駆け巡った欲に全身が震えるも、自由を奪われた状態ではそれも叶わない。
荒い息を繰り返し、意味もなく体を揺するが、触れる空気にも反応するように増した胸の痒みに、下手に動くこともできなくなった。

「ふぅーっ、ふぅーっ…、うぅ…っ!」
「ふふ、なかなかに良い反応だ。どれ、焦らすのも可哀想だ。すぐにこの真っ赤に熟れた粒を食べてやるからな」
「んんっ!」

滲んだ視界のまま、魔物を睨みつけるも、男は楽しげに笑うだけだ。
遊ぶように指先で乳首をつつかれ、それだけで波紋を描くようにじわりと広がった痒みに、「触るな!!」と怒鳴ってやりたくなる。

「どれが良いか……うん、これが良い。この口でお前の乳首を食べてやろう」
「…!?」

ぬるりと音もなく寄ってきた触手を魔物が掴み、蛇の頭を持つようにその先端を握れば、触手がグパッと大きく口を開けた。
その中には無数の小さなイボがびっしりと敷き詰まっており、目にしただけでゾワリと鳥肌が立った。

「ああ、安心しろ。見た目よりも柔らかな歯だぞ。どれ、先に教えてやろう」

その言葉と同時に、右腕を拘束していた触手が動き、魔物の前に無理やり右手を差し出す形になる。そうして掴まれた人差し指の先を、触手がばくりと咥えた。

「っ…!?んぐ…っ!」
「ほら、痛くないだろう?」

人差し指の先を飲み込んだ触手は、ぬるりとした粘液を塗りたくるように、皮膚の表面をぞりぞりと這い回り、指先をモグモグと咀嚼した。
それだけ、たったそれだけで、ゾクリとした快感が背中を走り、焦る気持ちから心臓が暴れ出す。

(なん…こ、こんなの…)

「どうだ?気持ち良いだろう?このブツブツで、お前の腫れた乳首を徹底的に掻いてやるからな」
「ひゅっ」

軽く舐められただけで、快感を拾ってしまった指先。そんな触手に、今の状態の乳首を掻かれたら───容易く想像できてしまった未来に、息を呑んだ。

「んんんっ!んぐぅぅぅぅ!」

必死に首を振るが、その振動にすら反応してしまう乳首に、更に痒みが倍増する。

「大人しくしていろ。死ぬ訳じゃない。…まぁ、乳首で死ぬほどイキまくるやもしれんが、お前ならこれくらい大丈夫だろう」
「ん"ん"っ!」
「せいぜいワタシ好みの、いやらしい身体になれよ?」
「んんんっ…!」

───バクリッ!

魔物が言葉を言い終えるか否かの瞬間に、両の乳首を触手が容赦なく咥え込んだ。


───グヂュッグヂュッ♡グヂュッ♡ゴリゴリゴリッ♡


瞬間、粘液を纏った無数のツブツブが、乳首を転がし、撫でるように舐め回した。
その一瞬で、快感が弾け飛び、背筋が大きく仰け反った。

「んお"っ!?♡♡♡お"ぉ"おぉぉぉっっ!!♡♡♡♡」

痒くて痒くて堪らなかった乳首に、乱暴に、暴力的なまでに叩きつけられた快感に、ものの数秒で二度、三度と連続で絶頂する。

「ん"ん"ん"んん~~~っ!!♡♡♡♡」

(きもひぃ…っ!なんでっ、こんな…っ!)

強い快感に呑まれそうになりながら、性感帯でもなんでもなかったはずの乳首で、突然快楽を得るようになってしまったことに疑問が湧く。

「ふ、気持ち良さそうだな。樹脂に混じってワタシの体内に流れている催淫液も一緒に注いでやったからな。簡単に何度でもイけるぞ」
「んお"っ!♡♡お…っ、んおぉ…っ!!♡♡♡」

とんでもないことを聞かされ目を見開くも、そんなことはお構いなしに触手に乳首を揉みしだかれ、瞳の端から堪えきれなかった涙が溢れた。

───コリュッコリュッ♡プチュッブヂュッ♡グヂュッ♡ジュルルルッ♡♡

「んぐっ♡♡んぐぅぅぅっ!!♡♡♡」

イボがゴリゴリと乳首を押し潰すように舐め回しながら、同時に乳輪ごと強く吸い上げ、尖った先端をジュリジュリと粘膜を塗りつけるように撫でる。
痒くて堪らなかった乳首を乱暴に擦られ、待ち望んでいた刺激と強い快楽に同時に襲われ、絶頂するのを我慢できない。

(イッた…!♡もうイッたのに…っ!♡♡)

全裸に剥かれた体は、見たくもない現実も容易く見せつけてくる。
視界の端で、完全に勃起したペニスが、乳首で達するたびにビクビクと揺れ、尿道の先からカウパー液をだらだらと零していた。

(射精、してな…っ!?)

あまりにも唐突に与えられた快楽と、初めての乳首イキに、体の方が追いついていない。
イッているはずなのに吐精をしていないことに驚愕しながら、同時に体の内に溜め込んだままの熱を強く意識してしまい、射精欲が一気に高まる。

(イッ…く…っ!)

射精する───そう思った瞬間、細い触手がペニスに巻き付き、痛いほどに締め上げた。

「おっ!?お"ぉぉっ…!♡♡」

(いっ、いてぇ…っ!)

ギチギチと音が聞こえてきそうなほどキツく締め上げられたペニスは、射精直前だったのに精を止められ、ビクンッビクンッと泣くように揺れた。
その間も乳首をねぶるように撫で、ゾリゾリと這い回る触手の責めは止まらず、体は絶頂から下りてこれないままイキ続ける。

「~~~~ッッッ!!♡♡♡♡」
「すぐにはイかせないぞ。ワタシにとっても久々の食事だ。どうせなら濃い精を飲みたいからな。ワタシ好みの雌のような乳首になるまで、射精はお預けだ」
「んぐ…っ、んごぉお"ぉぉぉっ!♡♡」

美しい顔で微笑みながら、拷問のようなことを平然と言ってのける魔物に、頭の中が恐怖の色に染まる。
ブンブンと勢いよく首を振れば、口の中に居座っていた触手が外れ、粘液と唾液が混じった粘着質な液体が、咥内からだぱりと漏れた。

「お"え…っ!はぁ…っ、は…ぁ、あ"っ♡ひいっ♡♡イグッ!♡♡♡イク…ッッ、やだ!やめろ!!…っ、離せよクソがっ!!」
「…驚いた。この状態で悪態が吐けるとは…やはりお前は頑丈なのだな」
「んぎゅっ♡ヒッ…イッ…離せ!離せっ!!」
「今までの捧げ物はワタシの催淫液を注がれただけで理性が飛んで、淫らな汁を漏らしながら自ら腰を振ったものだが…抵抗できるのは体が大きいせいか?それとも他に何か理由があるのか…」
「お"っ♡やめろ!撫でるな…っ!♡♡」

汗と水でびっしょりと濡れた腹筋を、魔物の手が撫でる。それだけでゾワリと肌が粟立つほど、体は敏感になっていた。

「…やはりお前の体は綺麗だな」
「はぁ…っ♡あっ!?やめっ…そこ撫で…っ、イ…~~~ッッ!!♡♡♡」

腹筋を撫でていた手が流れるようにペニスに絡み、パンパンに腫れた鈴口をぬちゅりと無遠慮に撫でた。

「やめっ、ひっ…!♡♡あ"ぁ"あ"ぁぁぁっ!!!♡♡♡」

敏感な鈴口を、射精することも許されないまま、手の平全体で揉み込むように撫でられ、体が引き攣るほどの快感に涙が溢れた。

「嫌だ!!嫌だっ、やめ…っ!♡♡ひっ!♡♡♡あ"ぁぁぁっっ!!♡♡♡イグッ…、イク…ッ!!♡♡♡」
「ふふ、お前の精を飲むのが楽しみだ。気絶しても構わんが、乳首を撫でるのは止めないからな。射精したかったから、早くワタシ好みの体になるんだぞ」
「ふぎゅっ♡ひっ、無理っ♡♡ぢくびっ…乳首もうやだ…っ!♡♡嫌だぁっ…!」


いくら嫌がっても、責め苦は止まらない。
細かいイボに乳首を舐め回され、ふいに咀嚼するように甘噛みされ、その度に腰に甘い疼きが走り、呆気なく絶頂する。

ゴリゴリ、ズルズルと全身を振動させるような快感に、悲鳴のような嬌声が止むことはなかった。
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