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1巻
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しおりを挟む崩れた日常
父と母の訃報が飛び込んできたのは、ダニエルが王立学園の二年生に進級して間もなくのことだった。
「父様と、母様が……?」
リンベルト伯爵家の所有する領地へと夫婦で出かけていた父と母。二人はおしどり夫婦として社交界でも有名で、結婚してから二十年近く経った今でも、新婚のような仲睦まじいやりとりをよくしていた。
子どもの目から見ても仲の良かった両親は、デートと称して、二人だけで領地へ向かうことが度々あった。それはダニエルや妹のフローラにとっては別段珍しいことではなく、ありふれた日常の中で起こる、平和で平穏な『いつものこと』だった。
そんな日常は、ある日突然、あまりにも唐突に終わりを迎えた。
不幸な事故だった。領地からの帰り道、地盤の緩んでいた斜面が崩れ、大量の土砂が雪崩れ落ちた。不運にも、偶然そこを通りかかった父と母の乗った馬車が巻き添えになり、引いていた馬ごと、御者と共に帰らぬ人となった。
物言わぬ骸となって帰った父と母に、ダニエルもフローラも、暫く現実を受け入れることができなかった。損傷が激しく、二目と見られない状態だったらしい二人の遺体は、幼い妹やダニエルの心に傷を残すだろうと、家令も馴染みの使用人達も、決して見せてはくれなかった。棺の蓋は固く閉じられたまま、最期の別れの瞬間ですら、両親の亡き顔を目にすることは叶わなかった。
「お父様! お母様ぁ!」
フローラは父と母が帰ってきたその日から、棺に縋りついて泣きじゃくった。
対してダニエルはと言えば、尊敬し、愛していた両親を失った悲しみと喪失感に涙は零れたが、泣きじゃくる妹を抱きしめ、精一杯慰めている内に、気づけば涙は乾いていた。
当主を失い、未成年だけになってしまったことへの不安と、跡継ぎとしての重圧が、ダニエルに重くのし掛かった。これからは両親に代わって、自分が妹と伯爵家を守っていかなければいけない──どうしようもない現実が、容赦なく襲い掛かった。
それからはあっという間だった。時間というのは残酷なもので、離れ難いほどの悲しみも、逃げ出したくなるほどの焦燥も、すべて無視して流れていく。父と母が伯爵邸に帰ってきた三日後には、葬儀はしめやかに行われ、二人の亡骸は墓の下へと埋葬された。
悲しみに暮れているばかりではいられない無慈悲な現実に、ダニエルが子どもでいられる時間は、容赦なく奪われた。
◇◇◇◇◇
父と母の葬儀を終えた数日後のことだった。少しずつ落ち着きを取り戻し始めた伯爵家に、招かれざる客人が現れた。
「伯父様……」
先触れもなしに突然やって来た人物に、ダニエルは顔を顰めた。
カッシオ・ドドリエド。父の実兄であり、はっきり言って嫌いな人物だった。
カッシオは自身の妻であるマリエッタと、息子のファブリチオ、娘のジェイミーを連れ、我が物顔で屋敷に入ってきた。
「お待ちください! 突然やって来て、一体なんの真似ですか?」
メイドや従者を押し退けて屋敷に押し入り、サロンで寛ぎ始めた一家。あまりの非常識さに一家を睨むも、カッシオはせせら嗤うように鼻を鳴らしただけだった。
「お前こそ、伯父に向かってなんだその口の利き方は。跡継ぎというだけで、もう当主にでもなったつもりか? ここは私の実家だ。帰ってきて何が悪い」
「あなたは既に廃嫡された身です。ここはあなたの帰る場所じゃない」
弟であった父が伯爵家を継いだのには理由がある。当時、本来の跡取りであった兄のカッシオの傲慢さは目に余るものがあり、当主としての素質に欠けていた。それに加え、伯爵家よりも力の弱い家の令嬢に執拗に迫り、乱暴しようとしたことが当時の当主であった祖父の耳に入り、廃嫡を言い渡されたのだ。未遂とはいえ、その所業は品行方正であった祖父には度し難い愚行で、怒り狂った祖父から屋敷を追い出されたのだと聞いていた。
この話は二年前、その祖父が亡くなった時に、葬儀に参列する伯父についての説明として父から聞かされた。一家を引き連れて現れた伯父は葬儀の場で涙を流す訳でも、別れを惜しむ訳でもなく、忌々しげに祖父の棺を睨んでいた。
その鋭い視線は、父や母、ダニエル達兄妹にも向けられ、本能的に関わってはいけない人物だと察するには十分だった。
「お帰りください。今はあなた方の相手をしているような時間はありません」
「そっちに用は無くても、こっちは用があってわざわざ来てやったんだ」
そう言って投げ捨てるように放り出された紙が、床に落ちた。
「王宮より、当主代行の命を受けた。お前が成人するまでは私がこの家の当主だ」
「なっ……!?」
信じられない発言に慌てて足元に落ちた書状を拾い上げれば、そこには確かに伯父を一時的にリンベルト家の当主として任ずるという内容が書かれていた。
「そんな……私は何も聞いてません!」
「なぜなんの力も持たないガキにわざわざ知らせる必要がある。王命を受けたのは私だ。お前に関係ないだろう」
「くっ……」
ニヤニヤと笑う伯父と、それに便乗して騒ぐ義伯母や従兄妹達の声が室内に木霊した。
「ふぅん、なかなか良い家じゃない」
「今日からここで暮らせるんでしょう? 私このお屋敷に合うドレスが欲しいわ!」
「父さん、僕らも学校に通えるんだろう?」
「ああ、勿論だ。学校にも通わせてやるし、ドレスも買ってやる」
「っ……! お待ちください!」
ぎゃあぎゃあとはしゃぐ一家に、ダニエルは堪らず声を張った。
「この家の跡継ぎは私です! 当家の財産まで自由に使える権限はあなたにないはずだ!」
睨むように伯父を見れば、見下すような目つきで睨み返された。
「わざわざこの家を守ってやろうと当主代行を引き受けてやったというのに、なんだその言い草は? 何もできないガキのために働いてやるんだ。報酬を受け取るのは当たり前だろう。息子達も社交界に出入りすることになるんだ。学校に通わせて何が悪い」
当然だと言いたげな物言いに唇を噛む。その学校に通うだけで、家の財産がどれだけ食い潰されると思っているのか。言い返したいが、王命での当主代行という大義名分を持つ伯父を追い出すような手立てがない。返す言葉に詰まり、拳を握って立ち尽くしていると、背後から声を掛けられた。
「お兄様……? どうなさったの?」
「フローラ……」
自分が大きな声を出したので、心配して様子を見に来てくれたのだろう。母譲りの整った顔立ちと真紅の髪をした妹は、兄の目から見ても美少女だ。そんなフローラの介入に、伯父一家も一瞬黙り込むも、従妹のジェイミーが即座に反応した。
「パパ! 私あんな子と一緒に暮らすの嫌!」
「え?」
「なっ……」
突然のことに状況が理解できていないフローラを指差し、甲高い声を発するジェイミーに一気に嫌悪感が増す。
「そうだな。私も弟の遺したガキ共と同じ屋根の下で暮らすなんてお断りだ。お前達は今日から離れに移れ。この屋敷は私が管理する」
「なぜ私達が……!」
嫌な笑いを浮かべる伯父がとんでもないことを言い出す。咄嗟に反論するも、ジロリと睨まれ、口を噤んだ。
「いいか? 私は王命で来てやってるんだ。この家の今の当主は私だ。せめてもの情けで生活に必要な物の持ち出しは許してやろう。ああ、だが宝石やドレスは置いていけよ。もうお前らには必要のない物だからな。妻と娘が代わりに使ってやる」
「あの子のドレスなんて嫌! 新しく買ってよ!」
「ジェイミー、ドレスを作るのにも時間が掛かるんだ。今はある物で我慢しなさい」
腹立たしい会話に怒りが増すも、事実『跡継ぎ』という肩書き以上のものがない自分にはどうすることもできない。なにより、このままではフローラに危害が及びそうで、怒りと悔しさで握った拳を震わせながら、奥歯を噛んで伯父に従うしかなかった。
「ごめん、フローラ。こんなことになって……」
「お兄様のせいじゃないわ! 悪いのはあの人達よ!」
伯爵家の庭の端にある離れは、二階建ての一軒家だ。建物自体は古いが手入れは行き届いており、家具も揃っているので住む分には問題ない。そこに普段使い用の衣服と、両親からの贈り物、父と母の少ない遺品を持ち込み終えたダニエルは、途方に暮れた。
(どうしてあんな奴が当主代行に選ばれるんだ……)
父方の両親は既に亡く、唯一親族と呼べるのがあの男だ。不本意ながら、直系の血縁者ということに間違いはなく、未成年であるダニエルの代行者として白羽の矢が立つこと自体はおかしいことではない。だが、廃嫡された者にもその資格があり、家を追い出されたも同然になるなど、悪夢以外の何者でもなかった。
(こんな時、母様の実家を頼れたら……)
どうしようもないことだと分かっていても、そう考えずにはいられなかった。
母は隣国の出身で、貴族の家柄ということだけは聞いていたが、どこの国の出で、元の家名はなんというのか、一切教えてくれなかった。母曰く「お父様に一目惚れして、家を飛び出してきちゃったから、もう実家には戻れないの」とのことだった。恐らく勘当されたのだろう。事実、母の実家との交流は皆無で、仮に家名が分かったところで、門前払いをされるのがオチだ。
(どうしよう……明日には、学園に帰らなければいけないのに……)
屋敷を追い出されてしまったこと以上に不安なのは、明日にはフローラを置いて、在学中の王立学園の寮に戻らなければいけないことだった。
今回は両親の葬儀のために特別に帰省できたが、そうでない場合、年に二回の長期休暇以外は家に帰れない。二年生に進級したばかりで、卒業までまだ丸三年。その間、フローラを伯父一家の近くに一人残してしまうことになる。
学費については、入学の際に在籍期間の四年分を一括で支払っているため、通おうと思えば通える。けれどこんな危険な所に、まだ十二歳になったばかりの妹を残してなどいけなかった。
「……学園を辞めて、ここから通学できるスクールに編入するよ」
「そんなことしちゃダメよ! お兄様があの学園に通い続けることが、あの人達への牽制になるわ!」
「フローラ……」
国内には高等教育機関である王立学園の他に、同じく高等教育機関である女学院、平民も入学が可能な一般教育機関の男女共同スクールがある。
学園は誰でも入学できる訳ではなく、成績優秀、品行方正、四年分の学費を一括で支払えるだけの財力等、一定の基準値を満たした貴族子息でないと入学することができない。一学年に在籍できる生徒の数も三十人前後と少なく、学園に在籍、卒業したというだけでも、貴族社会の中では一目置かれる存在になる。
「でも、寮に戻ってしまったら半年は帰ってこれない。フローラをここに一人残していくなんてできないよ」
「私なら大丈夫。そんなにか弱くないから、心配しないで」
明るい性格の母によく似た妹。ニコリと笑んだその顔には、数日前まで両親の死に泣きじゃくり、瞼を腫らしていた面影はなく、懸命に今を耐えようという強い意志が宿っていた。
「お兄様は私の自慢の兄よ。お兄様の優秀さを、あの馬鹿な人達に見せつけてやって!」
「……ありがとう。フローラも、可愛くて、強くて、優しい、私の自慢の妹だ」
「ふふ、ありがとう」
本当に、自慢の妹だ。そう思いながら細い体を抱き締め、はたとあることを思い出す。
(そうだ……フローラだって、三年後には女学院に通う年になる)
貴族の子である限り、いずれかの学校を卒業するのは義務のようなものだ。その中でフローラは女学院への入学を志望していた。あえて口にはしていないが、フローラも今の状況で女学院に入学できるのか、不安に思っているはずだ。
フローラが入学する三年後はダニエルが成人し、爵位を継ぐ権利を得る年でもある。だが無事に爵位を得られたとして、伯父達に財産を食い潰されたあとでは、入学すら危ういだろう。
(そもそも、家の財産を伯父に押さえられている状況で、これからどうやって生活していけば……)
ゾッとするような現実に、フローラの肩を抱く指先に力が籠ったその時、玄関の扉を叩く音が聞こえた。
訪ねて来る者など限られる中、思いがけないノックの音に、二人で顔を見合わせる。一体誰がやって来たのか、恐る恐る玄関へと向かえば、そこには大きなボストンバッグを持った家令のセバスと、フローラの専属侍女のシンディの姿があった。
「セバス!」
「シンディ!」
「お嬢様!」
「ダニエル様、フローラ様、ご無事で……!」
幼い頃から側にいる二人の顔を目にした途端、肩の力が抜けた。そのまま二人を離れの中へと招き入れれば、信じられない話を聞かされた。
「私は解雇されました」
「そんな、どうして……」
「亡き旦那様に仕えていた執事はいらないそうです」
あまりのことに、フローラと共に絶句する。セバスは父にとって兄のような存在で、右腕としてリンベルト家のためにずっと尽くしてきてくれた人だ。そんな人を追い出すなど、信じられなくて言葉が出てこなかった。
「シンディは?」
「私はお嬢様の専属侍女だとお伝えしたら、好きにしろ、その代わり給金は無しだと言われました」
「シンディ、まさかそれで了承してしまったの!?」
「勿論です。お嬢様をお一人にすることなんてできませんもの」
シンディは元は子爵家の娘で、年は二十代中頃になる。子爵家が没落し、路頭に迷っていた所を母に救われ、フローラの専属侍女として雇われたのだそうだ。結婚せずに一生をリンベルト家に尽くすのだと、いつだったか本人から聞いたことがあった。幼少の頃から世話をしているフローラのことも、本当の妹のように可愛がり、フローラもシンディのことを姉のように慕っていた。
「でも無給だなんて……これからの生活はどうするの?」
「ご安心ください、お嬢様。今までたくさんお給金をいただいて、蓄えもあります。奥様に拾っていただいた御恩をようやくお返しできます」
「シンディ……」
「私めも、お二人を残して屋敷を去ることなどできません」
「セバス……二人とも、ありがとう。すごく心強いけど、金銭的な負担を二人に強いる訳にはいかないよ」
たった数時間の間に目まぐるしく変わってしまった現状に、頭が追いつかない。それでも冷静な部分では、このままセバスとシンディに養ってもらうのはいけないと、どうにかして資金を捻出できないかと考え始めていた。その時、セバスがある物をそっと差し出した。
「ダニエル様、こちらはダニエル様名義の貸し金庫の口座証明書と鍵でございます」
「え?」
差し出された予想外のそれに、驚きつつも受け取れば、それは確かに自分の名義で作られた口座だった。国の運営する貸し金庫は、個人資産の預け先として有償で貸し出されているものだ。本人にしか開けることのできない特殊な鍵を用いて金を出し入れする金庫。その口座が自分の名で作られていることを、ダニエルは今の今まで知らなかった。
「旦那様と奥様が、お二人にもしものことがあった時のためにと預けられていたお金です。十五歳からしか口座を作れないため、フローラ様の分は残念ながらご用意ができませんでしたが、それでも当面の生活を維持するには十分な額を預けたと、口座をお作りになられた時に仰っていました。これはお二人の個人資産になります。誰かに取り上げられることはございません」
「これは、どこに?」
「旦那様がお作りになった隠し棚の中から持ち出して参りました。棚の存在は旦那様と奥様、私しか知りませんのでご安心ください」
「ありがとう、セバス……!」
まるでこうなることを予測していたかのような両親の優しさに瞳が潤んだ。だが今は泣いている時間などない。伯父の目を盗み、急いで馬車を出してもらうと、王都の中心街にある金庫へと向かった。窓口で本人であることの証明がされ、金額を確認すれば、金貨二百枚が預けられていた。
(ありがとうございます! 父様、母様……!)
これだけあれば、贅沢しなければ三年間は生活できる。フローラの入学のための支度金もなんとかなるだろう。ただ問題は、自分の今後の学生生活だ。学費は問題ないにしても、諸々の諸経費はどうしても掛かる。簡単に見積もっても、残り三年間で金貨百枚は必要なはずだ。学園に通っている生徒の家柄を考えれば微々たる額でも、今のダニエルには到底支払えない額だった。
(……スカラー制度の申請をしてみようかな)
王立学園には、入学時に学費の何割かを減額される特待生制度の他に、学費以外の諸経費が免除されるスカラー制度がある。入学はできても、その後の家の経済状況で在籍することが難しくなってしまった生徒の救済措置として設けられている制度だ。但し、それ相応の成績を維持することが条件で、条件を満たせなければその時点で退学となる。
(どっちにしろ、このままじゃ通い続けることはできないんだ)
ダメで元々、やるだけやってみよう。決意を胸に、いくらかの金貨を引き出すと、急いで離れへと引き返した。
「スカラー制度の申請をしようと思うんだ」
離れに戻り、ダニエルはフローラ達と今後のことについて話し合った。幸い、セバスとシンディがフローラと共に離れに住み、彼女を守ってくれると言う。部屋は十分に足りているし、住む場所の問題はない。下ろした金貨十枚は渋るセバスを説得し、当面の生活費として預けた。
「スカラー制度って、条件がとても厳しいんじゃ……」
「それなりにね。でも、きちんと勉強していればなんとかなるよ。私はそれより、ここに残していくことになるフローラが心配だよ。もしも何かあったら……」
「大丈夫よ、お兄様。シンディもセバスもいてくれるんだもの」
「ええ、お嬢様のことはお任せください、ダニエル様」
「ダニエル様はどうか安心して、勉学に励んでくださいませ」
「フローラ……二人も、ありがとう」
これからどうなるのだろう、と一時は絶望感しかなかったが、ようやく見えた希望に四人で笑い合った。
和やかな雰囲気にゆるりと気が緩んだその時、ふとある考えが浮かび、それがそのまま声になってポツリと零れた。
「プレジデントを目指してみようかな……」
最終学年から選ばれる生徒代表──プレジデント。成績優秀者の四人が教師達の総評によって選出され、生徒代表として学園内を取りまとめる役目を担うのだ。
プレジデントに選ばれるだけでも素晴らしいことだが、なにより卒業式の日、卒業生代表として、国王陛下から直々に祝いと誉れの言葉を賜るのだ。国王陛下から誉れの言葉をいただける機会などそうそうなく、大変名誉なこととして知られていた。
(頑張ってプレジデントになって、それで卒業式の日に、陛下からお褒めの言葉をいただけたら……)
そうしたら、亡き父と母も、天国で喜んでくれるのではないか。よく頑張ったと、褒めてくれるのではないか。次期当主として、息子として、誇りに思ってくれるのではないか……込み上げた願望に、ぐっと胸が詰まった。
「プレジデントって、学園の生徒代表のこと?」
「うん。簡単になれるものじゃないけど、選ばれること自体、とても名誉なことだし……こんな時だからこそ、もっと高い目標に向かって頑張りたいなって」
願望混じりの目標に、少しばかり自信なさげに答えるも、対照的にフローラは瞳を輝かせた。
「お兄様なら絶対なれるわ! それにプレジデントに選ばれれば、お兄様が跡継ぎとして相応しいって、周囲の方にも分かってもらえるし、あの人達だって文句が言えなくなるはずよ!」
小さな手で拳を作り、熱く語るフローラに苦笑しながら、元気と勇気をくれる可愛い妹の頭をそっと撫でた。
「頑張ってね、お兄様! 私のお兄様はすごいのよって、あの人達にも自慢してやるわ!」
「ふっ、ありがとう、フローラ。フローラが胸を張って自慢できるように、いっぱい頑張るよ」
父と母のため、妹のため、自分自身のため、一つでいいから誇れるものが欲しい。そのために懸命に努力しよう、と静かに決意を固めた。
目標を決めたその日の夕飯は、四人で一緒に食卓を囲んだ。明日からは当分、ここには帰ってこれない。両親を亡くした傷も癒えぬまま、慣れ親しんだ屋敷を追い出され、心細いであろう妹と離れ離れになる。
不安も、悲しみも、苦しみも、全部飲み込み、精一杯笑ってみせた。
◇◇◇◇◇
学園に戻る朝、使用人に頼み、伯父達が起きてくる前にこっそりと馬車を出してもらった。
「何かあったら手紙を書いてくれ。学園には殿下もいらっしゃるし、ご相談くらいはできるかもしれない」
「承知致しました。ダニエル様もお体にお気をつけて」
「うん、ありがとう」
「お兄様、大変だと思うけれど、お勉強頑張ってくださいね」
「ありがとう、頑張るよ。フローラも、無理しないようにね」
ゆっくりと走り出した馬車の中から、小さくなっていく妹達の姿を見つめる。不安も心配も、残されるフローラのほうが何倍も大きいだろう。一人離れなければいけないことに、怖気づいてはいけない。膨らむ不安を必死に飲み込むと、漏れそうになる弱音を喉の奥で殺した。
馬車に揺られること半日。学園に着いたダニエルはその足で教員棟へと向かうと、クラス担当の教師にスカラー制度の申請を願い出た。両親の急逝に胸を痛めてくれた教師は、制度を申し込むことに渋い顔をした。
スカラー制度の申請、それは裏を返せば、家が困窮しているということだ。貴族として家の衰退は恥ずべきことであり、よほどのことがなければスカラー制度を申し込む者はいない。救済措置と銘打ってはいるものの、この制度を活用する者は非常に少ないのだ。
人によっては「貧しい姿を見せるのは恥ずべきこと」と眉を顰める者もいるが、彼がそういった感情で顔を顰めたのではないことは分かっていた。
「何があった? いくらご両親が亡くなったとはいえ、いきなり家が傾くなんてことはないだろう?」
純粋に自分と家のことを案じてくれている。その優しさが、今は身に沁みるほど嬉しかった。
「家のことなので、詳しくお答えできませんが、当主代行としていらっしゃった方があまり……その、協力的ではなくて……」
本当は包み隠さず現状を話してしまいたい。だが家の事情を誰彼構わず話すべきではないことくらい分かる。言葉を濁して俯けば、事情を察してくれたのか、それ以上の追求をされることはなかった。
スカラー制度の適用は、前期と後期毎に行われる試験で、常に上位五位以内の成績を維持することが条件だ。一度でも条件を満たせなければ、それまでの諸経費用を支払うか、支払えなければ退学──リスクは高いぞ、と沈痛な面持ちで語る教師の思い遣りに、深く頭を下げた。
「分かっています。それでも、お願いします」
「……分かった。すまんな。力になってやりたいが、教師である以上、特定の生徒にだけ肩入れしてやることができん。ただ、どうしようもない状態になるまで耐えるな。そうなる前に、話に来い」
「そのお言葉だけで十分です。ありがとうございます、先生」
彼の言葉に嘘偽りはない。本当に、それだけで十分だった。
(あとは自分が頑張るだけだ)
申請書にサインをし、必要な手続きを済ませると、ダニエルは寮の自室へと向かった。
「ダニエル! 戻ってたんだな」
「カリオ……ただいま」
荷解きを終え、休んでいた分の遅れを取り戻そうと教科書を開いていると、同室のカリオが授業を終えて帰ってきた。
カリオ・マルティネス。辺境伯の三男で、赤茶色の短髪に鋭い目つき、自分よりも少しばかり逞しい体格の彼は、一見すると威圧感があり、怖がられることも多いが、実際は気さくで気配り上手だ。
学園の寮は二年生までは二人部屋だ。カリオとは入学して知り合った仲だが、お互い社交界に疎く、領地でのんびり過ごすほうが性に合うという共通点から、自然と仲良くなった。二年で同室になったことでその仲は更に深まり、今では親友と呼べる仲になった。
「大丈夫……じゃないよな。親御さんのことは本当に、なんて言ったらいいか……」
「心配してくれてありがとう。でももう、十分悲しんだから……」
「悲しいに十分も何もないだろう。今だろうが、一年後だろうが十年後だろうが、悲しければ悲しいって言って泣けばいい。俺の胸でよければいつでも貸すぞ」
「ふふ、ありがとう」
両手を広げる彼に、自然と頬が緩む。そうして少しだけ気持ちが軽くなったところで、休んでいた間の授業についてカリオに確認しながら、予習と復習に手を付けた。
「そういえば、家のほうはどうなってるんだ? ダニエルが長男で、あとは妹さんしかいなかっただろう? 親戚とかが見に来てくれてるのか?」
突然の核心を突く質問にドキリとする。カリオとはこれまでにも家族の話をする機会があり、お互いの家族構成も知っていた。不思議に思うのは当然だろう。一瞬、話すべきか迷ったが、カリオのことは信用していた。なにより、これからは成績向上のため、プレジデントを目指すために、毎日必死で勉強する必要がある。同室のカリオには、遅かれ早かれ何かあったとバレるだろう。
躊躇いながらもペンを置くと、ダニエルは体ごとカリオに向き直った。
「カリオ、ちょっとだけ、愚痴を聞いてもらってもいいかな?」
真剣な表情に変わった彼を見据え、両親の葬儀後に起こったことを話した。
伯父一家の襲来、屋敷を乗っ取られ、妹と共に離れに追いやられてしまったこと。伯爵家の財産も奪われ、信頼していた使用人まで巻き添えになってしまったこと。金銭的に逼迫した状況でスカラー制度を申請したこと、すべての事情を赤裸々に語れば、彼の顔はみるみる内に赤く染まっていった。
「なんだよそれ……っ!! そんな輩追い出しちまえ!! ダニエル達がそんな目に遭うなんておかしいだろう!!」
「怒ってくれてありがとう。でも、王命でやって来たって言われて、追い出すに追い出せなくて……実際、私は跡継ぎっていう肩書き以上の力を持ってないし、もし歯向かって、フローラに何かされたらと思うと、言い返すこともできなくて……」
「確かに妹さんは心配だけど……他に頼れる親族とかいないのか? 母君の実家は?」
「母の実家は……その、母は駆け落ち同然で父を追って家を出たみたいで、頼れないんだ」
「…………情熱的な母君だったんだな」
言葉を選んでくれたのだろうが、微妙に恥ずかしい。少しだけ空気が和らぐも、未だ険しい表情のままのカリオに、できる限り明るい声で返事をした。
「大丈夫。伯父はあくまで当主代行だ。私が成人して、家を継げるようになるまでの辛抱だと思って、今はできることを頑張るよ」
「何かあれば言えよ? 俺にできることも少ないけど、力になるからな。いざとなれば、親父に相談することだってできる」
「ありがとう。すごく心強いよ。もしもの時は頼らせてくれ。……今の目標は、プレジデントになることなんだ。それで少しでも、次期当主として、周りに認めてもらえればと思って……」
「おう! 応援するぞ!」
カリオの明るく力強い声に励まされ、やる気と気合いが湧いてくる。
「しかし、なんだってそんな奴が当主代行になったんだ」
「……伯父が血縁者であることは事実だしね。リンベルト家の血筋の中で、成人している者が伯父しかいないせいだと思う」
国からすれば、その血筋の者が領地を管理すべき、という考えなのだろう。内情までは加味されない。一応〝代行〟ということで、正式な当主としては認められていないようだが、これが自分よりももっと幼い未成年の跡継ぎだった場合、赤子の手を捻るより容易く当主の座を奪われるだろう。
(自分だって、似たようなものだけれど……)
未成年というただそれだけで、こんなにも不利なのかと、悔しさが滲んだ。
翌日、教室に向かうと、多くのクラスメイト達から声を掛けられた。
「リンベルト、あまり無理をするなよ?」
「ありがとう。大丈夫だよ」
「なんて言ったらいいか分からないけれど……何かできることがあれば、いくらでも力になるからね!」
「私も、お話を聞くくらいしかできないかもしれませんが……」
「皆も心配してくれてありがとう。そう言ってくれるだけで嬉しいよ」
労わるような声と心配してくれる級友達の言葉に、胸が熱くなった。流石に皆にまでリンベルト家の実状を話すことはできず、やんわりと言葉を濁すと、「大丈夫」という顔をしてみせた。
ほどなくして授業が始まり、昨日までの怒涛の日々が嘘のように、今までと変わらない日常が訪れた。自分が当たり前の日常の中へ溶け込んでいく──それを堪らなく不思議に思いながら、現実逃避のように意識はどこか遠い所へと逸れていった。
シュエルヴァーズ・カレッジ。シュヴェリア王国の高等教育機関である全寮制の男子校で、優秀な人材を輩出することで有名な王立学園だ。
在学期間は十五歳から十八歳までの四年間。十八歳で成人となるこの国では、卒業と同時に成人として認められる。
貴族階級の家の中でも、更に財力と優秀者だけが入学できる最高教育機関で、入学すると高度な教養を身につけると共に、集団での寮生活を通して多くのことを学ぶ。それによって貴族の子も平民や使用人達と変わらぬ、ただの人の子であるという意識を育てるのだそうだ。
一昔前の高位貴族の中には、使用人や平民を同じ人間と思わない者がいた。それを嘆いた数百年前の国王が『役目や役割は違えど皆等しく国民である』という考えの元、貴族達に自分達の傲慢さと無力さを学ばせるために作ったのがこの学園の始まりだと、入学式の際に説明を受けた。
今の時代にそこまで偏った選民意識の者は少なく、貴族と平民、主人と使用人というそれぞれの線引き、価値観の違いはあるものの、平民だから何をしてもいい、使用人だから好きに使っていい、という悪習はほとんど無くなった。そのおかげか、王国は昔以上に栄え、学園の在り方は更に洗練されたものへと変わっていった。
とはいえ貴族学校であることに変わりはなく、広大な敷地には校舎の他に、生徒達の生活スペースである寮、馬場、教会、音楽ホール、サロン、各種専門店等、娯楽施設が多数備えられていた。
教科は語学、歴史、算術、魔法学等の基礎科目八種に加え、選択科目で音楽、美術、剣術等を学び、自身の才能を伸ばしていく。
(魔法学だけは、教科書に書かれていることを学ぶだけだけど)
今正にめくっている教科書に目を落としつつ、文字を目で追った。
この世界には魔法や魔術が存在するが、この国で扱える者は少ない。隣国である魔法大国には、祖となる人種の違いか、土地柄か、多くの魔法使いや魔術師が存在する。同じく魔物と呼ばれる生き物も生息しているが、どういう訳か魔物が他国に流れることはなく、同じように魔力を持つ者もほとんどいない。
ただ完全にいないということはなく、婚姻や移住などで他国に流れる者の血脈か、時たまシュヴェリア王国でも魔法を扱える者が現れた。そういった者は貴族や平民といった階級に関係なく、特別な教育機関で力の扱い方を学ぶことになる。大抵の場合は危険性はなく、極々一部の特別な契約に関わる執務に携わる魔術師以外は、特に制限もなく普通に生活していると聞く。この国では、魔法や魔術は近くて遠い存在なのだ。
魔法学の授業が終わり、次の授業が始まる前に教科書をパラパラとめくりながら、物思いに耽った。
(今の私の成績だと、もう少し頑張らないと五位以内に入るのは難しいな)
現在の成績は学年七位。決して悪くはないが、二位分の差を埋め、更にはプレジデントという目標のため、より高みを目指さなければならない。
(学年主席はフィルベルテ殿下で、次席が殿下の側近のメロディウス様……三位がヴァシュフォード様だったよな)
成績上位五名までは、試験後にその結果が公表される。前回の結果を思い出しながら、「う~ん」と唸った。
(殿下とメロディウス様がプレジデントに選ばれるのは確実だろうな。ヴァシュフォード様も……)
プレジデントは成績優秀であることは勿論だが、他にも品行方正で規律違反がないこと等、様々な能力が足し算方式で加算され選ばれる。
(ヴァシュフォード様は、生活態度は規則的で、模範的な優等生という感じなんだよな)
そんなことを考えながら、同じ教室内にいるその人に視線を向けた。
エドワルド・ヴァシュフォード。公爵家の次男で、次期当主としての未来が決まっていると小耳に挟んだことがある。蜂蜜のように濃い金の髪と、アメジストの瞳。体は細身だが背は高く、自分より拳一つ分低いかどうかという差だ。陶器のように白い肌と整った顔立ちは美しいが、その顔は常に無表情で、精巧な人形のようだ。常に一人で過ごしており、非常に近寄り難い雰囲気だが、生活態度や成績は非の打ち所がない優等生だ。プレジデントに選ばれるのは確実だろう。
(ヴァシュフォード様に並ぶくらいの気持ちでいれば、上位五位以内は間違いない……)
流石に主席の殿下に並べるとは思えないが、せめて三位以内を目指すつもりで頑張れば……そう人知れず決意をすると、小さく気合いを入れた。
この日から、規則正しいエドワルドの行動を目で追い、それと同時に、目標に近づくため、追いかける対象として、その背を意識するようになった。
目標が決まってからは、必死になって勉強に取り組んだ。少しでも分からない箇所があれば直接教員棟に赴き、担当教諭に教えを請うた。寮専門の教師にも積極的に声を掛け、苦手な教科を無くすべく、無我夢中で勉強した。
自室にいる間はずっと机に齧りつき、予習と復習を繰り返しながら、教科書の中身を完全に覚えるまで読み返す。これまでにないほどの勉強量に、頭は今にも破裂してしまいそうだった。
プレジデントを目指す以前に『成績上位五位以内に入れなければ退学』というプレッシャーは、ダニエルが思っていた以上に重く、寝付きが悪くなったり、ふとした時にもう両親がいないのだという現実を思い出して涙が溢れたりと、精神的に不安定になることもあった。だが自分のため、リンベルト家のため、応援してくれる妹のために頑張らなければと、グラつきそうになる心を懸命に叱咤した。
そんな生活も、毎日続けていれば慣れるもので、少しずつだが気持ちにもゆとりが出始めた。これなら試験も上手くいくはず……そう希望が見え始めた時だった。
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