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11.コンラート、1歩リード?

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後ろから見ると、深紅の髪がところどころはねててなんかちょっと可愛い。

コンラートが背中を向けて座ってくれたから正直ちょっと安心してる。
だってこんな感じだけど私たち、普通に話すの今日が初めてだからね。


結局、スイートマジョラムのオイルを手に取り、まずはそっとコンラートの左肩を撫でた。

それにしてもこの三角筋ヤバい・・・
あれ、ビクッてしたね?

「くすぐったい?」
「んーん、気持ちいい・・・」

そう、良かった・・・
オマケにちょっとイイ声だった。ごちそーさまです!


そのまま、まずは両手で肩甲骨を包むようになぞり上げる。
あまり軽く触ると脇の方はくすぐったいだろうからね。しっかり力をかけて押していく。

疲労を示す灰色のモヤモヤが見えないのは・・・アレだよね?
今しがた食べてたクッキーが効いたんだね、きっと。


それにしても美しい。
惚れ惚れするくらい綺麗な上腕・・・

あー、コンラートが向こう向いてくれててほんと良かったわ。絶対ヤバい顔してる自覚あるもん。
麗しき上腕二頭筋、三頭筋と意識して撫でていくといよいよ問題の、痛めてる肘のところまで下りてきた。

いつものように両手で肘を包み込むと、内部から湧き出るようにオレンジ色のモヤモヤがどんどんどんどん出てくる。

「コンラート、痛めてから随分ほっといたの?」

「いや、なんていうか・・・仕事ですぐ痛めるんだ」

ああ、鍛冶屋だもんなぁ・・・重いものぶん回してそうなイメージだよね。


私はオレンジ色のモヤモヤが出尽くすまでじっとコンラートの肘をあっためた。

「あぁ・・・」

おっふ。
2度目のイイ声、ありがとうございます。



コンラートってかなりのイケメンなんだけどね。
深紅の髪もカッコイイけどこの世界、赤い髪は結構いるんだ。でもコンラートの瞳がね、なんかよく見るとすっごいの。キラキラ色んな色が見えてね、あれってもしかしてエルフのお母さん譲りなのかなぁ・・・


肘からオレンジ色が出なくなったから、最後に指の先までモヤモヤを持ってって爪の先から全て排出した。

「はい、お疲れ様でしたー」

私が明るく言うと、

「お前、スゲーな。全然痛くなくなった」

「ふふ。もっと早くやって欲しかったって?」

そう言ってからかうと、コンラートはちょっと微妙な顔して「ああ」って返してくれた。




「うわぁー、やっべー、超軽くなったし」

上半身裸のまま両腕をグルグル回したり、なんか色々し始めたから・・・

「ちょっと、コンラート。服着なさいよ」

私、さっきからずっとあんたのシャツを手に持ってるんだけど?


「すっげぇ全然痛くないし」
「だから、服着てって」

「わかってる。ちょっと待てって」


とか言って、ストレッチとかやりだす始末・・・

あー、これ聞いてないヤツだ。
ハハ、なんかうちの弟と話してるみたいな感覚だな・・・


私の双子の弟。
陸斗、りっくんって呼んでたんだけどね。

私、中学の後半からはちょっと嫌われてたかなー。なんかウザがられてたし・・・

高校は「お前と一緒はムリ」とか言って、別のとこ受けてたし。通学路真反対の・・・


今思えば思春期?って思うけど、あの頃は結構ショックだったなぁ・・・


りっくん、今、どうしてーーー


「うわっ!」



物思いに耽ってたら、急にコンラートが私を抱きしめてきた。

「ちょっ!」
「だってお前、お前の魂の色、今・・・泣きそうだったから」





そっか。
そういう心模様が見えるってこと?

そっか・・・
りっくんのこと、思い出してたからか。


スイートマジョラムの甘い香りに包まれて、なんかコンラートに抱きしめられてるのがそんなに嫌じゃなくて・・・なんか、人肌が温かくて気持ちイイーー


って、あんた今、肌っ、裸じゃん!


「もう、だから服を着なさいよ!」




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