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*番外編*かけがえのないお方⑦
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アクリウス公爵様との結婚が決まり、それからは目まぐるしい日々でした。
お父様はアクリウス公爵様の助けを受けて事業に復帰し、伯爵家の地位を再び取り戻すことができました。
私たち家族も元の家に帰ることができ、喜ぶ間もなくすぐに結婚式の準備に追われ、アクリウス公爵様と結婚するという自覚が湧いたのは、結婚式当日、アクリウス公爵様の姿を見た瞬間でした。
久しぶりに見た公爵様は、以前と変わらず体格が良く、周りをはっとさせるような圧倒的な存在感がありました。
アクリウス公爵様が、私の夫になるなんて。なんて幸せなのでしょうか。
改めてそう実感すると、じわっと目に涙が浮かび、私は慌てて流れ落ちる涙を拭いました。
アクリウス公爵様は私に気づくと、はっとしたような表情になりました。何かをぐっと堪えるような、複雑そうなその表情に不安を覚えながらも私はアクリウス公爵様に近づき、深くお辞儀をしました。
「アクリウス公爵様、この度は私たち家族を救ってくださりありがとうございます。公爵様の妻として精一杯...」
「礼はいい。私にとっても必要な結婚だからな。...頭を上げてくれ」
〝必要な結婚〟
その言葉に、私はショックを受けていました。
没落寸前の貴族に結婚を申し込むなんて、普通の貴族であればありえない話。もしかすると、アクリウス公爵様は出会ったあの日から私のことを覚えていて、好意を持ってくだっているのではと勝手に淡い期待をしていたのです。
公爵様にとって、この結婚は私に好意を持っていたからではなく政略結婚だったのね...
けれど、どうして没落寸前の私なんかが結婚相手に選ばれたのでしょうか。
「そろそろ、皆さん揃ったようです」
教会の人たちがそっと私と公爵様に声をかけ、会場のドアを開けました。
「...行くぞ」
差し出された手はとても温かく、私は再びこぼれ落ちそうな涙を堪えながら頷くのでした。
お父様はアクリウス公爵様の助けを受けて事業に復帰し、伯爵家の地位を再び取り戻すことができました。
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「...行くぞ」
差し出された手はとても温かく、私は再びこぼれ落ちそうな涙を堪えながら頷くのでした。
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