19 / 23
*番外編*かけがえのないお方⑤
しおりを挟む
その日以降、私はあれだけ避けていたパーティーに参加するようになりました。
お父様やお母様も驚いた様子でしたがどこか嬉しそうでした。
「今日もいらっしゃるといいわね」
カトレーヌはからかうように私に言いながら、顔を赤くして頷く私を嬉しそうに見ていました。
...今日もいらっしゃったわ。
会場についてからいつも探すのはアクリウス公爵様のお姿。体格のいい公爵様はどこにいても目立つ存在で、公爵様を見つけては胸がときめくのを感じていました。
カトレーヌからは、見ているだけではなく声を掛けるかお父様に縁談を頼んでみてはどうなの?と言われているものの、私は首を振りました。
陰ながら見ているだけで精一杯だったのです。こんな気持ちになるのは初めてのことでした。
そんな日が続いていたある日のことでした。
投資していた事業が失敗し、それに伴い領地の事業も悪化した責任を問われ、私の家族は没落寸前まで追い込まれてしまったのです。
家は差し押さえられ、家具や洋服も全て売りに出されてしまいました。
「ソフィア、本当にすまない...」
「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね、ソフィア」
「お父様、お母様、私は大丈夫よ。心配しないでこれから頑張りましょう」
憔悴しきった両親を励ましながらも、私はこれからどうなってしまうのか心の中は不安でいっぱいでした。
もう、アクリウス公爵様のお姿を見ることすらできないのね...
私にとって、それはとてつもなく辛いことでした。
父の知り合いの別宅にお世話になることになり、私も働きに出なければならないと覚悟していた時、アクリウス公爵様との縁談が持ち上がったのでした。
お父様やお母様も驚いた様子でしたがどこか嬉しそうでした。
「今日もいらっしゃるといいわね」
カトレーヌはからかうように私に言いながら、顔を赤くして頷く私を嬉しそうに見ていました。
...今日もいらっしゃったわ。
会場についてからいつも探すのはアクリウス公爵様のお姿。体格のいい公爵様はどこにいても目立つ存在で、公爵様を見つけては胸がときめくのを感じていました。
カトレーヌからは、見ているだけではなく声を掛けるかお父様に縁談を頼んでみてはどうなの?と言われているものの、私は首を振りました。
陰ながら見ているだけで精一杯だったのです。こんな気持ちになるのは初めてのことでした。
そんな日が続いていたある日のことでした。
投資していた事業が失敗し、それに伴い領地の事業も悪化した責任を問われ、私の家族は没落寸前まで追い込まれてしまったのです。
家は差し押さえられ、家具や洋服も全て売りに出されてしまいました。
「ソフィア、本当にすまない...」
「辛い思いをさせてしまってごめんなさいね、ソフィア」
「お父様、お母様、私は大丈夫よ。心配しないでこれから頑張りましょう」
憔悴しきった両親を励ましながらも、私はこれからどうなってしまうのか心の中は不安でいっぱいでした。
もう、アクリウス公爵様のお姿を見ることすらできないのね...
私にとって、それはとてつもなく辛いことでした。
父の知り合いの別宅にお世話になることになり、私も働きに出なければならないと覚悟していた時、アクリウス公爵様との縁談が持ち上がったのでした。
41
お気に入りに追加
3,071
あなたにおすすめの小説

今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
毛蟹葵葉
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。

忘却令嬢〜そう言われましても記憶にございません〜【完】
雪乃
恋愛
ほんの一瞬、躊躇ってしまった手。
誰よりも愛していた彼女なのに傷付けてしまった。
ずっと傷付けていると理解っていたのに、振り払ってしまった。
彼女は深い碧色に絶望を映しながら微笑んだ。
※読んでくださりありがとうございます。
ゆるふわ設定です。タグをころころ変えてます。何でも許せる方向け。
君のためだと言われても、少しも嬉しくありません
みみぢあん
恋愛
子爵家の令嬢マリオンの婚約者、アルフレッド卿が王族の護衛で隣国へ行くが、任期がながびき帰国できなくなり婚約を解消することになった。 すぐにノエル卿と2度目の婚約が決まったが、結婚を目前にして家庭の事情で2人は…… 暗い流れがつづきます。 ざまぁでスカッ… とされたい方には不向きのお話です。ご注意を😓

もう、愛はいりませんから
さくたろう
恋愛
ローザリア王国公爵令嬢ルクレティア・フォルセティに、ある日突然、未来の記憶が蘇った。
王子リーヴァイの愛する人を殺害しようとした罪により投獄され、兄に差し出された毒を煽り死んだ記憶だ。それが未来の出来事だと確信したルクレティアは、そんな未来に怯えるが、その記憶のおかしさに気がつき、謎を探ることにする。そうしてやがて、ある人のひたむきな愛を知ることになる。

久しぶりに会った婚約者は「明日、婚約破棄するから」と私に言った
五珠 izumi
恋愛
「明日、婚約破棄するから」
8年もの婚約者、マリス王子にそう言われた私は泣き出しそうになるのを堪えてその場を後にした。
とまどいの花嫁は、夫から逃げられない
椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ
初夜、夫は愛人の家へと行った。
戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。
「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」
と言い置いて。
やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に
彼女は強い違和感を感じる。
夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り
突然彼女を溺愛し始めたからだ
______________________
✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定)
✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです
✴︎なろうさんにも投稿しています
私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

人の顔色ばかり気にしていた私はもういません
風見ゆうみ
恋愛
伯爵家の次女であるリネ・ティファスには眉目秀麗な婚約者がいる。
私の婚約者である侯爵令息のデイリ・シンス様は、未亡人になって実家に帰ってきた私の姉をいつだって優先する。
彼の姉でなく、私の姉なのにだ。
両親も姉を溺愛して、姉を優先させる。
そんなある日、デイリ様は彼の友人が主催する個人的なパーティーで私に婚約破棄を申し出てきた。
寄り添うデイリ様とお姉様。
幸せそうな二人を見た私は、涙をこらえて笑顔で婚約破棄を受け入れた。
その日から、学園では馬鹿にされ悪口を言われるようになる。
そんな私を助けてくれたのは、ティファス家やシンス家の商売上の得意先でもあるニーソン公爵家の嫡男、エディ様だった。
※マイナス思考のヒロインが周りの優しさに触れて少しずつ強くなっていくお話です。
※相変わらず設定ゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字、気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません!

離れ離れの婚約者は、もう彼の元には戻らない
月山 歩
恋愛
婚約中のセシーリアは隣国より侵略され、婚約者と共に逃げるが、婚約者を逃すため、深い森の中で、離れ離れになる。一人になってしまったセシーリアは命の危機に直面して、自分の力で生きたいと強く思う。それを助けるのは、彼女を諦めきれない幼馴染の若き王で。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる