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旦那様の告白
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アクリウスは言葉を失っていました。妻の言葉にとても驚いていたからです。
結婚前から私のことが好きだと?
ありえない、本当なのか?
結婚したからには妻の務めを果たそうとしているものだとばかり思っていたからです。
毎日健気に頑張るソフィアに、アクリウスは更に惹かれていました。そして、我慢の限界を迎えたのが昨晩のこと。
「旦那様...?」
ソフィアは、私がどれほど愛しているのか分かってないのか。ようやく気がつき、はぁっと息を吐きました。
アクリウスのため息に、ソフィアは不安げな顔をしています。何か怒らせてしまったのではないか、という表情です。
アクリウスはそっとソフィアの頬を撫でました。毎日、ソフィアが寝静まったのを確認し、寝顔を見つめながら頬に触れ、幸せを噛み締めていたのです。
こんなに愛しい君が政略結婚とはいえ妻になってくれて、健気に妻の務めを果たそうとしてくれている。私はなんて幸せなのだろうと。
そしてそれと同時に、没落寸前だったソフィアの家計を助けることと引き換えに、彼女を妻にもらったことについて罪悪感も襲ってきたのです。彼女は私といて幸せなのだろうか、と。
この結婚は彼女の意思ではなく、彼女の家族を助けるものであったからだと思っていたからです。
「ソフィア...すまない」
「え...?」
彼女の瞳が不安げに揺れました。アクリウスはソフィアの目をしっかりと見つめて言いました。
「ソフィア、私が何の見返りも求めずに君と結婚したと思ったのか?だとしたらそれは違う。.....前から私は君が好きだった」
「え...?」
「君の家が没落寸前だと聞いた時、私はすぐに君の父上に会いに行った。没落しないよう援助する代わりにソフィアを....妻に欲しいと。君の父上はそれは悩んでいたよ」
ソフィアは信じられない様子で息を呑みました。旦那様は私を妻にしたくて家の支援もしてくださったの...?
「これは私が無理矢理取り付けた政略結婚だったから、君は無理をして私の妻を演じているのだと、努力しているのだと思っていたんだ。私は女性の扱いに慣れていなかったから、最初こそ君に触れる事に戸惑った。でも、段々と我慢ができなくなった...」
アクリウスは愛おしそうにソフィアを見ながら、頬に当てていた手をすっと唇に移すと、そのまま顔を近づけました。
ソフィアがそっと目を閉じるのを合図に、唇が重なり、アクリウスはそのままソフィアの口をそっと開けました。
「...んむっ....ぁ」
昨夜と同じ深いキス。じわりじわりとアクリウスの舌に攻められ、ソフィアは何も考えられなくなりました。
そのままアクリウスはキスをしながらソフィアの頭に手を伸ばすと、体重をかけながらゆっくりと押し倒し、角度を変えながらキスを続けます。
ようやく唇が離れると、ソフィアはアクリウスが自分の服に手をかけている事に気づきました。
「旦那、様...」
「ソフィア、愛してる。結婚する前から、ずっと...ずっと...」
チュッと触れるだけのキスを落とし、アクリウスは熱を帯びた視線をソフィアに向けました。
「触れて、いいか...?」
ソフィアは顔を赤くしながら、こくっと頷きます。アクリウスはそれを確認すると、大好きで愛しくてたまらない妻の頬を優しく撫で、幸せそうに微笑みました。
結婚前から私のことが好きだと?
ありえない、本当なのか?
結婚したからには妻の務めを果たそうとしているものだとばかり思っていたからです。
毎日健気に頑張るソフィアに、アクリウスは更に惹かれていました。そして、我慢の限界を迎えたのが昨晩のこと。
「旦那様...?」
ソフィアは、私がどれほど愛しているのか分かってないのか。ようやく気がつき、はぁっと息を吐きました。
アクリウスのため息に、ソフィアは不安げな顔をしています。何か怒らせてしまったのではないか、という表情です。
アクリウスはそっとソフィアの頬を撫でました。毎日、ソフィアが寝静まったのを確認し、寝顔を見つめながら頬に触れ、幸せを噛み締めていたのです。
こんなに愛しい君が政略結婚とはいえ妻になってくれて、健気に妻の務めを果たそうとしてくれている。私はなんて幸せなのだろうと。
そしてそれと同時に、没落寸前だったソフィアの家計を助けることと引き換えに、彼女を妻にもらったことについて罪悪感も襲ってきたのです。彼女は私といて幸せなのだろうか、と。
この結婚は彼女の意思ではなく、彼女の家族を助けるものであったからだと思っていたからです。
「ソフィア...すまない」
「え...?」
彼女の瞳が不安げに揺れました。アクリウスはソフィアの目をしっかりと見つめて言いました。
「ソフィア、私が何の見返りも求めずに君と結婚したと思ったのか?だとしたらそれは違う。.....前から私は君が好きだった」
「え...?」
「君の家が没落寸前だと聞いた時、私はすぐに君の父上に会いに行った。没落しないよう援助する代わりにソフィアを....妻に欲しいと。君の父上はそれは悩んでいたよ」
ソフィアは信じられない様子で息を呑みました。旦那様は私を妻にしたくて家の支援もしてくださったの...?
「これは私が無理矢理取り付けた政略結婚だったから、君は無理をして私の妻を演じているのだと、努力しているのだと思っていたんだ。私は女性の扱いに慣れていなかったから、最初こそ君に触れる事に戸惑った。でも、段々と我慢ができなくなった...」
アクリウスは愛おしそうにソフィアを見ながら、頬に当てていた手をすっと唇に移すと、そのまま顔を近づけました。
ソフィアがそっと目を閉じるのを合図に、唇が重なり、アクリウスはそのままソフィアの口をそっと開けました。
「...んむっ....ぁ」
昨夜と同じ深いキス。じわりじわりとアクリウスの舌に攻められ、ソフィアは何も考えられなくなりました。
そのままアクリウスはキスをしながらソフィアの頭に手を伸ばすと、体重をかけながらゆっくりと押し倒し、角度を変えながらキスを続けます。
ようやく唇が離れると、ソフィアはアクリウスが自分の服に手をかけている事に気づきました。
「旦那、様...」
「ソフィア、愛してる。結婚する前から、ずっと...ずっと...」
チュッと触れるだけのキスを落とし、アクリウスは熱を帯びた視線をソフィアに向けました。
「触れて、いいか...?」
ソフィアは顔を赤くしながら、こくっと頷きます。アクリウスはそれを確認すると、大好きで愛しくてたまらない妻の頬を優しく撫で、幸せそうに微笑みました。
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