無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない

旦那様の世間話

「良かったじゃない。まぁ、あの堅物で有名なアクリウス公爵様がそんな風になるなんて驚きだけど」


昼下がり、私は友人のカトレーヌと共にお茶をしながら昨夜のことを話すと、楽しそうに彼女が答えました。


彼女は昔からの親しい仲で、なんでも話せる大事な友人です。サバサバとしたはっきりした物言いをする彼女は御令嬢らしくないなんて周囲から言われることもありますが、私にはない彼女のそのハッキリした性格が私は好きでした。


「でも、突然のことで驚いてしまって、今朝も普段通りにできなかったの。変に思われてないかしら」


「大丈夫でしょ、それは。そんなに気になるなら今日ちゃんと話せばいいじゃない」


「話すって...？」


「もっと手を出して欲しいって。昨日は驚いたけれど本当は嬉しかったのって」


「そっ、それは...」


あまりにも直接的じゃないかしら、と私が顔を赤らめて言うと、カトレーヌは笑いながら言いました。


「ソフィア、あなたって行動は大胆なのにいざ攻められると弱いのね」


しばらく何でもない世間話をして、彼女と別れました。彼女は数年前に年上の騎士様と恋愛結婚をして、今では2人の子供に恵まれて幸せそうに暮らしています。


私と旦那様は政略結婚ではありますが、私は彼がずっと好きだったので幸せです。けれど、旦那様はどうして私と結婚してくださったのかしら。


没落寸前だった私にとってはとてもありがたいお話だったけれど、旦那様にとって私と結婚するメリットが何かあったのかしら...


そんな疑問を感じつつも、カトレーヌとの会話を思い出して再び赤面するのでした。