想い綴り

ある物と幸せと

物は少なく、そうかと言ってとりわけ良い物を使っているわけではない。


けれど、私は今ある物で充分だと思える。


むしろ、物が多いと何が何処にあるかわからなくなって探す時間がかかるから、私にとってはこれくらいが丁度いい。


ガランとした部屋を眺めてふぅっ、と息を吐く。


昔は物で溢れていて、あれも欲しいこれも欲しいととにかく最新のものを求めた。


お給料が入ったらすぐに欲しかった物を買い、時にはカードの支払いが収入を上回ってしまう事もあった。


懐かしいな...


あの頃は買っても買っても満足できず、とにかく欲しい物を買ってはタンスや物置の部屋へ置くような生活をしていた。


最新の美容グッズや化粧品、痩せると話題のダイエット食品や新作のバッグに流行りの洋服。


欲しいと思ったら迷わず買う。
その考えは今でも変わらない。


けれど、欲しいか欲しくないかの見極めや感覚が変わってからは、欲しいと思う物も少なくなった。


ピーッピーッ


洗濯が終わったようだ。


「いい天気...」


洗濯物を干しながら、空を見上げる。


雲ひとつない青空。
こんなに天気がいいのは久しぶりだ。


洗濯物を干し終わり、伸びをする。



「さて、と。行きますか」


日焼け止めを塗り、髪型を少し整える。
どうせ汗をかくのだから、化粧や髪のセットをする必要もない。


ヨガに行く準備を整え、家を出た。


物が少なくなってから、今まで買い物に充てていたお金を習い事に使うようになった。


物を増やすより、経験にお金を使う方が良さそうだと思ったから。


やってみたいと思ったことはする。
その分、物を買う事を減らす。


こうなるまで随分時間がかかってしまったけれど、一度物を減らすともう増やしたいとは思わなくなった。


昔は物で溢れていた部屋も、スッキリして何が何処にあるのか把握しやすくなった。


「料理も習ってみたいなぁ」


ヨガ教室に行くのにもそろそろ慣れてきたし、始めてみるか！


るんるん気分で、今日の休日も満喫できそうだ。