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人生の振り返り~小学生①~
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「ママ、パパ、見てみてっ、似合うー??」
ピカピカのランドセルを背中に背負い、私は両親の前でくるっと回ってみせた。
「おぉ、似合うじゃないかー!可愛いなぁ由佳子ー」
「うん、すごく似合ってる!」
「えへへへーーっ」
両親に褒められ、私はうきうきだった。
小学生になった私は、ピカピカのランドセルを背負い、毎日学校に通った。
最初は人見知りでなかなか打ち解けられなかったが、徐々に友達もできて楽しい学校生活を送っていた。
勉強もそんなに悪い成績ではなく、先生の言うことをしっかりと聞く優等生タイプ。
両親は、初めこそ心配していたが、楽しそうに学校に行く私の様子を見て、安堵したようだった。
昼休みはクラス全員で鬼ごっこをしたり、雨の日はトランプをしたり、みんなで仲良く過ごした。
*****
「懐かしいです。私、特に鬼ごっこが大好きで、でも体力がないからすぐに捕まっちゃって」
幼少期の私の映像を見ながら、ふふっと笑みがこぼれる。
運動神経ゼロのくせに、何故か走るのが好きだった。
....そうだ。私、由佳子として生まれる前は陸上をしていた気がする。
「あの時は、怪我をしないかヒヤヒヤしてました。しかも岩場や木によじ登ったりするので...避けるように仕向けるのが大変だったんですよ」
「もしかして、私が木に登ろうとした時に限って虫がぶんぶん飛んで来たのって...」
「私が木に登らないように仕向けたんです。そうでもしないと、足を引っ掛けて骨折してしまう日だったんですよ、あの日は」
そう言って、やれやれという風にサキさんが肩をすくめた。
そっか。こうやって、私の知らないところでしっかりと私を守ってくれていたのだ。
そういえば、何故か木には登りたくない、と思った事が何度かあった。
今思えば、サキさんが必死で止めてくれていたのかもしれない。
*****
高学年になると、クラスの雰囲気も少しずつ変わっていった。
気づくと、いくつかのグループに分かれて遊ぶようになり、私はそれが少し苦手だった。
「由佳子ちゃん、今日みんなで私の家に集まるんだけど、一緒に来ないー?」
「えっ、いいのー?行きたい!」
こうして誘ってくれるのは素直に嬉しくて、放課後友達と遊ぶことも増えていった。
「ねぇ、藍子ちゃんってさ、なんか一緒にいてもつまんなくない?」
ある時、一人の女の子が口を開く。
クラスでも割とリーダー的な存在の子だ。
「うん、わかるー!」
「面白くないよねー」
取り巻き達が次々に同調する。
嫌な感じだ、と思ったけれど、私にそれを止める勇気はなかった。
その日から、藍子ちゃんに対してみんなよそよそしくなった。
藍子ちゃんが話しかけても、みんな「へー」とか、「ごめん、今忙しいんだ」とか言って、相手にしなくなった。
一度だけ、藍子ちゃんから話しかけられた事がある。
私が日直で、黒板を消していた時だ。
「坂下さん。黒板消すの、手伝おうか?」
「えっ....?」
急に話しかけられて、私は驚いた。
藍子ちゃんとは、グループが別だった事もあり、正直あまり話したことが無かったから。
どうしようか...
何故かそこで、私は迷ってしまった。
別に、黒板を一緒に消すくらいどうって事はない。しかも、手伝ってくれるって言ってくれている。
でも、それをリーダーの子に見られたら、目をつけられるのではないか。
藍子ちゃんのことは、嫌いでは無かったけれど、そこまで親しくも無かった。
今まで仲良くしてなかったのに、急にこっちに寄ってこられてもなぁ......
そう、思ってしまった。
「ううん、私一人でできるから。大丈夫」
自分でも驚くくらいに素っ気なく、答えてしまった。
藍子ちゃんは私の素っ気ない態度に驚き、「そっか....」と寂しそうに呟いた。
少しの罪悪感があったものの、でも藍子ちゃんも悪いところがあるのではないか、急に話しかけられても、と心の中で言い訳をした。
程なくして、藍子ちゃんは親の仕事の都合で転校してしまった。
ピカピカのランドセルを背中に背負い、私は両親の前でくるっと回ってみせた。
「おぉ、似合うじゃないかー!可愛いなぁ由佳子ー」
「うん、すごく似合ってる!」
「えへへへーーっ」
両親に褒められ、私はうきうきだった。
小学生になった私は、ピカピカのランドセルを背負い、毎日学校に通った。
最初は人見知りでなかなか打ち解けられなかったが、徐々に友達もできて楽しい学校生活を送っていた。
勉強もそんなに悪い成績ではなく、先生の言うことをしっかりと聞く優等生タイプ。
両親は、初めこそ心配していたが、楽しそうに学校に行く私の様子を見て、安堵したようだった。
昼休みはクラス全員で鬼ごっこをしたり、雨の日はトランプをしたり、みんなで仲良く過ごした。
*****
「懐かしいです。私、特に鬼ごっこが大好きで、でも体力がないからすぐに捕まっちゃって」
幼少期の私の映像を見ながら、ふふっと笑みがこぼれる。
運動神経ゼロのくせに、何故か走るのが好きだった。
....そうだ。私、由佳子として生まれる前は陸上をしていた気がする。
「あの時は、怪我をしないかヒヤヒヤしてました。しかも岩場や木によじ登ったりするので...避けるように仕向けるのが大変だったんですよ」
「もしかして、私が木に登ろうとした時に限って虫がぶんぶん飛んで来たのって...」
「私が木に登らないように仕向けたんです。そうでもしないと、足を引っ掛けて骨折してしまう日だったんですよ、あの日は」
そう言って、やれやれという風にサキさんが肩をすくめた。
そっか。こうやって、私の知らないところでしっかりと私を守ってくれていたのだ。
そういえば、何故か木には登りたくない、と思った事が何度かあった。
今思えば、サキさんが必死で止めてくれていたのかもしれない。
*****
高学年になると、クラスの雰囲気も少しずつ変わっていった。
気づくと、いくつかのグループに分かれて遊ぶようになり、私はそれが少し苦手だった。
「由佳子ちゃん、今日みんなで私の家に集まるんだけど、一緒に来ないー?」
「えっ、いいのー?行きたい!」
こうして誘ってくれるのは素直に嬉しくて、放課後友達と遊ぶことも増えていった。
「ねぇ、藍子ちゃんってさ、なんか一緒にいてもつまんなくない?」
ある時、一人の女の子が口を開く。
クラスでも割とリーダー的な存在の子だ。
「うん、わかるー!」
「面白くないよねー」
取り巻き達が次々に同調する。
嫌な感じだ、と思ったけれど、私にそれを止める勇気はなかった。
その日から、藍子ちゃんに対してみんなよそよそしくなった。
藍子ちゃんが話しかけても、みんな「へー」とか、「ごめん、今忙しいんだ」とか言って、相手にしなくなった。
一度だけ、藍子ちゃんから話しかけられた事がある。
私が日直で、黒板を消していた時だ。
「坂下さん。黒板消すの、手伝おうか?」
「えっ....?」
急に話しかけられて、私は驚いた。
藍子ちゃんとは、グループが別だった事もあり、正直あまり話したことが無かったから。
どうしようか...
何故かそこで、私は迷ってしまった。
別に、黒板を一緒に消すくらいどうって事はない。しかも、手伝ってくれるって言ってくれている。
でも、それをリーダーの子に見られたら、目をつけられるのではないか。
藍子ちゃんのことは、嫌いでは無かったけれど、そこまで親しくも無かった。
今まで仲良くしてなかったのに、急にこっちに寄ってこられてもなぁ......
そう、思ってしまった。
「ううん、私一人でできるから。大丈夫」
自分でも驚くくらいに素っ気なく、答えてしまった。
藍子ちゃんは私の素っ気ない態度に驚き、「そっか....」と寂しそうに呟いた。
少しの罪悪感があったものの、でも藍子ちゃんも悪いところがあるのではないか、急に話しかけられても、と心の中で言い訳をした。
程なくして、藍子ちゃんは親の仕事の都合で転校してしまった。
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