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会いたい
しおりを挟む「.............いっ!?」
ゴツンッと鈍い音がしたかと思うと、その瞬間に凄まじい痛みが広がる。
「こっ、公爵様!?大丈夫ですか?」
「...大丈夫だ」
慌てて駆け寄ってくるライトルを制し、マリウスはヒリヒリと痛む額に手を当てました。
その様子を心配そうに見ながらも、ライトルはそっとそばを離れました。
公爵家にある公務室で、マリウスは頭を抱えてはぁっと息を吐きます。
...さっきからずっと公務が進まない。今日終わらせるべき書類は山積みなんだ。それなのに、なぜ私はこんなにも集中できないんだ。
理由は考えずともわかっていました。
...ナリアは今頃何をしているんだろうか。
彼女がここを離れてまだ1日しか経っていないというのに、どうしてこうも彼女のことが頭に浮かぶのだろうか。
「...会いたい」
そっと呟くと、ますます気持ちが抑えられなくなりました。
休暇が必要だと判断したのは俺だ。あれだけ怖い思いをさせてしまったんだ。彼女には、両親のそばで数日間だけでも安心して過ごして欲しい。
そう思ったから、帰省を許可した。
それなのに、少しの間会えないというだけでこんなにも調子が戻らなくなるとは。
それに、俺は他にもやるべき事がある。
「ライトル」
「はい」
マリウスは側で控えていたライトルにある手紙を渡しました。
「これを早急に送ってくれ」
「かしこまりました」
ライトルは手紙を受け取り頭を下げると、部屋から出ていきました。
マリウスはトントンと机を指で叩きながら、そっと呟きました。
「二度も彼女を傷つけたんだ。私はもう容赦しないぞ....レジェル伯爵令嬢」
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