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初めてのパーティー
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公爵家のパーティーとだけあって、それはそれは豪華なものだった。
光り輝くシャンデリアに、天井には有名な画家が描いたであろう絵画が壁いっぱいに描かれている。
華やかに着飾った人々やおいしそうな食事の数々。初めて参加するパーティーに、マリーはとても興奮していた。
こんな世界がこの世にあるなんて!
日頃あまり人との交流がなかった(囲われていた為)マリーにとって、この光景は胸を躍らせるものだった。
クラストは、さっきから彼女をチラチラと見る視線が嫌で仕方なかった。普段から彼女は綺麗だが、今日はあまりにも綺麗すぎる。
ぎゅっと手を握り指を絡めると、マリーは不思議そうに一瞬クラストの方を見たが、すぐに視線はパーティーを楽しむ人々や料理へと向けられる。
...外の世界をあまり知って欲しくはなかったのにな。
クラストは目を輝かせるマリーを複雑な心境で眺めていた。
「クラスト様、あのお料理は何かしら?」
「あぁ、あれは隣国で今流行りのものらしい。食べてみるかい?」
「ええ!」
見るもの全てが新鮮だった。マリーはこの場にいること自体が楽しくて仕方なく、自分でも驚くほどに気持ちが昂っていた。
ずっと書斎にこもって本ばかり読んでいたから、外にこんな世界があるなんて想像もしていなかったわ。
「マリー、楽しいかい?」
「ええ、とっても!」
「...そうか」
口数が少なくなるクラストに、マリーは違和感を覚えながらもパーティーが楽しくて仕方なかった。
何をしている訳でもないのに、どうしてかしら?
「マリー、そろそろ公爵家の長男が来るはずだ。挨拶をしたらすぐに帰ろう」
「え?もう、帰るのですか?」
「マリー...」
「あらぁ、クラスト様じゃないですかぁ!」
クラストが何か言いかけた時、横から甘ったるい声がした。
真っ赤なドレスに身を包んだ彼女は、装飾品から見ておそらく伯爵家の御令嬢のようだ。
隣にいるだけでとてもきつい香水の匂いがただよってくる。思わず顔をしかめるクラストをよそに、彼女は頬を赤らめてクラストに擦り寄った。
「クラスト様がパーティーに参加されるなんて知っていたら、私もっと綺麗にしてきたのにぃ」
「...誰だ君は」
冷たい声で突き放すようにするクラストに、マリーは驚いた。
こんなクラスト様、初めて見たわ。
いつもの優しい微笑みではない、冷たい彼の表情。そんな表情を向けられているにも関わらず、御令嬢はなおもクラストに詰め寄った。
「そんな、冷たいこと言わないでください。私たち何度かお会いしているのですよ?」
「きゃあっ、クラスト様がいらっしゃるわ!」
「えっ、本当だわ!」
その様子に気づいたのか、他の令嬢たちがぞろぞろとクラストを取り囲むように集まってくる。
マリーはあまりの勢いに思わず後ずさったが、クラストはすぐにマリーの腕を引くと、令嬢たちを押しのけるようにしてその場から歩き出した。
「く、クラスト様?!」
マリーは急な出来事に驚いて引きずられるようについていく。残された令嬢たちは一瞬ぽかんとしていたが、すぐに悔しそうな声を上げた。
「なによ、あれ」
「どうせ政略結婚でしょう?男爵令嬢となんて信じられない」
その様子を、とある人物が楽しそうに見ていたことに誰も気が付かなかった。
「クラスト様...?」
「...すまない、嫌な思いをさせたね」
会場の廊下に出ると、クラストは人目のつかない場所にマリーを押しやり、そっと抱きしめた。
「あの令嬢たちには前から追いかけられて困っていたんだ。勘違いしないでくれ、僕にはマリーだけだよ」
「クラスト様は、モテるのですね」
マリーはさっきの光景を思い出してポツリと呟いた。結婚式の時もそうだったわ。
ぼんやりと思い出しながら、マリーはクラストを見た。
「マリー、君は....」
「え?」
「....いや、なんでもないよ。戻ろうか」
一瞬、クラスト様が苦しそうな表情になった気がしたのだけれど...。気のせい、かしら?
クラストはにこっと笑顔を見せると、マリーの手を引いて再び会場へと戻った。
光り輝くシャンデリアに、天井には有名な画家が描いたであろう絵画が壁いっぱいに描かれている。
華やかに着飾った人々やおいしそうな食事の数々。初めて参加するパーティーに、マリーはとても興奮していた。
こんな世界がこの世にあるなんて!
日頃あまり人との交流がなかった(囲われていた為)マリーにとって、この光景は胸を躍らせるものだった。
クラストは、さっきから彼女をチラチラと見る視線が嫌で仕方なかった。普段から彼女は綺麗だが、今日はあまりにも綺麗すぎる。
ぎゅっと手を握り指を絡めると、マリーは不思議そうに一瞬クラストの方を見たが、すぐに視線はパーティーを楽しむ人々や料理へと向けられる。
...外の世界をあまり知って欲しくはなかったのにな。
クラストは目を輝かせるマリーを複雑な心境で眺めていた。
「クラスト様、あのお料理は何かしら?」
「あぁ、あれは隣国で今流行りのものらしい。食べてみるかい?」
「ええ!」
見るもの全てが新鮮だった。マリーはこの場にいること自体が楽しくて仕方なく、自分でも驚くほどに気持ちが昂っていた。
ずっと書斎にこもって本ばかり読んでいたから、外にこんな世界があるなんて想像もしていなかったわ。
「マリー、楽しいかい?」
「ええ、とっても!」
「...そうか」
口数が少なくなるクラストに、マリーは違和感を覚えながらもパーティーが楽しくて仕方なかった。
何をしている訳でもないのに、どうしてかしら?
「マリー、そろそろ公爵家の長男が来るはずだ。挨拶をしたらすぐに帰ろう」
「え?もう、帰るのですか?」
「マリー...」
「あらぁ、クラスト様じゃないですかぁ!」
クラストが何か言いかけた時、横から甘ったるい声がした。
真っ赤なドレスに身を包んだ彼女は、装飾品から見ておそらく伯爵家の御令嬢のようだ。
隣にいるだけでとてもきつい香水の匂いがただよってくる。思わず顔をしかめるクラストをよそに、彼女は頬を赤らめてクラストに擦り寄った。
「クラスト様がパーティーに参加されるなんて知っていたら、私もっと綺麗にしてきたのにぃ」
「...誰だ君は」
冷たい声で突き放すようにするクラストに、マリーは驚いた。
こんなクラスト様、初めて見たわ。
いつもの優しい微笑みではない、冷たい彼の表情。そんな表情を向けられているにも関わらず、御令嬢はなおもクラストに詰め寄った。
「そんな、冷たいこと言わないでください。私たち何度かお会いしているのですよ?」
「きゃあっ、クラスト様がいらっしゃるわ!」
「えっ、本当だわ!」
その様子に気づいたのか、他の令嬢たちがぞろぞろとクラストを取り囲むように集まってくる。
マリーはあまりの勢いに思わず後ずさったが、クラストはすぐにマリーの腕を引くと、令嬢たちを押しのけるようにしてその場から歩き出した。
「く、クラスト様?!」
マリーは急な出来事に驚いて引きずられるようについていく。残された令嬢たちは一瞬ぽかんとしていたが、すぐに悔しそうな声を上げた。
「なによ、あれ」
「どうせ政略結婚でしょう?男爵令嬢となんて信じられない」
その様子を、とある人物が楽しそうに見ていたことに誰も気が付かなかった。
「クラスト様...?」
「...すまない、嫌な思いをさせたね」
会場の廊下に出ると、クラストは人目のつかない場所にマリーを押しやり、そっと抱きしめた。
「あの令嬢たちには前から追いかけられて困っていたんだ。勘違いしないでくれ、僕にはマリーだけだよ」
「クラスト様は、モテるのですね」
マリーはさっきの光景を思い出してポツリと呟いた。結婚式の時もそうだったわ。
ぼんやりと思い出しながら、マリーはクラストを見た。
「マリー、君は....」
「え?」
「....いや、なんでもないよ。戻ろうか」
一瞬、クラスト様が苦しそうな表情になった気がしたのだけれど...。気のせい、かしら?
クラストはにこっと笑顔を見せると、マリーの手を引いて再び会場へと戻った。
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