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募る違和感
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「わぁっ...!想像以上にすごいわ」
マリーは書庫を見て感嘆の声を上げた。上の方まで本がぎっしり並べられており、小説や歴史書、学術本など様々な本が分類されて並べられている。
その景色に圧巻され、マリーは見上げても届かないほど積まれた本を目の前にとても興奮していた。
これ、全て読んでも良いのね...!!
結婚式を数日後に控えた今日、マリーは侯爵家の敷地内へと足を踏み入れた。
今まではお互いのサロンや庭園など、限られた場所で会っていたのだが、今日初めて夫婦として二人でこれから住む邸宅へと案内されたのだ。
目を輝かせるマリーを見て、クラストは楽しそうに微笑んだ。
彼女が読書が好きなのは前から知っていたし、会話の中でも殆どが本の話。お陰でクラストも無類の本好きとなっていた。
書庫を通常の倍の広さで設計させ、できる限りの本を集めた。全ては彼女の喜ぶ顔が見たかったから。
「気に入ってくれたかい?」
「ええ!こんなに広くて沢山の本がある書庫を見るのは生まれて初めてです!」
「これは全て君のものになるんだよ」
興奮して口を手で覆い嬉しそうなマリーの姿を見て、クラストも嬉しくなった。
はしゃぐ彼女の腰に手を回し、後ろから抱きしめる。頭ひとつ分背が低い彼女の頭に顎を乗せ、すりっと顔を擦り付ける。
「く、クラスト様?」
マリーは少し驚いて方をびくっとさせていたが、次第に大人しくなる。おそらく、もうすぐ夫婦になるのだからこれくらいのスキンシップは必要なのだろう、と納得したのだろう。
もう少しで彼女は完全に僕のものになる。そう思うと嬉しくてたまらなかった。
そのためには、不安要素は潰しておく必要があった。マリーがクラストをそれほど愛しているわけではないことは分かっていた。
これは政略結婚で、彼女は本にしか興味がない。ここであまりにも僕が彼女へ好きだというアピールをし過ぎてしまえば、彼女は引いてしまう可能性がある。
『あの子はどうも恋愛に疎くて。侯爵様、本当にあの子でよろしいのでしょうか?もちろん、私としてはこれ以上幸せで有難いことはないのですが、私の娘が迷惑をおかけしないか心配で...』
マリーの父親から、彼女の性格については聞いている。そして、それを心配していることも。
最初こそ僕の父が望んだ政略結婚で、爵位の低い彼女の父親はそれに従う他なかった。でも、今は違う。
彼女は知らない。この結婚は家同士のためではない。僕がどうしても彼女が欲しくて欲しくて、僕が望んだ結婚であることを。
彼女はきっと、これから思う存分読書ができると希望で胸を膨らませているのだろう。
もちろん、彼女が望むままここで読書をするのは構わない。なんなら...人目につかないように、ここでずっと過ごしてもらう方がいい。
クラストはマリーを抱きしめながら、一人ほくそ笑む。
一方でマリーは、徐々に違和感を感じ始めていた。
これは、あくまでも政略結婚よね?最近、やけにクラスト様のスキンシップが多くなっている気がする。
あと少しで夫婦になるのだから、まぁこれくらい慣れないといけないのでしょうけど。前までは手を繋ぐくらいのものだったのに、結婚式の日が近づくにつれて抱きしめてくるようにもなった。
今でも、クラストは痛いほどぎゅっと後ろから抱きしめて頭にキスを落としながら離してはくれない。
...これも妻の務めなのかしら?
この違和感を拭えないまま、マリーはクラストとの結婚式を迎えるのだった。
マリーは書庫を見て感嘆の声を上げた。上の方まで本がぎっしり並べられており、小説や歴史書、学術本など様々な本が分類されて並べられている。
その景色に圧巻され、マリーは見上げても届かないほど積まれた本を目の前にとても興奮していた。
これ、全て読んでも良いのね...!!
結婚式を数日後に控えた今日、マリーは侯爵家の敷地内へと足を踏み入れた。
今まではお互いのサロンや庭園など、限られた場所で会っていたのだが、今日初めて夫婦として二人でこれから住む邸宅へと案内されたのだ。
目を輝かせるマリーを見て、クラストは楽しそうに微笑んだ。
彼女が読書が好きなのは前から知っていたし、会話の中でも殆どが本の話。お陰でクラストも無類の本好きとなっていた。
書庫を通常の倍の広さで設計させ、できる限りの本を集めた。全ては彼女の喜ぶ顔が見たかったから。
「気に入ってくれたかい?」
「ええ!こんなに広くて沢山の本がある書庫を見るのは生まれて初めてです!」
「これは全て君のものになるんだよ」
興奮して口を手で覆い嬉しそうなマリーの姿を見て、クラストも嬉しくなった。
はしゃぐ彼女の腰に手を回し、後ろから抱きしめる。頭ひとつ分背が低い彼女の頭に顎を乗せ、すりっと顔を擦り付ける。
「く、クラスト様?」
マリーは少し驚いて方をびくっとさせていたが、次第に大人しくなる。おそらく、もうすぐ夫婦になるのだからこれくらいのスキンシップは必要なのだろう、と納得したのだろう。
もう少しで彼女は完全に僕のものになる。そう思うと嬉しくてたまらなかった。
そのためには、不安要素は潰しておく必要があった。マリーがクラストをそれほど愛しているわけではないことは分かっていた。
これは政略結婚で、彼女は本にしか興味がない。ここであまりにも僕が彼女へ好きだというアピールをし過ぎてしまえば、彼女は引いてしまう可能性がある。
『あの子はどうも恋愛に疎くて。侯爵様、本当にあの子でよろしいのでしょうか?もちろん、私としてはこれ以上幸せで有難いことはないのですが、私の娘が迷惑をおかけしないか心配で...』
マリーの父親から、彼女の性格については聞いている。そして、それを心配していることも。
最初こそ僕の父が望んだ政略結婚で、爵位の低い彼女の父親はそれに従う他なかった。でも、今は違う。
彼女は知らない。この結婚は家同士のためではない。僕がどうしても彼女が欲しくて欲しくて、僕が望んだ結婚であることを。
彼女はきっと、これから思う存分読書ができると希望で胸を膨らませているのだろう。
もちろん、彼女が望むままここで読書をするのは構わない。なんなら...人目につかないように、ここでずっと過ごしてもらう方がいい。
クラストはマリーを抱きしめながら、一人ほくそ笑む。
一方でマリーは、徐々に違和感を感じ始めていた。
これは、あくまでも政略結婚よね?最近、やけにクラスト様のスキンシップが多くなっている気がする。
あと少しで夫婦になるのだから、まぁこれくらい慣れないといけないのでしょうけど。前までは手を繋ぐくらいのものだったのに、結婚式の日が近づくにつれて抱きしめてくるようにもなった。
今でも、クラストは痛いほどぎゅっと後ろから抱きしめて頭にキスを落としながら離してはくれない。
...これも妻の務めなのかしら?
この違和感を拭えないまま、マリーはクラストとの結婚式を迎えるのだった。
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