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私の役割
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怪物を倒した後、呆然とする騎士たちをよそに、私は怪物をどうするのかとオレフィスに聞いた。
「私たちの方で処理します。本当に助かりました、ありがとうございます。マルスティア様は先にお帰りください」
オレフィスに言われ、私は瞬間移動で先に宮殿へと戻った。まだ昼間だと言うのに何だか疲れてしまった。怪物を倒すのはいつも夜だったから、昼間からこんなに体力を使ったことがなかった。
ノワールが、「お疲れでしょう」と昼食を部屋まで持ってきてくれて、昼食をとった後私は気づくと寝てしまっていた。
目を覚ますと夕方で、窓の外から西陽が差し込んでいた。宮殿は森の中の高台にあり、景色がとてもいい。
すごく綺麗な夕焼けね。
私はしばらくの間窓からの景色をゆっくりと眺めた。
***
「おいっ、伯爵令嬢が怪物を倒したって本当なのか?」
「あぁ。その場にいた奴らに聞いたんだけど本当らしい。一瞬であの大きな怪物を一人で倒したらしいぞ」
「本当に伯爵令嬢なのか?」
怪物を倒してから、宮殿ではその噂で持ちきりだった。
騎士たち数人で立ち向かっても倒せなかった怪物を、伯爵令嬢が一人で倒した。しかも最も簡単に、あっさりと魔法を使って倒したらしい。
そんな噂が騎士たちだけでなく使用人の間でも話題になった。見た目は普通の伯爵令嬢なのに、そんなことがあり得るのか?
オレフィスたちが戻ってきたあと、私はルカに再び呼び出された。
「もう体調はよろしいのですか?」
「あぁ。みっともない姿を見せてすまなかった」
ルカの隣にはオレフィスが座っている。
そして突然、ルカが私に頭を下げた。
「今日は本当に助かった。礼を言う」
「そんな、大丈夫ですから。頭を上げてください」
皇太子様が伯爵令嬢に頭を下げるなんて。
「今朝の話の続きだが、考えてくれないだろうか」
今日の戦いで分かったことは、魔法の騎士たちよりも私の方が強いこと。
確かに、あの怪物相手にあれだけの人数がいても倒せないとなれば、危機感を抱くのは無理もなさそうだ。
「わかりました。協力します」
「っ、ほんとうか!?ありがとう!!」
次の瞬間、私はルカにぎゅっと手を握られ、私は驚いてルカを見た。
「不安なことがあればすぐに私に言ってくれ。いつでも力になる」
その瞳は真剣そのもので、何だか戸惑ってしまう。不安がないかと言われたらそうではない。そもそも騎士と一緒に戦う令嬢なんて前例がないはずだし。
けれど、この魔力を持つ以上は何か役割があるんだわ。この物語での役割が。
「私たちの方で処理します。本当に助かりました、ありがとうございます。マルスティア様は先にお帰りください」
オレフィスに言われ、私は瞬間移動で先に宮殿へと戻った。まだ昼間だと言うのに何だか疲れてしまった。怪物を倒すのはいつも夜だったから、昼間からこんなに体力を使ったことがなかった。
ノワールが、「お疲れでしょう」と昼食を部屋まで持ってきてくれて、昼食をとった後私は気づくと寝てしまっていた。
目を覚ますと夕方で、窓の外から西陽が差し込んでいた。宮殿は森の中の高台にあり、景色がとてもいい。
すごく綺麗な夕焼けね。
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***
「おいっ、伯爵令嬢が怪物を倒したって本当なのか?」
「あぁ。その場にいた奴らに聞いたんだけど本当らしい。一瞬であの大きな怪物を一人で倒したらしいぞ」
「本当に伯爵令嬢なのか?」
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そんな噂が騎士たちだけでなく使用人の間でも話題になった。見た目は普通の伯爵令嬢なのに、そんなことがあり得るのか?
オレフィスたちが戻ってきたあと、私はルカに再び呼び出された。
「もう体調はよろしいのですか?」
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ルカの隣にはオレフィスが座っている。
そして突然、ルカが私に頭を下げた。
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確かに、あの怪物相手にあれだけの人数がいても倒せないとなれば、危機感を抱くのは無理もなさそうだ。
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次の瞬間、私はルカにぎゅっと手を握られ、私は驚いてルカを見た。
「不安なことがあればすぐに私に言ってくれ。いつでも力になる」
その瞳は真剣そのもので、何だか戸惑ってしまう。不安がないかと言われたらそうではない。そもそも騎士と一緒に戦う令嬢なんて前例がないはずだし。
けれど、この魔力を持つ以上は何か役割があるんだわ。この物語での役割が。
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