60 / 76
第60話 ホームレス、無双する
しおりを挟む
―ローザンブルク帝国のとある補給基地―
俺は仲間たちと共に夜の見張りをしていた。
見張りと言っても、ここは最前線から離れている。だから、敵が攻めてくる心配はなく、不良兵士が物資の盗難をしないか注意していればいい。簡単なもんだ。
「しかし、ついに戦争が始まったのか」
「俺たちもいつか前線に送られるのかな?」
仲間たちはそんないつもの会話をしながら、物資が運び込まれた倉庫を確認していく。
「でもさ、相手は大陸最弱のヴォルフスブルクだろ? それもニコライ将軍が前線に出ているから、負けるわけがないよ」
「それもそうだ!」
「この物資が前線に届けば、いくらハ―ブルク要塞なんか一瞬で崩壊するだろ!」
「うんうん。だって、この砲弾の数だけでも全回の総攻撃の2倍近いだろう? それに、魔導士も帝国中から動員しているんだろ。もうどんな要塞だって吹っ飛ばせる」
「なら、俺たちが前線に出た方がいいかもな。楽勝ないくさなら、簡単に武功も立てられるし……もしかしたら、俺たちの誰かが将軍になれるかもな」
そんな威勢のいい話題でみんなが笑った。
簡単に勝てるいくさなら、兵士としては嬉しい限りだ。
戦争に勝てば、前線にいただけでも英雄扱い。もしかしたら、ボーナスがもらえるかもしれない。
領土も増えれば、みんながお祭り騒ぎになるし……
ヴォルフスブルクに多額の賠償金を支払わせれば、景気が良くなる。
それもこの戦争は負けるわけがないと来ているんだ。弱小国家のくせに、俺たちにかみついてきたバカな行為の代償を支払わせればいけないよな。
しょせんは弱小国家。大陸最強クラスの我が国に勝てるわけがない。
「なぁ、なんか変な音がしなかったか。爆発音みたいな……」
「なんだ、ぼやか? ここには大砲に使う魔力火薬や砲弾がたくさんあるんだぞ。ぼやなんかだしたら、軍法会議で極刑に……なんだ、あの空から降り注ぐ光は……」
「ホントだ!」
「すごい数だぞ」
「こっちに落ちてくる。みんな建物の中に逃げろ」
俺たちは慌てて、基地の内部に入る。あの光が何かわからなかったが、危険な感じがする。
空から降り注ぐ光は、倉庫や地面に落ちていく。そして、地面に突き刺さると爆音とともに炎上していく。
顔見知りの兵士が、その爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「なんだよ、これ……」
俺たちは降り注ぐ光を見ていることしかできない。
時間差で倉庫からは巨大な火の手が上がった。
中にあった火薬が誘爆を起こし、倉庫ごと吹き飛ばす。
「敵の攻撃、だ……空から敵が来たんだ」
俺は仲間たちと共に夜の見張りをしていた。
見張りと言っても、ここは最前線から離れている。だから、敵が攻めてくる心配はなく、不良兵士が物資の盗難をしないか注意していればいい。簡単なもんだ。
「しかし、ついに戦争が始まったのか」
「俺たちもいつか前線に送られるのかな?」
仲間たちはそんないつもの会話をしながら、物資が運び込まれた倉庫を確認していく。
「でもさ、相手は大陸最弱のヴォルフスブルクだろ? それもニコライ将軍が前線に出ているから、負けるわけがないよ」
「それもそうだ!」
「この物資が前線に届けば、いくらハ―ブルク要塞なんか一瞬で崩壊するだろ!」
「うんうん。だって、この砲弾の数だけでも全回の総攻撃の2倍近いだろう? それに、魔導士も帝国中から動員しているんだろ。もうどんな要塞だって吹っ飛ばせる」
「なら、俺たちが前線に出た方がいいかもな。楽勝ないくさなら、簡単に武功も立てられるし……もしかしたら、俺たちの誰かが将軍になれるかもな」
そんな威勢のいい話題でみんなが笑った。
簡単に勝てるいくさなら、兵士としては嬉しい限りだ。
戦争に勝てば、前線にいただけでも英雄扱い。もしかしたら、ボーナスがもらえるかもしれない。
領土も増えれば、みんながお祭り騒ぎになるし……
ヴォルフスブルクに多額の賠償金を支払わせれば、景気が良くなる。
それもこの戦争は負けるわけがないと来ているんだ。弱小国家のくせに、俺たちにかみついてきたバカな行為の代償を支払わせればいけないよな。
しょせんは弱小国家。大陸最強クラスの我が国に勝てるわけがない。
「なぁ、なんか変な音がしなかったか。爆発音みたいな……」
「なんだ、ぼやか? ここには大砲に使う魔力火薬や砲弾がたくさんあるんだぞ。ぼやなんかだしたら、軍法会議で極刑に……なんだ、あの空から降り注ぐ光は……」
「ホントだ!」
「すごい数だぞ」
「こっちに落ちてくる。みんな建物の中に逃げろ」
俺たちは慌てて、基地の内部に入る。あの光が何かわからなかったが、危険な感じがする。
空から降り注ぐ光は、倉庫や地面に落ちていく。そして、地面に突き刺さると爆音とともに炎上していく。
顔見知りの兵士が、その爆発に巻き込まれて吹き飛んだ。
「なんだよ、これ……」
俺たちは降り注ぐ光を見ていることしかできない。
時間差で倉庫からは巨大な火の手が上がった。
中にあった火薬が誘爆を起こし、倉庫ごと吹き飛ばす。
「敵の攻撃、だ……空から敵が来たんだ」
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ヤケになってドレスを脱いだら、なんだかえらい事になりました
杜野秋人
恋愛
「そなたとの婚約、今この場をもって破棄してくれる!」
王族専用の壇上から、立太子間近と言われる第一王子が、声高にそう叫んだ。それを、第一王子の婚約者アレクシアは黙って聞いていた。
第一王子は次々と、アレクシアの不行跡や不品行をあげつらい、容姿をけなし、彼女を責める。傍らに呼び寄せたアレクシアの異母妹が訴えるままに、鵜呑みにして信じ込んだのだろう。
確かに婚約してからの5年間、第一王子とは一度も会わなかったし手紙や贈り物のやり取りもしなかった。だがそれは「させてもらえなかった」が正しい。全ては母が死んだ後に乗り込んできた後妻と、その娘である異母妹の仕組んだことで、父がそれを許可したからこそそんな事がまかり通ったのだということに、第一王子は気付かないらしい。
唯一の味方だと信じていた第一王子までも、アレクシアの味方ではなくなった。
もう味方はいない。
誰への義理もない。
ならば、もうどうにでもなればいい。
アレクシアはスッと背筋を伸ばした。
そうして彼女が次に取った行動に、第一王子は驚愕することになる⸺!
◆虐げられてるドアマットヒロインって、見たら分かるじゃんね?って作品が最近多いので便乗してみました(笑)。
◆虐待を窺わせる描写が少しだけあるのでR15で。
◆ざまぁは二段階。いわゆるおまいう系のざまぁを含みます。
◆全8話、最終話だけ少し長めです。
恋愛は後半で、メインディッシュはざまぁでどうぞ。
◆片手間で書いたんで、主要人物以外の固有名詞はありません。どこの国とも設定してないんで悪しからず。
◆この作品はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆過去作のヒロインと本作主人公の名前が丸被りしてたので、名前を変更しています。(2024/09/03)
◆9/2、HOTランキング11→7位!ありがとうございます!
9/3、HOTランキング5位→3位!ありがとうございます!
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる