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第49話 ホームレス、妨害される

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「俺たちに全権委任だって!?」
 すごいことになってしまった。女王陛下が俺たちを信用していることは嬉しいが……

「ええ、そうです。女王陛下は、二人を信頼していると。仮に、それが法を逸脱していないかは、私がチェックして助言するようにと言われております」

 となると、アルフレッドと俺、リーニャの3人で全てを解決しろってことか。ずいぶんすごい無茶ぶりだな。

「しかし、リーニャ少佐に聞きたい。女王陛下はどうして援軍を出してくれないんだい? はっきり言えばこの要塞は国家の生命線じゃないか。偶発的な軍事作戦で、ここが陥落すればすべて終わるんだよ?」
 アルフレッドは当然の疑問をぶつけた。

「私は上司からは何も聞けませんでした。ですから、貴族としての権限を活用して、情報を集めたのですが」

「それで結果は?」

「どうも閣議で強い反対意見があったようです」

 閣議か。つまり、宰相の差し金だな!!

「女王陛下は、要塞の兵力増員を強く主張していたんですが……宰相及び外務省の強い反対があり、女王陛下は断念したようです」

「なぜだ!! 父上と外務省はどうしてそんなことを……」
 憤慨する将軍は、机を強くたたいた。
 リーニャ少佐は、その大きな音にビクッと震えた。

「それは……」
 将軍の大声に、彼女は気押されている。

 俺は彼女に助け船を出す。

「アルフレッド、少佐が怖がっているよ」

「ああ、すまない。つい、感情的になってしまった」

「きっと、宰相たちはこう言ったんだろう。『そのような根拠のない推測で、要塞の兵力を増強することはできない。ローザンブルク側はただの演習のつもりなのに、我らがそのような軍事的な挑発をしてしまえば、取り返しのつかないことにだってなりうる。よって、政府としては、クニカズ少佐の意見には反対である』とかな」

 宰相は俺のことを特に嫌っているからな。某提督の決断のように、俺の提案はすべて『政府としては軍の提案には反対である』とか『一発だけなら誤射かもしれないから、反撃を禁止する』とか言われかねない。

 いや、よく言うじゃん。最大の敵は、味方の中にいるとかさ。
 第二次世界大戦でも、日本やアメリカでは陸軍と海軍の仲が悪くて、『陸軍と海軍はけんかしている片手間に戦争をしている』とか揶揄されていた。いや、それで戦争なんかされたら、最前線の兵士や家を焼かれる民間人はたまったもんじゃないぞ!!
 
「すごい、クニカズ少佐は、どうしてわかったんですか?」

 まさか、本当にそうだとは思わなかった。最悪だぜ。
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