6 / 9
第6話 練習していて空気読めない男
しおりを挟む
今日から、昼休みに音楽室での練習が始まる!
俺は内心、狂喜乱舞しながら登校し、教室に入った。
「おはよう!中村」
「お、おはよう。なんか変やで、今日。やっぱ予想通り、テンション高いな」
「そんなこと言うなよ」
「そんなにうれしいんか?おk……」
「お前、人生やり直すか?」
「ごめん。す、すまん!」
「三度目はないぜ?」
「お、おう。勘弁してや」
バラされた日には、もうどんな顔を沖田さんに向ければいいのか……
午前の授業を終え、俺は急いで弁当を食べ、音楽室へと向かった。
「失礼します」
「お、一条やんか。えらいはよ来たやん」
「まあ」
「ちょっと聞きたいんやけど、ピアノ、あんた相当上手いな。どこ通ってたん?」
「ヤマファ音楽教室です」
「あれか、J専か?」
「……実はそうなんです」
「そうなんか。ははーん、今日の課題曲も余裕か?早速弾いてみ」
「全然余裕ないですよ。じゃあ、弾かせてもらいます」
俺は演奏を始める。
先生、俺、楽譜見てないけど、そこはつっこまないな……。
弾き終え、俺は椅子を立った。
「一条……いつの間に練習したんや?完璧……やないか!」
「あはは。ちょっと昨日、練習して、はは」
「一条くん⁉︎今、弾いてたん一条くん?」
「そや、沖田。信じられへんかもしれへんけど、確かに今のは一条や」
「……え?」
「あ、沖田さん……ちょっと昨日練習してさ」
「嘘や……なんでもうそんな弾けるん?」
「なんでって言われても……」
「まあ一条やからしゃあない」
「そう、ですよね。では私も弾かせてもらいます」
「ん。弾いてみ」
俺、なんかやらかしたか?
すごい睨まれたけど?
もしかして……沖田さんのプライド、傷つけてしまったとか?
沖田さんの演奏も結構すごいぞ。
昨日の今日でもう、最後までなんとか弾くことができている。
まあ、楽譜は見ているが。
「すいません、先生。遅れました」
「松木、やっと来たな。ちょうど沖田の演奏が終わった時やから、次はよ弾き」
「はい」
松木さんはまあそこそこかな?
もともと校歌がオーディションの課題曲だったから、そこそこ弾けてる。
「3人ともえらい高いレベルにいってもうてるな。家なんかで弾くのはもう受験やし、ここで弾いてもらいましょか。じゃあ今日は練習終わりや。次の授業、遅れんときや」
「失礼します。ありがとうございました」
さっさと音楽室を出て行こうとする俺の右腕がいきなり引っ張られた。
「……おっと?」
「一条……くん?なんでそんな弾けるん?おかしない?昨日の今日やで?もう暗譜やったよね?しかも鍵盤見いひんと、よそ見してたな」
「そんなことないよ」
「あ、そう」
ぷいって顔をそらし、早足で沖田さんは教室に戻っていった。
俺は内心、狂喜乱舞しながら登校し、教室に入った。
「おはよう!中村」
「お、おはよう。なんか変やで、今日。やっぱ予想通り、テンション高いな」
「そんなこと言うなよ」
「そんなにうれしいんか?おk……」
「お前、人生やり直すか?」
「ごめん。す、すまん!」
「三度目はないぜ?」
「お、おう。勘弁してや」
バラされた日には、もうどんな顔を沖田さんに向ければいいのか……
午前の授業を終え、俺は急いで弁当を食べ、音楽室へと向かった。
「失礼します」
「お、一条やんか。えらいはよ来たやん」
「まあ」
「ちょっと聞きたいんやけど、ピアノ、あんた相当上手いな。どこ通ってたん?」
「ヤマファ音楽教室です」
「あれか、J専か?」
「……実はそうなんです」
「そうなんか。ははーん、今日の課題曲も余裕か?早速弾いてみ」
「全然余裕ないですよ。じゃあ、弾かせてもらいます」
俺は演奏を始める。
先生、俺、楽譜見てないけど、そこはつっこまないな……。
弾き終え、俺は椅子を立った。
「一条……いつの間に練習したんや?完璧……やないか!」
「あはは。ちょっと昨日、練習して、はは」
「一条くん⁉︎今、弾いてたん一条くん?」
「そや、沖田。信じられへんかもしれへんけど、確かに今のは一条や」
「……え?」
「あ、沖田さん……ちょっと昨日練習してさ」
「嘘や……なんでもうそんな弾けるん?」
「なんでって言われても……」
「まあ一条やからしゃあない」
「そう、ですよね。では私も弾かせてもらいます」
「ん。弾いてみ」
俺、なんかやらかしたか?
すごい睨まれたけど?
もしかして……沖田さんのプライド、傷つけてしまったとか?
沖田さんの演奏も結構すごいぞ。
昨日の今日でもう、最後までなんとか弾くことができている。
まあ、楽譜は見ているが。
「すいません、先生。遅れました」
「松木、やっと来たな。ちょうど沖田の演奏が終わった時やから、次はよ弾き」
「はい」
松木さんはまあそこそこかな?
もともと校歌がオーディションの課題曲だったから、そこそこ弾けてる。
「3人ともえらい高いレベルにいってもうてるな。家なんかで弾くのはもう受験やし、ここで弾いてもらいましょか。じゃあ今日は練習終わりや。次の授業、遅れんときや」
「失礼します。ありがとうございました」
さっさと音楽室を出て行こうとする俺の右腕がいきなり引っ張られた。
「……おっと?」
「一条……くん?なんでそんな弾けるん?おかしない?昨日の今日やで?もう暗譜やったよね?しかも鍵盤見いひんと、よそ見してたな」
「そんなことないよ」
「あ、そう」
ぷいって顔をそらし、早足で沖田さんは教室に戻っていった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
女の子なんてなりたくない?
我破破
恋愛
これは、「男」を取り戻す為の戦いだ―――
突如として「金の玉」を奪われ、女体化させられた桜田憧太は、「金の玉」を取り戻す為の戦いに巻き込まれてしまう。
魔法少女となった桜田憧太は大好きなあの娘に思いを告げる為、「男」を取り戻そうと奮闘するが……?
ついにコミカライズ版も出ました。待望の新作を見届けよ‼
https://www.alphapolis.co.jp/manga/216382439/225307113
好きだった幼馴染に出会ったらイケメンドクターだった!?
すず。
恋愛
体調を崩してしまった私
社会人 26歳 佐藤鈴音(すずね)
診察室にいた医師は2つ年上の
幼馴染だった!?
診察室に居た医師(鈴音と幼馴染)
内科医 28歳 桐生慶太(けいた)
※お話に出てくるものは全て空想です
現実世界とは何も関係ないです
※治療法、病気知識ほぼなく書かせて頂きます
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる