REBELLION ~リベリオン~

春乃 蓮

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#6.Dream and Reality 2~ドリーム・アンド・リアリティー 2 ~

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病室を出た先の廊下も病室と同様にコンクリートでできてるらしく、空護はこの世界に来た時の学生服と違い、淡い水色の病衣を着させられていて少し肌寒く感じた。
 
 「なぁ、俺がこれから会う人って誰なんだ?」

 腕を組み寒さを耐えながら、数歩先を桜色の長髪を揺らしながら歩くアリスに尋ねると、アリスはこちらを見ずに答える。

 「私の仲間よ。だからあまり気負わなくていいわ」
 「仲間って…なんで会わなきゃいけないんだ?」
 「…アンタ馬鹿?千年前から来たなんて言う奴を常識的に考えて、簡単に信用できるわけないでしょ。取り調べも兼ねてるのよ」
 「……あぁ、なるほど」

 溜め息を吐きながら顔を横に振るアリスの背中を見ながら、空護は彼女の後ろをついて行く。
 病室から真っ直ぐに進んでいくと丁字路になっていて二人はそこを左に曲がった。
 曲がった先にはいくつか部屋があり、部屋の扉には部屋番号だけが書かれている。
 だがアリスはどの部屋の前にも止まる様子はなかった。
 どの部屋の前も通り過ぎ、一番最後の部屋の前まで行くとノックもせずにいきなり扉を引き開けた。
 
 「アリスよ。例の保護対象者を連れて来たわよ!」

 相変わらずの態度でズカズカと部屋へ入っていくアリスの後を追うように空護も扉の奥へと入っていく。
 部屋は思ったよりも広い印象を受けた。
 だが病室と同じように部屋全体がコンクリートの壁に覆われている。
 部屋には黒いレザーソファーが机を囲むように置かれており、バーカウンターのような場所まであった。
 病室には無かった窓がいくつかあり、ほのかに光が差し込んでいる。

 「……思ったよりも広いんだな」
 「何部屋か壁を取ったからかもしれないね」

 空護の小さな呟きに、隣にアリスではなくレザーソファーに座る誰かが答えた。
 影はソファーから立ち上がると、ゆっくりとこちらに向かって歩いてくる。

 「………子供?」
 
 目の前にはアリスより、身長がやや小さい白髪の少年が立っている。
 そして空護の呟きに隣にいるアリスがプッと小さく笑ったのがわかった。
 
 「アリス…笑うなよ!僕だって後2、3年したら成長するんだからな!」
 「その時を楽しみにしてるわ」

 少年の返しが面白かったのか、アリスはまたしても小さく吹き出す。
 そんなやりとりをしている二人を眺めていると、白髪の少年が空護を見た。
 
 「貴方が千年前から来たって言う人ですか?」
 「あ、あぁ。そうだけど…ここはどこなんだ?」
 「そうですね。本題の前にこちらの説明からした方がいいかもしれませんね。どうせ誰かさんは何も話して無いでしょうし!別に、誰とは言わないけど。ね!アリス!」

 バーカウンターの方で飲み物の準備をしているアリスを見ながら少年が言うと、自分が言われたのだと直ぐにわかると、アリスはコップに飲み物を注ぎながら少年に反抗する。

 「うっさいわねぇ!そんな簡単に誰かにペラペラ喋るよりはいいでしょ」
 「ここに連れてくるのに、何も言わないものどうかと思うけど…」

 白髪の少年は本人には聞こえないボリュームでそう言いながら、空護を近くのソファーまで案内すると、座るように促しす。
 空護がソファーに座ると少年も空護の対面に腰を下ろした。

 「僕は、日下部夏樹くさかべなつき。僕も能力保持者スキルホルダーだよ」

 夏樹はテーブル越しに空護に手を差し伸べる。
 空護は少し腰を浮かせ差し出された手を握った。
 
 「聞いてるだろうけど、俺は真城空護だ。––––––––––…それで、ここはどこなんだ?」

 空護はソファーに座りながら辺りを見渡す。

 「ここは、Revelationリベレーションのアジトだよ」
 「リベレーション?」
 「そう。僕やアリスのような能力保持者スキルホルダーの組織。それがRevelationリベレーションなんだ」

 アリスが両手に三つコップを持ちながら、机にそのコップを置いていき、自身は空護後の隣にドカッと座る。

 「私たちはこの力を使って、偽天使ぎてんしと戦って人々を守っているのよ」
 「もちろん全てを守れるわけじゃ無いけど、なるべく多くの人々を守ろうと僕たちは活動してるんだ」
 
 夏樹の説明を聞きながら空護は横に座るアリスを見る。
 
 「…だからあの時アリスは俺を助けてくれたのか」
 「そうよ。別にアンタが千年前から来たとか関係なく助けたわよ」
 「そっか…ありがと」
 
 アリスは空護に背を向けそっぽを向く。
  
 「………別にいいわよ。感謝なんて」

 その様子を夏樹が微笑みながら見ているとアリスは夏樹の視線に気がついたのか勢い良く空護の方へ向き直る。

 「ともかく!!!あの時話した安全な場所っていうのがここなわけ!!」
 
 そういうとアリスはソファーから立ち上がり、バーカウンターの方へ空になったコップを持って行ってしまった。

 「なんだあいつ急に…?」
 「ハハ。気にしないであげて。照れてるだけだから」

 空護がアリスの反応に戸惑いながら見ていると、夏樹が苦笑を浮かべながらアリスの説明の続きを話す。

 「ここには僕らのような能力保持者だけではなく、普通の人も生活をしているんだ。貴方みたいに偽天使に襲われたところを助けられた人もいれば、追放されて流れついた者もいる。そういう人たちと作り上げたのが、ここ地下都市隠された都ハイドアウトなんだ」
 「地下都市ハイドアウト……追放されて流れ着いた者っていうのはどういうことなんだ?」

 その問いに夏樹は少し俯き表情が曇らせる。

 「それも説明しないといけないね…現在、日本にはこの隠された都ハイドアウトを含め安全が確保されている都市が四都市あるんだ。ほとんどの都市に独立した戦闘組織があり、その組織が都市の治安を守っているんだ………」

 ほとんどの都市では税金制度があり、その資金で都市の治安を守っているのだが、その税金が支払えない市民は都市から追放していると言うのだ。

 「もちろん都市を守るためには、資金が必要だからそのためのお金を集める手段として税金と言うシステムを使うことは悪い事ではない。だが、払えないからと追放するのは、この世界では死刑を意味しているからね。だから僕たちはそう言う人たちを見つけてはこの隠された都ハイドアウトで保護をしているんだ」

 夏樹の口から語られた現状に、少しばかりショックを受け言葉が出ない。 

 「……………そんなことになってるのか」
 「まぁ仕方ないことなのかもしれないけどね……あとでこのハイドアウトを見て回るといいよ」

 夏樹の提案に空護は小さく「あぁ…」と呟くしかできなかった。
 空気を変えようと、夏樹が少しばかりテンションをあげて口を開く。

 「それじゃあ、今度は貴方について話をしようか!」

 
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