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第三話
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アルネブはある時、自宅で段差を踏み外して怪我をした。まさか、その怪我が人生を決めてしまうなんて思わなかった。
腫れは日に日に酷くなったが、母が「これくらい問題ない」ということで医者には行けず、治りが遅くなり、そのせいでバレエの秋の発表会へは出られなくなった。
代わりに小毬が出ることが決まり、アルネブは観客として見に行くことに決まった。その日から、アルネブは当日が楽しみで寝不足に陥ることとなる。
さて、当日行ってみると、其処は大きなホールで、アルネブを感動させた。さっそく舞台袖へ皆に会いに行くと、酷く緊張した面持ちで座っていた。チュチュを着た姿に、アルネブは矢張りときめいた。芸術品の完成度を上げるために、と思い、アルネブは熱心に小毬を励ましたのだった。
その後、アルネブは観客席に向かった。まだ暗い観客席に静かに座り、小毬が踊る姿を想像するだけで興奮した。膝に手を載せて見ていると、一瞬、華麗に踊る小毬を見た気がした。ブルーブラックの光に満ちた部屋で、小毬だけがピアノの音に合わせて踊っているのだ――はっと目を開く。この頃の睡眠不足が祟って、うたた寝していたらしい。
目を開けた先に、紅蓮の世界があった。
何らかの原因でステージに炎が回っていたのだ。ステージに上がっていた小毬にも火が点き、観客席まで、その泣き声が聞こえてきていた。
「小毬さん……」
アルネブは、その様を口を開けて見守るしかなかった。
観客席は更に輪を掛けて大パニックだ。何せ此方にまで火の粉が舞っているのだから。何とか逃げ切ろうと、出入り口に密集している。
アルネブは、体が熱いことも忘れ、燃え盛る舞台をじっと見つめた。手が自然と両頬にいき、いつまでも恍惚と見つめていたのだった。
腫れは日に日に酷くなったが、母が「これくらい問題ない」ということで医者には行けず、治りが遅くなり、そのせいでバレエの秋の発表会へは出られなくなった。
代わりに小毬が出ることが決まり、アルネブは観客として見に行くことに決まった。その日から、アルネブは当日が楽しみで寝不足に陥ることとなる。
さて、当日行ってみると、其処は大きなホールで、アルネブを感動させた。さっそく舞台袖へ皆に会いに行くと、酷く緊張した面持ちで座っていた。チュチュを着た姿に、アルネブは矢張りときめいた。芸術品の完成度を上げるために、と思い、アルネブは熱心に小毬を励ましたのだった。
その後、アルネブは観客席に向かった。まだ暗い観客席に静かに座り、小毬が踊る姿を想像するだけで興奮した。膝に手を載せて見ていると、一瞬、華麗に踊る小毬を見た気がした。ブルーブラックの光に満ちた部屋で、小毬だけがピアノの音に合わせて踊っているのだ――はっと目を開く。この頃の睡眠不足が祟って、うたた寝していたらしい。
目を開けた先に、紅蓮の世界があった。
何らかの原因でステージに炎が回っていたのだ。ステージに上がっていた小毬にも火が点き、観客席まで、その泣き声が聞こえてきていた。
「小毬さん……」
アルネブは、その様を口を開けて見守るしかなかった。
観客席は更に輪を掛けて大パニックだ。何せ此方にまで火の粉が舞っているのだから。何とか逃げ切ろうと、出入り口に密集している。
アルネブは、体が熱いことも忘れ、燃え盛る舞台をじっと見つめた。手が自然と両頬にいき、いつまでも恍惚と見つめていたのだった。
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