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人生は選択肢の連続。後悔の無い選択をしないといけない。明日が来ないかもしれないと思って今日を一生懸命生きる。それが出来れば苦労しない。きっと、後悔しないというのは無理なのだろう。
冒険者ギルドのある王都ハキーム。そこは多くの冒険者が所属している。毎日誰かが死んで、挑んで、また死んで。冒険者は過酷でいつ死ぬかも分からない、危険な世界だ。冒険者の凱旋を食い入るように見つめる。僕のあこがれのパーティがまた、町に帰って来た。数多の迷宮を踏破して、大陸内に敵なし、と言われるパーティ。僕も成人をして、冒険者になれば、あのパーティのように成れる、そう信じていた。
王都の酒場で酒を流し込む。帰宅した冒険者が僕を指さして「万年低級野郎がまた酒を飲んでやがる」と言っているのが聞こえる。酒を勢いよく流し込んで逃げるように席を立ち、酒場から出た。
視界が歪んで前が見えず、ふらふらする足を必死に前へ動かす。石造りの壁の前に立ち止まり、壁を強く殴りつけた。何度も何度も小声で「こんなはずじゃなかった」と呟く。何故、僕がこんな目に遭っているのか、それは僕自身が知りたい。
幼少期から一般家庭に生まれて、ごく普通に育ててもらった。両親が居て、家があり、ご飯も食べる事が出来た。冒険者に憧れて、庭で魔法や剣の訓練をして、楽しく過ごしていた。正直、魔法や剣は使い方次第でどうにでもなる。なんせ、全員が使える物で、特別な事は無いのだから。一つ、重要なのが戦闘にどう生かすかを考える事。ただ、僕は戦闘をどう行えばいいか分からない。戦闘になると力任せに魔法を放ち、剣を振る。モンスターには当たらず避けられて撤退、これを繰り返していた。いつしか、魔物を討伐しに行くが、撤退して町の掃除や手伝いと言った、憧れていた生活とは全く反対の事をして日銭を稼いで暮らしていた。
両親の言っていた「普通の生活を送りなさい」と言う言葉が頭を巡る。普通と言う言葉は嫌いだったし、夢を簡単に捨てたくは無かった。僕は売り言葉に買い言葉で「上級冒険者になるまで家に帰らない」と叫んで、家を出た。両親の悲しそうな顔は、今でも忘れることが出来ない。だからこそ、上級冒険者になり、認めてもらいたいという思いもある。とぼとぼ歩きながら、何度目か分からないため息を吐いていた。
朝日を浴びて、体を起こす。宿に帰って来ていて安心する。以前はやっていた朝の訓練はしばらくやっていない。支度を済ませて、ギルドに向かった。ギルドに寄っていつものように依頼を眺める。すると、隣から「ねえ、君はいつも何をしているんだ?」と声を掛けられる。冷やかしだろう、と思い声のした方を振り向きもせず依頼を受け付けへ持っていった。だが、受付の隣に並んで「それ、受けるの?」と聞いてくる。鬱陶しい、僕は思わず「うるさい!」と声を張り上げて、声のする方を見た。
色白で白金色の髪、整った顔立ちをした人が立っていた。誰かに似ている、そうだ、上級冒険者のアイルだ。まあ、僕に声を掛けてくる事なんてないだろうし、僕に声を掛ける意味も分からない。ただ、彼は続けて「暇なら、ちょっと付き合ってよ」と言った。そんな彼を放置して依頼を受理してもらい、依頼の場所に向かった。
受けた依頼は、狼型の魔物の討伐。鋭い牙を持ち、ごわごわの毛で覆われているため剣が通りづらい。体長は一メートルぐらいで、初心者が最初に討伐する魔物と言われている。僕はそれすら一度も狩れた事はないけれど。
城門を出て西側の森に入る。草陰に息をひそめて魔物を探す。魔物を発見する、運よく魔物はまだこちらの気配に気づいていない。手を前に出し「ファイアボール」と唱えた。魔物はこちらに気づくと魔法を避けて態勢を立て直した。
魔物を凝視して、次はどちらに動きだすか考える。右か左か、攻撃か。そんな事を考えているうちに、すぐ目の前に魔物は移動してきていた。咄嗟に剣を出し、抵抗する。魔物の腹を蹴とばして、態勢を整えるが、脳裏にこびりついた負け続けた過去の記憶が邪魔をする。僕は「まだ、勝てないか」と呟いて逃げ出す準備をした。背後から肩をトントンと叩かれて「諦めるのが早いでしょ」と声が聞こえた。まだ、追いかけて来ていたのか。振り返ると上級冒険者のアイルが僕を見ていた。
ああ、彼はアイルだったのか。何回も凱旋の時に見かけた白銀の重厚な鎧に、無駄な装飾の一切ないロングソード。僕みたいな下級冒険者に一体何の用事があると言うのだろう。混乱した頭を左右に振って夢かどうか確認する。頬を抓って痛みを感じる、という事は夢ではない。アイルは魔物をサッと仕留めてしまった。僕は顔を顰めて「何故、ここに?」と聞いた。アイルはロングソードの血を拭うと、はにかんで「用事があるんだ」と返事をした。血濡れた剣とはにかんだ顔に、僕は後ずさりする。誰しもが不気味な連想をしてしまうはずだ。僕は青ざめた顔で「もしかして、僕を殺しに?」と聞いた。殺される覚えもないし、悪い事はしていないと思う。アイルは大声で笑うと「冒険者でも、人殺しは重罪でしょ」と言った。
冒険者ギルドのある王都ハキーム。そこは多くの冒険者が所属している。毎日誰かが死んで、挑んで、また死んで。冒険者は過酷でいつ死ぬかも分からない、危険な世界だ。冒険者の凱旋を食い入るように見つめる。僕のあこがれのパーティがまた、町に帰って来た。数多の迷宮を踏破して、大陸内に敵なし、と言われるパーティ。僕も成人をして、冒険者になれば、あのパーティのように成れる、そう信じていた。
王都の酒場で酒を流し込む。帰宅した冒険者が僕を指さして「万年低級野郎がまた酒を飲んでやがる」と言っているのが聞こえる。酒を勢いよく流し込んで逃げるように席を立ち、酒場から出た。
視界が歪んで前が見えず、ふらふらする足を必死に前へ動かす。石造りの壁の前に立ち止まり、壁を強く殴りつけた。何度も何度も小声で「こんなはずじゃなかった」と呟く。何故、僕がこんな目に遭っているのか、それは僕自身が知りたい。
幼少期から一般家庭に生まれて、ごく普通に育ててもらった。両親が居て、家があり、ご飯も食べる事が出来た。冒険者に憧れて、庭で魔法や剣の訓練をして、楽しく過ごしていた。正直、魔法や剣は使い方次第でどうにでもなる。なんせ、全員が使える物で、特別な事は無いのだから。一つ、重要なのが戦闘にどう生かすかを考える事。ただ、僕は戦闘をどう行えばいいか分からない。戦闘になると力任せに魔法を放ち、剣を振る。モンスターには当たらず避けられて撤退、これを繰り返していた。いつしか、魔物を討伐しに行くが、撤退して町の掃除や手伝いと言った、憧れていた生活とは全く反対の事をして日銭を稼いで暮らしていた。
両親の言っていた「普通の生活を送りなさい」と言う言葉が頭を巡る。普通と言う言葉は嫌いだったし、夢を簡単に捨てたくは無かった。僕は売り言葉に買い言葉で「上級冒険者になるまで家に帰らない」と叫んで、家を出た。両親の悲しそうな顔は、今でも忘れることが出来ない。だからこそ、上級冒険者になり、認めてもらいたいという思いもある。とぼとぼ歩きながら、何度目か分からないため息を吐いていた。
朝日を浴びて、体を起こす。宿に帰って来ていて安心する。以前はやっていた朝の訓練はしばらくやっていない。支度を済ませて、ギルドに向かった。ギルドに寄っていつものように依頼を眺める。すると、隣から「ねえ、君はいつも何をしているんだ?」と声を掛けられる。冷やかしだろう、と思い声のした方を振り向きもせず依頼を受け付けへ持っていった。だが、受付の隣に並んで「それ、受けるの?」と聞いてくる。鬱陶しい、僕は思わず「うるさい!」と声を張り上げて、声のする方を見た。
色白で白金色の髪、整った顔立ちをした人が立っていた。誰かに似ている、そうだ、上級冒険者のアイルだ。まあ、僕に声を掛けてくる事なんてないだろうし、僕に声を掛ける意味も分からない。ただ、彼は続けて「暇なら、ちょっと付き合ってよ」と言った。そんな彼を放置して依頼を受理してもらい、依頼の場所に向かった。
受けた依頼は、狼型の魔物の討伐。鋭い牙を持ち、ごわごわの毛で覆われているため剣が通りづらい。体長は一メートルぐらいで、初心者が最初に討伐する魔物と言われている。僕はそれすら一度も狩れた事はないけれど。
城門を出て西側の森に入る。草陰に息をひそめて魔物を探す。魔物を発見する、運よく魔物はまだこちらの気配に気づいていない。手を前に出し「ファイアボール」と唱えた。魔物はこちらに気づくと魔法を避けて態勢を立て直した。
魔物を凝視して、次はどちらに動きだすか考える。右か左か、攻撃か。そんな事を考えているうちに、すぐ目の前に魔物は移動してきていた。咄嗟に剣を出し、抵抗する。魔物の腹を蹴とばして、態勢を整えるが、脳裏にこびりついた負け続けた過去の記憶が邪魔をする。僕は「まだ、勝てないか」と呟いて逃げ出す準備をした。背後から肩をトントンと叩かれて「諦めるのが早いでしょ」と声が聞こえた。まだ、追いかけて来ていたのか。振り返ると上級冒険者のアイルが僕を見ていた。
ああ、彼はアイルだったのか。何回も凱旋の時に見かけた白銀の重厚な鎧に、無駄な装飾の一切ないロングソード。僕みたいな下級冒険者に一体何の用事があると言うのだろう。混乱した頭を左右に振って夢かどうか確認する。頬を抓って痛みを感じる、という事は夢ではない。アイルは魔物をサッと仕留めてしまった。僕は顔を顰めて「何故、ここに?」と聞いた。アイルはロングソードの血を拭うと、はにかんで「用事があるんだ」と返事をした。血濡れた剣とはにかんだ顔に、僕は後ずさりする。誰しもが不気味な連想をしてしまうはずだ。僕は青ざめた顔で「もしかして、僕を殺しに?」と聞いた。殺される覚えもないし、悪い事はしていないと思う。アイルは大声で笑うと「冒険者でも、人殺しは重罪でしょ」と言った。
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