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九階 熾天使
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「なるほどね。で?お前はどうしたいんだよ?」
智一が俺の隣のブランコに乗ってぶらぶらし始める。どうしたい…それを決めかねているというか…なんというか。
「正直言葉に出来ない思いがあった、多分…友達と言う存在が大きいんだと思う。」
「友達…?彼女じゃなくてか?」
「そう、彼女もでかい。でも、今すぐじゃなくてもいいなら…もう少し居てもいいんじゃないか?って。」
そう、今すぐじゃなくていいなら。もう少し待ってくれるなら。友達と共有する時間を長く持ちたい。そう、考えてしまったんだ。きっと天界に行ったら、もう会えないと思うから。笑夢から直接聞いたわけじゃないけど、そうだと思う。
「う~ん…彼女を優先した方がいいと思うんだけどな?」
「なんで?友達もじゃないか?」
「いやな?あれだけ尽くしてくれるいい彼女をお前はまだ待たせるのか?」
まだってなんだよ。俺は皆ともっと一緒に居たいからそう思っているだけなのに…。そんなことを言われる筋合いはないだろ!
「顔に出てるから!すっごいよ今?何人か覇気で人が倒れるぞ?」
「え、そんなに顔に出てた?」
「うん、思ってる以上に出てるからな?」
「そっか…」
「俺らだって一緒に居れるならそれがいいんだ。だけどな、一生会えないわけじゃないかもしれない。」
「いや…一生会えないかもしれない」
智一は一瞬首を傾げて困った顔をした。当然か、もう会えないかもしれないなんて、言われることはないから。
「それならよ?どっちなのかもう決まってるんじゃないのか?」
「決まってないよね…?」
「だってよ?会えないかもとか、向こうに行ったら、とか。言葉の節々に感じるぜ?」
「そりゃ…そうだよ?」
「彼女の方を選ぶ選択肢を無意識に選んでるじゃん?」
そう…なのか?別にそんなことないと思うけど…?無意識に引っ張られてるって事?でもそうか…この状況、環境を作るのを手伝ってくれたのは笑夢だ。いつもサポートしてくれたのは笑夢だ。
「そうかも…しれない。」
「だろ?じゃあ、もう決まってるじゃんか?」
「本当にいいの?」
智一は首を縦に振りながら、腕を組んでいる。なんか貫禄出してるんだけど…同い年なはずだよな?ちょっとだけ、年上に見えてきた。
「友達の事を応援しない友達は友達じゃない。」
「智一…かっこよすぎないか?」
「あはは、そうか?かっこいいだろ?俺、モテないんだぜ。」
「いや、きっと女の子を呼ぶよ…こっちに。」
天使は行き来できるはずだから。俺は特例で向こうに行くからきっと行き来は出来ないだろうけど。天使に智一はかっこいい奴だ、と言おう。ハーレム作ったら神がお怒りになるから、一人だけ…ね。
「じゃあ、やっぱり来れるのか?」
「さぁ?俺も良く分からないんだよね。」
「なんだよ、それ。」
「どうなんだろうね。」
決まった、笑夢と一緒に行こう。どんな時も一緒に居てくれた笑夢だからこそ、一緒に生活できるし、長い間ずっと一緒に居たいと思ったから。どうせ、やりたい事なんて笑夢と生活するか、友達と一緒に遊ぶか、しかなかったし。あれ、これって俺…結構やばい事言ってないか?
「ありがとう、智一!」
「おう、またな!」
智一の存在は本当にありがたい。自分で考えて答えが出ない所を、カバーしてくれる。言葉が出ないのに、相手の事を思いやってくれている。お母さんがいい人だったもんね。
家に帰り、笑夢を呼ぶ。きっともう俺の心の中を読んでいるだろうけど。口で伝えよう、本当に大事な事だから。
「卒業したら、天界に行くよ」
「っ、いいんですか?」
「うん、さっき話して来た。すっきりしたよ」
「そうですか…ところで天界に行ってもこっちに来れますよ?」
「天使だけ…でしょ?」
「いえ、肇さんも」
「……はぁぁぁぁ?!」
嘘だよな?!俺、あんなに真剣に相談したんだよ?いや、これは喜ぶべきか?嘘じゃない方がいいか…?どうすればいいんだ?!
「そんなに身構えなくても…。」
「それだったら別に今すぐにでも行っても良くない?」
「え?そうだったんですか?」
そりゃ…そうだよね?もう帰ってこれないと思って悩んでたし、友達もせっかく出来たのに、とかあれやこれや考えてた。全部無駄だったの?!じゃあ、最初から笑夢に相談すれば良かったじゃん。
「ふふ、前にもこんな事ありましたね?」
「そうだったね。前とは状況が逆だけど…。」
前回は笑夢に相談して欲しかった。今回は笑夢に相談すれば良かった。逆転の現象。うん、似た者同士って事なんだろうね。
「似た者同士はうまく行かないって…こういう事なのかね?」
「どうなんでしょう?でも、私達は喧嘩はしないですから」
「笑夢が怒らないで居てくれるからじゃない?」
「どうでしょう?肇さんも寛容なのでは?」
「う~ん…笑夢がしたことなら大抵は許せるし、そうかもね!」
二人で笑いあう。あぁ…なんだ、安心したよ。天界から来ることが出来るなら。残りの学校生活を満喫しよう。
智一が俺の隣のブランコに乗ってぶらぶらし始める。どうしたい…それを決めかねているというか…なんというか。
「正直言葉に出来ない思いがあった、多分…友達と言う存在が大きいんだと思う。」
「友達…?彼女じゃなくてか?」
「そう、彼女もでかい。でも、今すぐじゃなくてもいいなら…もう少し居てもいいんじゃないか?って。」
そう、今すぐじゃなくていいなら。もう少し待ってくれるなら。友達と共有する時間を長く持ちたい。そう、考えてしまったんだ。きっと天界に行ったら、もう会えないと思うから。笑夢から直接聞いたわけじゃないけど、そうだと思う。
「う~ん…彼女を優先した方がいいと思うんだけどな?」
「なんで?友達もじゃないか?」
「いやな?あれだけ尽くしてくれるいい彼女をお前はまだ待たせるのか?」
まだってなんだよ。俺は皆ともっと一緒に居たいからそう思っているだけなのに…。そんなことを言われる筋合いはないだろ!
「顔に出てるから!すっごいよ今?何人か覇気で人が倒れるぞ?」
「え、そんなに顔に出てた?」
「うん、思ってる以上に出てるからな?」
「そっか…」
「俺らだって一緒に居れるならそれがいいんだ。だけどな、一生会えないわけじゃないかもしれない。」
「いや…一生会えないかもしれない」
智一は一瞬首を傾げて困った顔をした。当然か、もう会えないかもしれないなんて、言われることはないから。
「それならよ?どっちなのかもう決まってるんじゃないのか?」
「決まってないよね…?」
「だってよ?会えないかもとか、向こうに行ったら、とか。言葉の節々に感じるぜ?」
「そりゃ…そうだよ?」
「彼女の方を選ぶ選択肢を無意識に選んでるじゃん?」
そう…なのか?別にそんなことないと思うけど…?無意識に引っ張られてるって事?でもそうか…この状況、環境を作るのを手伝ってくれたのは笑夢だ。いつもサポートしてくれたのは笑夢だ。
「そうかも…しれない。」
「だろ?じゃあ、もう決まってるじゃんか?」
「本当にいいの?」
智一は首を縦に振りながら、腕を組んでいる。なんか貫禄出してるんだけど…同い年なはずだよな?ちょっとだけ、年上に見えてきた。
「友達の事を応援しない友達は友達じゃない。」
「智一…かっこよすぎないか?」
「あはは、そうか?かっこいいだろ?俺、モテないんだぜ。」
「いや、きっと女の子を呼ぶよ…こっちに。」
天使は行き来できるはずだから。俺は特例で向こうに行くからきっと行き来は出来ないだろうけど。天使に智一はかっこいい奴だ、と言おう。ハーレム作ったら神がお怒りになるから、一人だけ…ね。
「じゃあ、やっぱり来れるのか?」
「さぁ?俺も良く分からないんだよね。」
「なんだよ、それ。」
「どうなんだろうね。」
決まった、笑夢と一緒に行こう。どんな時も一緒に居てくれた笑夢だからこそ、一緒に生活できるし、長い間ずっと一緒に居たいと思ったから。どうせ、やりたい事なんて笑夢と生活するか、友達と一緒に遊ぶか、しかなかったし。あれ、これって俺…結構やばい事言ってないか?
「ありがとう、智一!」
「おう、またな!」
智一の存在は本当にありがたい。自分で考えて答えが出ない所を、カバーしてくれる。言葉が出ないのに、相手の事を思いやってくれている。お母さんがいい人だったもんね。
家に帰り、笑夢を呼ぶ。きっともう俺の心の中を読んでいるだろうけど。口で伝えよう、本当に大事な事だから。
「卒業したら、天界に行くよ」
「っ、いいんですか?」
「うん、さっき話して来た。すっきりしたよ」
「そうですか…ところで天界に行ってもこっちに来れますよ?」
「天使だけ…でしょ?」
「いえ、肇さんも」
「……はぁぁぁぁ?!」
嘘だよな?!俺、あんなに真剣に相談したんだよ?いや、これは喜ぶべきか?嘘じゃない方がいいか…?どうすればいいんだ?!
「そんなに身構えなくても…。」
「それだったら別に今すぐにでも行っても良くない?」
「え?そうだったんですか?」
そりゃ…そうだよね?もう帰ってこれないと思って悩んでたし、友達もせっかく出来たのに、とかあれやこれや考えてた。全部無駄だったの?!じゃあ、最初から笑夢に相談すれば良かったじゃん。
「ふふ、前にもこんな事ありましたね?」
「そうだったね。前とは状況が逆だけど…。」
前回は笑夢に相談して欲しかった。今回は笑夢に相談すれば良かった。逆転の現象。うん、似た者同士って事なんだろうね。
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「どうでしょう?肇さんも寛容なのでは?」
「う~ん…笑夢がしたことなら大抵は許せるし、そうかもね!」
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