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八階 智天使
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本来だったら助けが来るまで待つとか、寒さを凌ぐ方法とか…考えなければならないと思う。俺は…大丈夫だ。笑夢が居るから。俺の事を探し出してくれる。
「にしても…一発目からこんなんで大丈夫かな。」
独り言がやけに響いて聞こえる。うん、一人しかいないからね!滑り落ちた場所に川とかなくて良かった。雪解け水とかが道を作っていたら…寒くてまずかった。
待てよ…?でも俺どうやって上に上がるんだ?!笑夢が来てくれるのはそうなんだけど…笑夢は天使の姿で上がるの?もし見えてないとしても…俺だけ宙に浮いてるのおかしいよな?!
「何をくだらない事を考えているんですか?」
「あ、来てくれた?」
「まさか一発目から滑落するなんて…思いませんでしたよ?」
「ごめん、ちょっと楽しくて」
「前だけはしっかり見ていてくださいね?そもそも、ぶつからないためにも細心の注意を払うべきですよ?」
「そうだね…。」
「では、行きましょうか?」
「うん?どうやって…?!わぁ?!」
よく見て見ると、笑夢は女性の姿になっている。しかも、飛んでるし。さて…どうやって言い訳しようか…。
「しなくていいですよ?反省だけしていてください」
「な、どういう事?」
「認識できなくしてありますから」
あ~…。忘れてた。本当に命の恩人だ、ありがとう笑夢!大好きだぞ!!いや…愛してるぞ!!
……あ。調子に乗りすぎた。手が離されて……落ちてる!!!ちょっと待って!!死んじゃう、本当に死んじゃうから!!
「な、何急に言い出すんですか!!びっくりして落としてしまいましたよ?!」
「いや、本当に…浮きながら言うもんじゃないね。」
「なんです?思ってない事を言ったと…?」
「いや、地面に着いてから言おうかなって」
「ちょっと?!待って…!!!」
いや、何回俺は同じことを繰り返すんだ…。そして、笑夢?俺を何回落とすんだ?かなり上空だからいいけど…地面近かったらまずいって!
「だから…そういうのを言わないでくださいって!」
「だからごめんって!」
「何回同じことをさせるんですか…」
「照れてた?」
「それは…照れますよ。」
やだ、可愛い。うちの彼女、いや…妻?可愛くないですか?!真っ赤になった顔と耳が見える。寒いから赤いわけじゃなさそうだ…ぞ?
この後も何回か、落とされた。笑夢の事を心の中で自慢ばっかりしていたら。危なかった。最後の方なんて、地面すれすれでギリギリのキャッチになってたし。
「はぁ…着いた。」
「肇さんがそんなに言わなければ…」
「嫌だった?」
「嫌じゃないです!場所さえわきまえてくれたら…」
ごにょごにょ言っていて最後の方は聞き取れなかった。うん、そうだな、空を飛んでいる時は…やめておこう。
「で…今ならいいんじゃないですか?」
「うん?あぁ、そっか!はい」
手を広げて、笑夢を抱きしめる。耳元でそっと「愛してる」と言うと、笑夢は「私もですよ」と呟いた。
うん、上出来だ!今のは良い感じに出来たんじゃ…ん?何やら視線を感じる。おい…もしかして…。この前と同じ展開になったんじゃ…?!後ろを振り向く。今度は誰も居なかった。
「ああ、良かった」
「居ませんよ、皆休憩に行ってもらってましたから」
「ました?」
笑夢が無言で指を刺す。その方向にゆっくり視線を向けると、食堂の近くに何やらこちらを凝視している集団を発見…ああ。なるほどね。今回はそういうパターンか。
「笑夢の…着ている物は一緒ね?」
「はい、そうですね?」
「じゃあ、今の抱擁は遠目から見れば、生還を喜んでいる親友に見えるね?」
「そうだと思います。」
「それなら…まぁ、セーフか?」
「多分、ルトさんが喜んでいるんじゃないですか?」
「そうかも…ね。」
ん…?良く見れば、結君の後ろに美香が居ない?何やら後ろから抱きしめているように見えるけど…。
「寒いからくっついている、らしいですよ?」
「……うん。なんとなくわかった。」
「付き合えるんじゃないですか?今回ぐらいで」
「知らない間に進展しすぎじゃない?!」
「そうですか?満更でもなさそうな感じでしたし」
「結君が?」
「ええ、あれだけ献身的にしてくれれば…落ちるでしょうね」
へぇ…。まぁ、笑夢と一緒か。俺もそんな感じだったし。笑夢は…何やら舌打ちしていたけど。
「何がそんなに気に入らないの?」
「くっついてるのは構わないんですけど…教え方にやけにむらがあるんですよ」
「あ~。まずいかもね」
「ルトさんと智一さんの二人が大丈夫なのでいいんですが…」
「流石にまずいか?」
「私が教えるので、貴方は結さんを見ていてくださいと言ったら進展しました」
「…まじ?」
「まじもまじ。大マジですよ?」
まぁ、誰かと誰かがくっつくのもある意味…醍醐味かな?それなら、智一とルトもくっつけばいいんだけど…。
「それはまだ…先の方でしょうね?」
「にしても…一発目からこんなんで大丈夫かな。」
独り言がやけに響いて聞こえる。うん、一人しかいないからね!滑り落ちた場所に川とかなくて良かった。雪解け水とかが道を作っていたら…寒くてまずかった。
待てよ…?でも俺どうやって上に上がるんだ?!笑夢が来てくれるのはそうなんだけど…笑夢は天使の姿で上がるの?もし見えてないとしても…俺だけ宙に浮いてるのおかしいよな?!
「何をくだらない事を考えているんですか?」
「あ、来てくれた?」
「まさか一発目から滑落するなんて…思いませんでしたよ?」
「ごめん、ちょっと楽しくて」
「前だけはしっかり見ていてくださいね?そもそも、ぶつからないためにも細心の注意を払うべきですよ?」
「そうだね…。」
「では、行きましょうか?」
「うん?どうやって…?!わぁ?!」
よく見て見ると、笑夢は女性の姿になっている。しかも、飛んでるし。さて…どうやって言い訳しようか…。
「しなくていいですよ?反省だけしていてください」
「な、どういう事?」
「認識できなくしてありますから」
あ~…。忘れてた。本当に命の恩人だ、ありがとう笑夢!大好きだぞ!!いや…愛してるぞ!!
……あ。調子に乗りすぎた。手が離されて……落ちてる!!!ちょっと待って!!死んじゃう、本当に死んじゃうから!!
「な、何急に言い出すんですか!!びっくりして落としてしまいましたよ?!」
「いや、本当に…浮きながら言うもんじゃないね。」
「なんです?思ってない事を言ったと…?」
「いや、地面に着いてから言おうかなって」
「ちょっと?!待って…!!!」
いや、何回俺は同じことを繰り返すんだ…。そして、笑夢?俺を何回落とすんだ?かなり上空だからいいけど…地面近かったらまずいって!
「だから…そういうのを言わないでくださいって!」
「だからごめんって!」
「何回同じことをさせるんですか…」
「照れてた?」
「それは…照れますよ。」
やだ、可愛い。うちの彼女、いや…妻?可愛くないですか?!真っ赤になった顔と耳が見える。寒いから赤いわけじゃなさそうだ…ぞ?
この後も何回か、落とされた。笑夢の事を心の中で自慢ばっかりしていたら。危なかった。最後の方なんて、地面すれすれでギリギリのキャッチになってたし。
「はぁ…着いた。」
「肇さんがそんなに言わなければ…」
「嫌だった?」
「嫌じゃないです!場所さえわきまえてくれたら…」
ごにょごにょ言っていて最後の方は聞き取れなかった。うん、そうだな、空を飛んでいる時は…やめておこう。
「で…今ならいいんじゃないですか?」
「うん?あぁ、そっか!はい」
手を広げて、笑夢を抱きしめる。耳元でそっと「愛してる」と言うと、笑夢は「私もですよ」と呟いた。
うん、上出来だ!今のは良い感じに出来たんじゃ…ん?何やら視線を感じる。おい…もしかして…。この前と同じ展開になったんじゃ…?!後ろを振り向く。今度は誰も居なかった。
「ああ、良かった」
「居ませんよ、皆休憩に行ってもらってましたから」
「ました?」
笑夢が無言で指を刺す。その方向にゆっくり視線を向けると、食堂の近くに何やらこちらを凝視している集団を発見…ああ。なるほどね。今回はそういうパターンか。
「笑夢の…着ている物は一緒ね?」
「はい、そうですね?」
「じゃあ、今の抱擁は遠目から見れば、生還を喜んでいる親友に見えるね?」
「そうだと思います。」
「それなら…まぁ、セーフか?」
「多分、ルトさんが喜んでいるんじゃないですか?」
「そうかも…ね。」
ん…?良く見れば、結君の後ろに美香が居ない?何やら後ろから抱きしめているように見えるけど…。
「寒いからくっついている、らしいですよ?」
「……うん。なんとなくわかった。」
「付き合えるんじゃないですか?今回ぐらいで」
「知らない間に進展しすぎじゃない?!」
「そうですか?満更でもなさそうな感じでしたし」
「結君が?」
「ええ、あれだけ献身的にしてくれれば…落ちるでしょうね」
へぇ…。まぁ、笑夢と一緒か。俺もそんな感じだったし。笑夢は…何やら舌打ちしていたけど。
「何がそんなに気に入らないの?」
「くっついてるのは構わないんですけど…教え方にやけにむらがあるんですよ」
「あ~。まずいかもね」
「ルトさんと智一さんの二人が大丈夫なのでいいんですが…」
「流石にまずいか?」
「私が教えるので、貴方は結さんを見ていてくださいと言ったら進展しました」
「…まじ?」
「まじもまじ。大マジですよ?」
まぁ、誰かと誰かがくっつくのもある意味…醍醐味かな?それなら、智一とルトもくっつけばいいんだけど…。
「それはまだ…先の方でしょうね?」
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