上 下
48 / 61
七階 座天使

(6)

しおりを挟む
 笑夢から古都についての説明を受ける。最初に向かう所は、神社やお寺が密集している地域。何故密集しているかって?それぞれの宗教のために建てたらしい。実際、色々な宗教が絡み合って複雑になっているとか。
 二つ目、民衆が暮らしていたとされる町。そこは、焼き討ちにあい、今はもう存在していない。ただ、町おこしの一環で当時の建物の様子を再現してあるみたい。
 三つ目、戦が行われていたとされる戦場。今はもう跡形もないみたいだけど。ぐるっと一周するらしい。
 四つ目、お城と城下町。当時から代々営んでいるお店、修復された城を見ることができる。街並みは当時のものを出来るだけ維持するように進んでいるため、古都らしい光景を見つつ、お土産を購入したりできるようだ。
「思ったんだけど、結構大掛かりなんだね」
「ええ、そうですね」
「足が疲れてしまいますわね?」
「まぁ…楽しみだけどな!」
「うち…歩けるかな?」
 これに自由時間も歩きでしょ…?一日あたり何万歩と歩くことになりそうだな…。昼飯を挟んでいるから、ご飯を食べる!みたいなことにもならないだろうし…。う~ん、難しいなあ。
「座禅を組む体験とかもありますけど、どうします?」
「一生叩かれるじゃん!!」
「そうですか?」
「足引き釣りながら逃げるよ…」
 一日中歩き回った足を酷使するのは可哀そうだ…主に俺の足が。足に負担が無いコース選択をお願いします…。
「若干飛ぶ…とかですかね?」
「もう…発想が飛んでます」
「じゃあ、皆さんに負担が無いように組んでおきますね?」
「わたくしも案を出して差し上げましょうか?」
「要りません、私だけで完結できますので」
「いやぁ…楽しみだ!」
 智一…君は楽しみだ!しか言えないボットになってしまったんだね…。可哀そうだ。でも、そうだな。本当に楽しみではあるかな。
「ちなみに、中間テストがありますので」
「と…言いますと?」
「赤点あると、補習で残ることになります」
「ざ、残酷すぎる!!」
 翌日から、全員でテスト勉強をすることになった。結君も一緒だ。俺らに教えることは出来ないけれど、俺らが教えることは出来る。ただし、俺と智一は無理。実質…ルト、笑夢、美香の三人で全員をサポートしてくれていた。
 中間テストは無事全員でクリアできた。ルトと笑夢と美香は相変わらず上位…と言うか三人がトップ⒊。俺は中間より上位、智一は…ギリギリ回避。なんやかんやで、修学旅行前日になった。
「で…なんで全員居るの?」
 家でくつろいでいる全員に話しかける。前日から来ちゃったの?楽しみなのはわかるけど…さ?ね?ここ、そんなに広くないのよ。
「部室だからな?」
「いや、まぁ…分からなくないけど。」
「うちはあんまり家が近くないから!」
 ルト…元気がいい返事だ。まぁ、いいか。これはこれで楽しいわな。うん。結君も居るし。布団…どうする?笑夢さん…布団…。
「分かってます、持ってきました」
「用意周到、天才か!」
「それほどでもあります」
「謙遜は…(天界に)置いてきたのね…。」
 前に泊ったことあったよな…?あの時買わなかったっけ?そういえば、なんで三個布団があったんだ?俺、笑夢…二個しかないよな?
「あれも持ってきていましたので」
「ええ?!そうなの?!」
「はい、そうですよ?」
 そうだったんですか。なるほどね。そういえば…最近布団が柔らかくなって、寝つきが良くなった気がしてたんだけど…全部入れ替わってたりするか…?
「そこでイチャイチャしてないでくださいまし?」
「なんです?邪魔しに来たんですか?」
「貴方まだ“男性”の姿ですのよ?」
「それがどうしたというのです?」
「肇様が嫌じゃないのですか?」
「お、俺?俺は別に嫌じゃないけど?」
 笑夢は笑夢だし。まあ…確かに気にはなるんだけど。なんだろうな、思った以上に偏見があるみたい。俺自身も嫌な思いしているから、こういった偏見は取り除かないといけないんだけどな…。ルトがこっちをじっと見つめているし。あれは、流石に…気になるかな?
「そうなんですの?ではわたくしも男性の姿になった方がよろしくて?」
「今からなるのはまずいでしょ?!」
「どうしてですの?」
「貴方…自分の事を公開していますか?」
「いえ…そういえば何も。」
「ちゃんと正体を明かしてからやった方がいいよ?」
「では、ここに居る皆様に…」
「待て待て待て!!!」
 何でそうなる?!もう…寝ようよ?明日早いんだから…。でも、どうなんだろう…。皆に明かした方がいいのだろうか。俺は別に天使じゃないけど。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼氏の前でどんどんスカートがめくれていく

ヘロディア
恋愛
初めて彼氏をデートに誘った主人公。衣装もバッチリ、メイクもバッチリとしたところだったが、彼女を屈辱的な出来事が襲うー

壁の薄いアパートで、隣の部屋から喘ぎ声がする

サドラ
恋愛
最近付き合い始めた彼女とアパートにいる主人公。しかし、隣の部屋からの喘ぎ声が壁が薄いせいで聞こえてくる。そのせいで欲情が刺激された両者はー

夜の公園、誰かが喘いでる

ヘロディア
恋愛
塾の居残りに引っかかった主人公。 しかし、帰り道に近道をしたところ、夜の公園から喘ぎ声が聞こえてきて…

【完結】悪役令嬢になるはずだった令嬢の観察日記 

かのん
恋愛
 こちらの小説は、皇女は当て馬令息に恋をする、の、とある令嬢が記す、観察日記となります。  作者が書きたくなってしまった物語なので、お時間があれば読んでいただけたら幸いです。

碧恋の詠―貴方さえ護れるのなら、許されなくても浅はかに。【現在他サイトにて連載中です(詳細は近況ボードまたは最新話部分をご確認ください)】

宵月葵
恋愛
  現実をしばし離れて 胸きゅんな “時の旅” へおこしやす…… 今年中の完結をめざしつつも 永遠に続いてほしくなる非日常を……お送りできたらさいわいです せつなめ激甘系恋愛小説 × シリアス歴史時代小説 × まじめに哲学小説 × 仏教SF小説  ☆ 歴史の事前知識は 要りません ☆ 歴史と時代背景に とことんこだわった タイムスリップ仕立ての 愛と生と死を濃厚に掘り下げた ヒューマンドラマ with 仏教SFファンタジー ラノベ風味 ……です。 これは禁断の恋?―――――― 江戸幕末の動乱を生きた剣豪 新選組の沖田総司と 生きる事に執着の持てない 悩める現代の女子高生の 時代を超えた 恋の物語 新選組の男達に 恋われ求められても 唯ひとりの存在しかみえていない彼女の 一途な恋の行く末は だが許されざるもの…… 恋落ち覚悟で いらっしゃいませ…… 深い愛に溢れた 一途な可愛いヒロインと “本物のイイ男” 達で お魅せいたします…… ☆ 昔に第1部を書いて放置していたため、現代設定が平成12年です   プロットだけ大幅変更し、初期設定はそのままで続けてます ☆ ヒロインも初期設定のまま高3の女の子ですが、今の新プロットでの内容は総じて大人の方向けです   ですが、できるだけ若い方たちにも門戸を広げていたく、性描写の面では物語の構成上不可欠な範囲かつR15の範囲(※)に留めてます  ※ アルファポリスR15の規定(作品全体のおよそ1/5以上に性行為もしくはそれに近しい表現があるもの。作品全体のおよそ1/5以下だが過激な性表現があるもの。) の範囲内 ★ …と・は作者の好みで使い分けております ―もその場に応じ個数を変えて並べてます ☆ 歴史については、諸所で分かり易いよう心がけております   本小説を読み終えられた暁には、あなた様は新選組通、は勿論のこと、けっこうな幕末通になってらっしゃるはずです ☆ 史料から読みとれる沖田総司像に忠実に描かせていただいています ☆ 史料考察に基づき、本小説の沖田さんは池田屋事変で血を吐かないのは勿論のこと、昏倒もしません    ほか沖田氏縁者さんと病の関係等、諸所で提唱する考察は、新説としてお受け取りいただければと存じます ☆ 親子問題を扱っており、少しでも双方をつなぐ糸口になればと願っておりますが、極端な虐待を対象にはできておりません   万人の立場に適うことは残念ながら難しく、恐縮ながらその点は何卒ご了承下さいませ ※ 現在、全年齢版も連載しています  (作者近況ボードご参照) 

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

彼女(幼馴染)が親友と浮気したから親友の彼女(元カノの双子の妹)と復讐した結果、理想の彼女ができた。

東権海
ライト文芸
「お姉ちゃん、捨てたんだから私が貰ってもいいよね?」 彼女(幼馴染)が浮気した。 浮気相手は親友、しかも彼女持ち。 その彼女は幼馴染の妹。 「寝取ったんだから寝取り返してもよくね?」 浮気した二人への親友と(義)妹と幼馴染による復讐劇。 復讐が終わればもちろん関係は一気に甘々に…。 更新は当面の間毎日です。 初めての作品です。色々至らないことがあるかと思いますが、よろしくおねがいします。 カクヨムにて投稿しているものをこちらで連載する形になります。アルファポリス限定の特別ストーリーをたまに混ぜつつ投稿します。

妹よりも劣っていると指摘され、ついでに婚約破棄までされた私は修行の旅に出ます

キョウキョウ
恋愛
 回復魔法を得意としている、姉妹の貴族令嬢が居た。  姉のマリアンヌと、妹のルイーゼ。  マクシミリアン王子は、姉のマリアンヌと婚約関係を結んでおり、妹のルイーゼとも面識があった。  ある日、妹のルイーゼが回復魔法で怪我人を治療している場面に遭遇したマクシミリアン王子。それを見て、姉のマリアンヌよりも能力が高いと思った彼は、今の婚約関係を破棄しようと思い立った。  優秀な妹の方が、婚約者に相応しいと考えたから。自分のパートナーは優秀な人物であるべきだと、そう思っていた。  マクシミリアン王子は、大きな勘違いをしていた。見た目が派手な魔法を扱っていたから、ルイーゼの事を優秀な魔法使いだと思い込んでいたのだ。それに比べて、マリアンヌの魔法は地味だった。  しかし実際は、マリアンヌの回復魔法のほうが効果が高い。それは、見た目では分からない実力。回復魔法についての知識がなければ、分からないこと。ルイーゼよりもマリアンヌに任せたほうが確実で、完璧に治る。  だが、それを知らないマクシミリアン王子は、マリアンヌではなくルイーゼを選んだ。  婚約を破棄されたマリアンヌは、もっと魔法の腕を磨くため修行の旅に出ることにした。国を離れて、まだ見ぬ世界へ飛び込んでいく。  マリアンヌが居なくなってから、マクシミリアン王子は後悔することになる。その事実に気付くのは、マリアンヌが居なくなってしばらく経ってから。 ※カクヨムにも掲載中の作品です。

処理中です...