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六階 主天使

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「今すぐに行かない場合は?」
「まぁ、構わんが…あまり長くは待てないぞ?」
 はぁ…それは…どうしようか。今、かつてないほど人生を楽しんでいると思う。ここから先も楽しんで天界に行くものだとばかり思っていたけど。まさか…もう少しだとは…。
「ちなみに…期間的にはどの程度で?」
「天界に連れて行くからなぁ…数百年か?」
「なっが!!!猶予なっが!!」
「なんだ?短くないか?」
「長すぎ…。人間三回くらい転生できるよ…」
「じゃあ、今にしとくか?」
「勘弁してください…。」
「良かったですね、肇さん!」
「そうだね…今すぐにって…またすぐに決断を迫られるかと思ったよ。」
「なんだ?笑夢と一緒に居られるなら良いではないか?」
「まぁ…そうなんだけど。」
 何か煮え切らないというか…。父さん、母さんの事もあるし。今は友達の事もある。昔だったらもう連れて行って欲しかった、と思うけど。
「そういえば美香はどうしたの?」
「あやつは今は天界に居るぞ?お前らの様子を…お、来たみたいだ」
 光と共に降りてくる。え、神ってどうやって降りてきた?光ってなかったっけ?そんなエフェクトみたいに選択できるの?
「おめでとうございます、お二人とも」
「うん…ありがとう…。」
「わたくしの事は本当に気にしないでいただいて大丈夫ですわよ?」
「そうですね、この人は図太い神経をしていますから」
「貴方には言われたくありませんの」
「なんです?」
 二人が火花を散らせる。やめて~…。天使の戦争に巻き込まれたらこの世界終わっちゃうよ~…。この経験二度目じゃない?隕石より怖いって。
「あれ、止めてよ…」
「ははは!私にはどうすることも出来ないぞ?」
「嘘でしょ…。」
 そうだ…美香のサポートもするんだっけ。居るかな…心の綺麗な人は。智一とか良いと思うんだけどな。
「お前と一緒に居た友達か?」
「そうだけど…駄目?」
「あやつも大丈夫ではありそうだな?」
「そうだよね?ただ…何か美香には引っかかるみたい」
「美香よ、何に引っかかるのだ?」
「好みではないのですわ」
 え…その一言なの?!前はもったいぶってもっと言ってなかった?外見なの?それなら俺…あんまり見た目良くないけど?
「お前は二人の天使を誑かしたからな?見た目は良いのではないか?」
「誑かしてない!」
「だが、お前の傍に来ただろう?」
 う~ん…それって誑かしたって言うのかな?なんだろう…煮え切らないな。見た目にあんまり自信はないけどな?
「なんか…納得しないな…。」
「ははは!お前の生活は大体こんなものだろう?」
「うん?まぁ…賑やかなのは…好きだけど。」
「なら良いではないか?」
 まぁ…新年早々、こんなに人が居た事は無かったけど。家族以外で。あ、待てよ…新年って事は…もしかして両親帰ってくるか?
 携帯を確認したら、案の定連絡が入っていた。まぁ、今回は帰れない、との事だったけど。それなら良かった。だって…見てよ、この状況。天使二人、神一人。全員女性。この状況見たら両親ぶっ倒れちゃうよ。
 翌朝、案の定天使二人と神は朝までぶっ通しで飲み続けていた。すごすぎない?皆して普通の顔してるんだよ?酔うとかの感覚はないのだろうか?
「おはよう」
 皆は頷いている。何を頷いているんだ?俺のあいさつに返事をした、という事か?そうなの?ねぇ、寂しいんだけど?ってか…笑夢と付き合ったんだけど、あんまり変わらなくないか?
「新年早々、思考がうるさいな?」
「あ、全員全部聞こえてるのか」
「はい……全部…聞こえてますよ?」
 笑夢は嬉しそうにしているけど。あ、待って。神も良く見たらにやにやしてる。小説好きだもんね。こういう展開が好きなんだ?
「わたくしは納得行ってませんの」
「ごめんって…新入生来るじゃん?部活に入ってくるって」
「あ~来ますわね?」
「うん?何?分かるの?」
「はい、分かりますわよ?」
「うん、ネタバレやめてもらえるか?」
「え?こういうのダメなんですの?」
「楽しみがなくなっちゃうじゃん!!入るのか、良かった!」
 未来視もするんだ…。一人だけでも入ってくれればいいけどね。でも、人数集める意味…あるか?友達部って…。
「お前の友達を増やすためにあるのだろう?だったらあるではないか」
「確かに!忘れてた…」
「楽しかったんですよね?今のままでも」
「うん、楽しかったよ!」
「ほう、お前は直で可愛い物があるな?」
 神…天使が一人お怒りですよ?後、靡かないから…。なんか言葉遣いが可愛くない。絶妙に偉い神って感じがして。
「そう?じゃあ変えてみようかしら?」
「え?!声も変わった?!」
「それぐらい造作もない事よ?」
「なんか…お姉さん?」
「ええ、小説で呼んだの?どうかしら?」
「靡かないけど…それでお願いします。」
「肇さん…?」
 あ…まずいか。俺強制的に天界に連れ去られる時が来た?!
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