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五階 力天使

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 何故か神は今日も居た。俺もどこにも行く予定が無いから…いいんだけど。神は暇なのかな?あ…やばい。
 「暇だ、かと言って一人間の家にこうして居るのも珍しいのだぞ?」
 「そう…?」
 「お前は相当慣れているのだな?神を見たことがあったか?」
 「いや、ないかな?」
 「であろう?一般的には驚かれるか敬われるかなのだがな?」
 ちらっとこっちを横目で見てくる。う~ん…敬ってないわけじゃないんだけど…堅苦しいのは嫌かな?って思ったし、言われたからさ。酒飲んでる美人って言う印象しかないんだ。ごめんなさい。
 「肇さん?気にしなくて大丈夫ですよ?」
 「そうなの?だって…しょんぼりしてる」
 「あのお方は寂しがりなのです」
 「寂しがり?!神が?!仲間に囲まれてる図しか想像できないのに?!」
 「はい、実際周りの配下は多いですけど。」
 「う~ん…じゃあ、友達になる?」
 「友達?!ですか…?それは大分軽薄かと…?」
 「良い良い!友達で良いぞ!」
 いいのかい?!すごいな…俺の人脈。ちょっと前まで想像できなかったぞ…。友達三人目は美人な神様…?
 「よろしいのですか?」
 「良いだろう?こいつは尊敬しながら友達とするタイプだ。そこら辺の人間とは違うだろう?」
 「そうではあるのですが…」
 「なんだ?嫉妬か?」
 「ち、違いますよ!!」
 「ふ~む?心はそうは言ってないようだが?」
 「い、いいですよ!そうおっしゃるなら。」
 笑夢は慌てて顔を隠すし、神はにやにやしている。なんだこのシュールにして荘厳な絵面。俺はこの道を選んで正解だったんだ。友達や大事な人に囲まれている。
 「そうだな?神にまつわることを生業としている者からすれば、羨ましいであろうな?」
 「うん、そうだろうね」
 「不敬罪で捕えられて、打ち首だろうな?」
 「え?怖いって…敬語の方がいい?」
 「はは、冗談だ、気にするな!」
 冗談が冗談に聞こえないんだよなぁ…。正直、こんな場所に呼ばれている事そのものが罪な気がしているよ。そうじゃない?普通のアパートだし。もっとこう…神殿とか?の方がいいんじゃないだろうか。
 「よいよい、あんな堅苦しいところに呼ばれても降りん!」
 「えぇ…不敬罪どこ?!」
 「だから冗談だと言ったであろう!」
 「冗談だよ」
 「全く…神をいじるとは何たる事だ!」
 神は豪快に笑う。面白かったらしい。それは良かった。ただ、少しだけ不安そうな顔をしている。まだ何かありそうだな…。
 「まだ何か不安な要素が?」
 「ああ、先ほど問題を出したであろう?あの天使…どうするか。」
 「あ、やっぱり本当に来たがってるんだ?」
 「そうだ、だからどう説明したものか。」
 笑夢は顔をしかめている。え?そんなに厄介なの?天使って清らかな存在じゃないの?笑夢みたいな感じの人しか居ないのかと思ってた。笑夢も笑夢で一歩間違えると少しやばい気がしなくもないけど。
 「天使は清らか故、見初めると一途なのだ。」
 「う~ん…。揺らがないとは思うけど、それもそれで可哀そうだ。」
 「だが、お前らはまだ何もなっていないだろう?」
 「それは…まぁ…」
 「だから、事が起こるとまずいじゃないか?」
 「え?!そんなにぐいぐい来るの…?」
 「お前は笑夢で学ばなかったのか?」
 「あぁ…そういう意味で。」
 「そうだ。だからどうしたものか、と。」
 う~ん…可哀そうだからって受け入れてもそれはそれで。うわぁ…決めきれない。断った方がいいけど、一途なんだ?じゃあどうすればいいんだ…。
 「それ、どうにもできなくない?」
 「いっそ分身させるか?」
 「権限の使い方間違ってない?」
 「何、土くれから人間を作ることは造作もない!」
 「違う違う。やりたい放題したら流石にまずいかな…。」
 もう一人の俺は家も何もないじゃない?この家に住むってなっても…それはそれで困る。友達が最近来るようになったし、人間の。皆が皆異界の人じゃないから…。
 「うむ、ではどうする?」
 「あ、俺が何とかするの?!」
 「意見を出して見せよ!」
 「そういわれましても…笑夢はどうかな?」
 「まぁ…正直言いますよ?天使は厄介です」
 「うん、わかってました!」
 「記憶操作、傀儡、見た目の変更…なんでも出来ますからね?」
 「それなんて悪魔?」
 「私は好きになって欲しくて使ってませんけど…無理だと分かったらやってくる可能性もありますね」
 終わりだ、終わり!相手が悪すぎるって!記憶書き換えとかされたら俺も無理だし…困ったな…。
 「ねぇ?天使は何やってもその地位を剥奪されることはないの?」
 「いや、あまりにもやりすぎると剥奪するぞ?」
 「じゃあ、やりすぎない程度に来るかな?」
 「そうだと思いますね」
 「もう…本当に可愛そう。こんな敵みたいな扱いされて…」
 「肇さんは自分の心配してください!」
 そうなの?でもさ…直に断っても無理、希望を抱かせるとぐいぐい来る。無理じゃない?俺これ…詰んだよ。
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