27 / 61
五階 力天使
(1)
しおりを挟む
合宿当日、早朝に何とか起きる事に成功する。実際は笑夢に起こしてもらったわけなのだが。笑夢がすべての手筈を終えてくれていたようで、頭が上がらなかった。電車に乗って待ち合わせ場所である駅に向かう。皆は揃っているのだろうか。
あ…皆もう待ってるじゃん!すごいな…何で来たんだろう?始発でも…ギリギリだったのに。
「お待たせ…ってルト?髪切った?」
「え、すごい分かったの?!切った!」
「それだけ大胆にイメチェンしてれば分かるよ!」
「智一は気づかなかったのに…」
「ん?髪切ったのか?!」
かなり短めだったのが、ショートボブ?というか、可愛らしい髪型になっている。なんでも似合いそうだ。智一は頭を掻いて、目を擦る。よく見ると目元に隠しきれない程のくまが出来ていた。
「智一…寝てない?」
「おう!こういうイベントの前日は寝れなくてな…」
「子供じゃないんだから…」
「いいんだよ!間に合えば何でも!」
がはは、と大きく笑いごまかしている。うん…楽しみなのはいい事だ。だけどさ、この後起きてられるのかな?枕投げが一番楽しみ!みたいな事を言っていた気がするんだけど…。
「寝るだろうな…うん。」
「何を?!起きてられるわ!」
「多分…枕投げしながら寝るでしょ」
「もしかして…俺って超能力者?!」
「ないない」
「見るからに…なさそうですね。」
「そんなに否定しなくても良くない?!」
皆で笑いあいながら、到着した電車に乗り込む。電車に揺られて二時間程度。窓の外には綺麗な海が広がっていた。本当に、事前に見たパンフレット通りの感じだ。透明な水に白い砂浜。朝日がさしていて、道が出来ているみたいで美しい。
「うわぁ…すごい」
「本当に綺麗だね…うち、こんなの見た事無い!」
「すげぇな!こんな綺麗な海があったなんて…」
「あれは、サンゴの死骸や貝殻が砕けているので…気を付けてくださいね?」
そうなの?!風情が一気になくなったような…いや、待て。自然が織りなす奇跡だと捉えよう。そうしたらもっと感謝できる。この状況を生み出してくれた地球に。うん、壮大な考えだ。
駅に降りて、砂浜に向かう。まだ朝の七時、全然人が居ない。借りてきたビーチパラソルとシートをセットして…いざ海へ!
「ほ~!!すごいぞ!肇!」
「俺ね…海怖いんだよね」
「は?!そんなこと言ってる場合かよ?!」
「そうだよ!うちもそう思うよ?」
二人は俺の方を見る。いやさ…何が居るか分からないじゃない。泳げないしさ。浅瀬の所に居ても…ね?分かるかな?この気持ち…。大きなサメとか…来るかもしれないよ?!
「肇さん…来ないですよ、そんなサメは…」
「え?そうなの?だって居そうじゃない…」
「居るにはいますね。ただ、どれぐらいの大きさですか?映画に出てくるようなサメはいませんけど、ホオジロザメとかイタチザメなら…」
「へぇ…居るんだ。」
「後…普通に私が居るので安心です」
「確かに!」
「行きましょう?」
笑夢は何故か手を前に差し出し、俺に水を掛ける。しょっぱ!!何、それ海水?うわぁ…しょっぱいけど、別にそんなに気にするほどでもないのか…。
「分かった、行こう。」
「はい!あ、まずは日焼け止めを塗って…」
笑夢と日焼け止めを塗りあう。と言っても、塗れない背中部分のみだ。笑夢は男性の姿をしていると、筋肉が程よくあって細身なマッチョ。うらやましい。俺の体は…まぁ比べないようにしよう。
「行くぞ!!うぉぉぉぉ!」
「はしゃぎすぎですよ?そんなにはしゃいだら…」
こけた…。砂浜に足を取られて顔から行った…。ナニコレ、めっちゃ歩きづらいじゃん?!ぺっぺっ!砂まみれだ…。
「ははは!なんだそれ!面白そうだな!」
何故か智一も、浅瀬からこっちに走ってきて砂浜にダイブする。砂だらけになるのは楽しくないんだが?!
「いいなぁ!これ!」
「埋めるぞ…智一!!」
「ぎゃ~!!逃げろ~!!」
浅瀬で遊んで疲れが溜まる。休憩するために一度パラソルの所まで戻る。すると、笑夢が本を読んでいた。何故…俺に発破をかけたはずの笑夢が優雅に本を読んでいるんだ。
「笑夢は行かなくていいの?」
「はい、私は元より遊ぶのが目的ではないので」
「え?」
「肇さんが行くところに行くことができればそれでいいのです」
「何それ、嬉しい、ときめいちゃう!」
「……?」
ごめん、ちょっと…柄にもない事した。なんか語感が良かったから使ったんだけど…良くなかったみたい。
「笑夢はさ、本当に肌が真っ白だね?」
「そうですか?皆こんな感じですよ?あ…肌を焦がしてみますか?」
「ねぇ…溶けない?チーズみたいにならない?」
「なるかもしれないですね…どうです?」
「俺をチーズにして食べるつもり?!」
「ふふ、美味しいかもしれないですね?」
「こわ…?!」
「嘘です、支障はないですよ、見た目が変わるぐらいですかね?(使ったことはないですけど)」
ん?何やら不穏な声が聞こえたような…。使ったことない能力ばかりあるんだな。使う機会もないのかもしれないしね…。
あ…皆もう待ってるじゃん!すごいな…何で来たんだろう?始発でも…ギリギリだったのに。
「お待たせ…ってルト?髪切った?」
「え、すごい分かったの?!切った!」
「それだけ大胆にイメチェンしてれば分かるよ!」
「智一は気づかなかったのに…」
「ん?髪切ったのか?!」
かなり短めだったのが、ショートボブ?というか、可愛らしい髪型になっている。なんでも似合いそうだ。智一は頭を掻いて、目を擦る。よく見ると目元に隠しきれない程のくまが出来ていた。
「智一…寝てない?」
「おう!こういうイベントの前日は寝れなくてな…」
「子供じゃないんだから…」
「いいんだよ!間に合えば何でも!」
がはは、と大きく笑いごまかしている。うん…楽しみなのはいい事だ。だけどさ、この後起きてられるのかな?枕投げが一番楽しみ!みたいな事を言っていた気がするんだけど…。
「寝るだろうな…うん。」
「何を?!起きてられるわ!」
「多分…枕投げしながら寝るでしょ」
「もしかして…俺って超能力者?!」
「ないない」
「見るからに…なさそうですね。」
「そんなに否定しなくても良くない?!」
皆で笑いあいながら、到着した電車に乗り込む。電車に揺られて二時間程度。窓の外には綺麗な海が広がっていた。本当に、事前に見たパンフレット通りの感じだ。透明な水に白い砂浜。朝日がさしていて、道が出来ているみたいで美しい。
「うわぁ…すごい」
「本当に綺麗だね…うち、こんなの見た事無い!」
「すげぇな!こんな綺麗な海があったなんて…」
「あれは、サンゴの死骸や貝殻が砕けているので…気を付けてくださいね?」
そうなの?!風情が一気になくなったような…いや、待て。自然が織りなす奇跡だと捉えよう。そうしたらもっと感謝できる。この状況を生み出してくれた地球に。うん、壮大な考えだ。
駅に降りて、砂浜に向かう。まだ朝の七時、全然人が居ない。借りてきたビーチパラソルとシートをセットして…いざ海へ!
「ほ~!!すごいぞ!肇!」
「俺ね…海怖いんだよね」
「は?!そんなこと言ってる場合かよ?!」
「そうだよ!うちもそう思うよ?」
二人は俺の方を見る。いやさ…何が居るか分からないじゃない。泳げないしさ。浅瀬の所に居ても…ね?分かるかな?この気持ち…。大きなサメとか…来るかもしれないよ?!
「肇さん…来ないですよ、そんなサメは…」
「え?そうなの?だって居そうじゃない…」
「居るにはいますね。ただ、どれぐらいの大きさですか?映画に出てくるようなサメはいませんけど、ホオジロザメとかイタチザメなら…」
「へぇ…居るんだ。」
「後…普通に私が居るので安心です」
「確かに!」
「行きましょう?」
笑夢は何故か手を前に差し出し、俺に水を掛ける。しょっぱ!!何、それ海水?うわぁ…しょっぱいけど、別にそんなに気にするほどでもないのか…。
「分かった、行こう。」
「はい!あ、まずは日焼け止めを塗って…」
笑夢と日焼け止めを塗りあう。と言っても、塗れない背中部分のみだ。笑夢は男性の姿をしていると、筋肉が程よくあって細身なマッチョ。うらやましい。俺の体は…まぁ比べないようにしよう。
「行くぞ!!うぉぉぉぉ!」
「はしゃぎすぎですよ?そんなにはしゃいだら…」
こけた…。砂浜に足を取られて顔から行った…。ナニコレ、めっちゃ歩きづらいじゃん?!ぺっぺっ!砂まみれだ…。
「ははは!なんだそれ!面白そうだな!」
何故か智一も、浅瀬からこっちに走ってきて砂浜にダイブする。砂だらけになるのは楽しくないんだが?!
「いいなぁ!これ!」
「埋めるぞ…智一!!」
「ぎゃ~!!逃げろ~!!」
浅瀬で遊んで疲れが溜まる。休憩するために一度パラソルの所まで戻る。すると、笑夢が本を読んでいた。何故…俺に発破をかけたはずの笑夢が優雅に本を読んでいるんだ。
「笑夢は行かなくていいの?」
「はい、私は元より遊ぶのが目的ではないので」
「え?」
「肇さんが行くところに行くことができればそれでいいのです」
「何それ、嬉しい、ときめいちゃう!」
「……?」
ごめん、ちょっと…柄にもない事した。なんか語感が良かったから使ったんだけど…良くなかったみたい。
「笑夢はさ、本当に肌が真っ白だね?」
「そうですか?皆こんな感じですよ?あ…肌を焦がしてみますか?」
「ねぇ…溶けない?チーズみたいにならない?」
「なるかもしれないですね…どうです?」
「俺をチーズにして食べるつもり?!」
「ふふ、美味しいかもしれないですね?」
「こわ…?!」
「嘘です、支障はないですよ、見た目が変わるぐらいですかね?(使ったことはないですけど)」
ん?何やら不穏な声が聞こえたような…。使ったことない能力ばかりあるんだな。使う機会もないのかもしれないしね…。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
わたしを嫌う妹の企みで追放されそうになりました。だけど、保護してくれた公爵様から溺愛されて、すごく幸せです。
バナナマヨネーズ
恋愛
山田華火は、妹と共に異世界に召喚されたが、妹の浅はかな企みの所為で追放されそうになる。
そんな華火を救ったのは、若くしてシグルド公爵となったウェインだった。
ウェインに保護された華火だったが、この世界の言葉を一切理解できないでいた。
言葉が分からない華火と、華火に一目で心を奪われたウェインのじりじりするほどゆっくりと進む関係性に、二人の周囲の人間はやきもきするばかり。
この物語は、理不尽に異世界に召喚された少女とその少女を保護した青年の呆れるくらいゆっくりと進む恋の物語である。
3/4 タイトルを変更しました。
旧タイトル「どうして異世界に召喚されたのかがわかりません。だけど、わたしを保護してくれたイケメンが超過保護っぽいことはわかります。」
3/10 翻訳版を公開しました。本編では異世界語で進んでいた会話を日本語表記にしています。なお、翻訳箇所がない話数には、タイトルに 〃 をつけてますので、本編既読の場合は飛ばしてもらって大丈夫です
※小説家になろう様にも掲載しています。
養っていただかなくても結構です!〜政略結婚した夫に放置されているので魔法絵師としていざという時の為に自立を目指します〜
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
恋愛
政略結婚の夫との冷えきった関係。義母は私が気に入らないらしく、しきりに夫に私と別れて再婚するようほのめかしてくる。
それを否定もしない夫。伯爵夫人の地位を狙って夫をあからさまに誘惑するメイドたち。私の心は限界だった。
なんとか自立するために仕事を始めようとするけれど、夫は自分の仕事につながる社交以外を認めてくれない。
そんな時に出会った画材工房で、私は絵を描く喜びに目覚めた。
そして気付いたのだ。今貴族女性でもつくことの出来る数少ない仕事のひとつである、魔法絵師としての力が私にあることに。
このまま絵を描き続けて、いざという時の為に自立しよう!
そう思っていた矢先、高価な魔石の粉末入りの絵の具を夫に捨てられてしまう。
絶望した私は、初めて夫に反抗した。
私の態度に驚いた夫だったけれど、私が絵を描く姿を見てから、なんだか夫の様子が変わってきて……?
そして新たに私の前に現れた5人の男性。
宮廷に出入りする化粧師。
新進気鋭の若手魔法絵師。
王弟の子息の魔塔の賢者。
工房長の孫の絵の具職人。
引退した元第一騎士団長。
何故か彼らに口説かれだした私。
このまま自立?再構築?
どちらにしても私、一人でも生きていけるように変わりたい!
コメントの人気投票で、どのヒーローと結ばれるかが変わるかも?
完結した作品の番外編特集
アズやっこ
恋愛
既に完結した作品の番外編をこっそりのせます。
麗しの騎士様の好きな人の番外編は本編で書いているのでこちらには掲載しません。
❈ 設定うんぬんないです。
❈ 時系列バラバラです。
❈ 書きたいように書いてます。
❈ 読みたい作品だけお読み下さい。
❈ 思いつきで書いてます。本編作品の描写を損なう話もあります。
❈ 小話程度なので、この話はこの話として読んで頂けたら嬉しいです。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
瀬々市、宵ノ三番地
茶野森かのこ
キャラ文芸
瀬々市愛、二十六才。「宵の三番地」という名前の探し物屋で、店長代理を務める青年。
右目に濁った翡翠色の瞳を持つ彼は、物に宿る化身が見える不思議な力を持っている。
御木立多田羅、二十六才。人気歌舞伎役者、八矢宗玉を弟に持つ、普通の青年。
愛とは幼馴染みで、会って間もない頃は愛の事を女の子と勘違いしてプロポーズした事も。大人になって再会し、現在は「宵の三番地」の店員、愛のお世話係として共同生活をしている。
多々羅は、常に弟の名前がついて回る事にコンプレックスを感じていた。歌舞伎界のプリンスの兄、そう呼ばれる事が苦痛だった。
愛の店で働き始めたのは、愛の祖父や姉の存在もあるが、ここでなら、自分は多々羅として必要としてくれると思ったからだ。
愛が男だと分かってからも、子供の頃は毎日のように一緒にいた仲だ。あの楽しかった日々を思い浮かべていた多々羅だが、愛は随分と変わってしまった。
依頼人以外は無愛想で、楽しく笑って過ごした日々が嘘のように可愛くない。一人で生活出来る能力もないくせに、ことあるごとに店を辞めさせようとする、距離をとろうとする。
それは、物の化身と対峙するこの仕事が危険だからであり、愛には大事な人を傷つけた過去があったからだった。
だから一人で良いと言う愛を、多々羅は許す事が出来なかった。どんなに恐れられようとも、愛の瞳は美しく、血が繋がらなくても、愛は家族に愛されている事を多々羅は知っている。
「宵の三番地」で共に過ごす化身の用心棒達、持ち主を思うネックレス、隠された結婚指輪、黒い影を纏う禍つもの、禍つものになりかけたつくも神。
瀬々市の家族、時の喫茶店、恋する高校生、オルゴールの少女、零番地の壮夜。
物の化身の思いを聞き、物達の思いに寄り添いながら、思い悩み繰り返し、それでも何度も愛の手を引く多々羅に、愛はやがて自分の過去と向き合う決意をする。
そんな、物の化身が見える青年達の、探し物屋で起こる日々のお話です。現代のファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる