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四階 能天使
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テスト期間が無事終了して、テストが返却される。全教科赤点はなかった…ふぅ。何とかなったみたいで良かった。智一は…?
「どうだった?」
「まぁ…何とかなったよ」
「それは良かった。赤点になるかな?って思ってたけど」
「酷いだろ?!肇の方が赤点取りそうなのに」
「それは偏見だよ」
「じゃあ、何点だったんだよ?」
「せーので行く?」
「いいぜ、せーの!」
俺は全部のテストを机に広げる。智一は目を見開いて、俺とテストを交互に見てくる。今回は皆のおかげだけど、いい点数だったよ。智一は…赤点すれすれじゃないか?!どうなってるんだ…?!あんなに勉強したのに。
「それ…」「分かってる!言うな…一番ショックなのは俺だ。」
「肇さん、良かったですね!」
「うん!皆のおかげだよ」
「ちっちくしょー!!!」
「そこまで卑屈にならなくても…」
「笑夢…お前は何点だったんだ!!」
智一…?!お前…それだけは聞いちゃいけないと思うよ?多分笑夢は…
「全教科満点ですよ?妥当じゃないですか?」
「……?」
智一は撃沈していた。もはや真っ白だ。だから聞いちゃいけないって言ったじゃん。言ってないけど。笑夢は非の打ちどころのないパーフェクト天使なんだから。
「それほどでも」
こそっと耳打ちしてくる。そっかぁ…聞こえるよね。ルトは大丈夫だとすれば…皆で行けるかな!智一も別に行けるんだから喜んだらいいのにな…。
「ふふ、そうだな!俺も行けるんだ!わーい!」
「?!」
「なんだ?肇は顔に出やすいからな、なんなら顔にそう書いてあったぞ?」
「顔には文字なんて出ないでしょ?!」
「実はな…俺は能力者なんだ!」
「はいはい。顔に文字が出る能力ね?」
「俺の渾身のギャグが流された…」
「まぁ、点数なんて飾りですよ。行けるかどうか、それだけじゃないですか?」
「は…はは…は。百点様は違うな!」
智一は遠い目をする。あ、そういえば小遣いアップとか言ってたような…?それでこの落ち込み具合なのか!
「分からないじゃないか!その点数でも上位かもしれないよ?」
「”その”って言うな。もう下位になってる言い方だろ」
「うん…まぁね?」
「く…くそう!!」
一応、二人でクラスの前に張り出された神を見に行く。クラス全体、学年全体を見ても、上位100には載ってない。ルトが10位に位置していて、笑夢はトップだった。
「え、10位?!」
「ルト…すごいんだな?!」
俺らは顔を見合わせる。俺も実は99位程に名前が書いてあった。それは見せないように…すっと立ち去る。智一は後ろで「あー!!」と言う声を上げていたが、聞こえないふりをする。
「お前ら…全員揃いも揃って…。」
「良いんだよ、順位なんて!」
「俺の小遣いが…」
「バイトすれば?」
「バイト…?バイトってなんだ?」
「なんでそんな初めて聞いた反応するの?一般的じゃないのか?」
「働きたくない…」
「ダメ人間だったか」
「ダメって言うなぁ…!!学生の本分は勉強だ!!」
うん、そういわれているけどね。俺もバイトしているわけじゃないし、他人にどうこう言えるわけじゃないし。そういえば、妙に笑夢が静かだな…?
「いえいえ、すごくはないですよ?」
廊下から笑夢の声がする。覗いてみたら、笑夢はたくさんの女子生徒に囲まれている。怖い…。黄色い声援が飛んでいるよ。智一も俺のすぐ後ろから顔を出してみている。その表情は唇をかみながら悔しそうにしていた。
「智一も…勉強頑張ってみれば?」
「おい、頑張った結果がこれなんだが?」
「そ、そうだね?」
「くそ~…花の高校生活が…!」
「ルトが居るじゃん?」
「そ、そうだな?」
ルト本人がどう思うか知らないけど、少なからずはいい方向に行っていそうな感じがするけど。まぁ…友達居ない組からすれば、交際云々とか、思考が至らないんだよなぁ…。
「頑張ってみるか!」
「迷惑がられないようにね?後…責任持ってね?」
「そういえば…向こうがどう思ってるか分からないから俺だけじゃどうにもできなくね?」
うん、そういう事。智一は分かりやすく頭を抱える。お前の目標はなんなんだ?モテる事か?小遣いアップか?!
「まぁ、こうやって楽しんでるのも花があるよ」
「そうかもな!ありがとよ!」
部室で話をする。夏休みの話を具体的に進めないと、行くことが出来ないから。
「どうかな?どこに行く?」
「そうだね、うちはここがいいな!」
そういって読んでいた本を閉じて、カバンからチラシを取り出す。ここから二時間程電車で行った場所にある海水浴場だった。海は透き通っていて、ビーチは真っ白い砂で埋め尽くされている。こんな場所が…ここから二時間で行けるのか?!
「日帰り…できるじゃん」
「泊まるのが楽しいと思う!」
いつになく推しが強いな…ルトはルトで気分が上がっているのかな?
「そうだ!枕投げだ!」
「そこにこだわりすぎじゃない?」
「好きなんだよ!いいだろ!」
「分かった、じゃあそこにしよっか」
「わ~い!」
「集合時間と場所は?」
「学校の最寄り駅で、朝…5時!」
「5?!早すぎない?電車動いてる?」
「大丈夫、動いてるのは確認済みだから!」
まじか…気合入ってるんだな…。朝五時、起きれるかな…。
「どうだった?」
「まぁ…何とかなったよ」
「それは良かった。赤点になるかな?って思ってたけど」
「酷いだろ?!肇の方が赤点取りそうなのに」
「それは偏見だよ」
「じゃあ、何点だったんだよ?」
「せーので行く?」
「いいぜ、せーの!」
俺は全部のテストを机に広げる。智一は目を見開いて、俺とテストを交互に見てくる。今回は皆のおかげだけど、いい点数だったよ。智一は…赤点すれすれじゃないか?!どうなってるんだ…?!あんなに勉強したのに。
「それ…」「分かってる!言うな…一番ショックなのは俺だ。」
「肇さん、良かったですね!」
「うん!皆のおかげだよ」
「ちっちくしょー!!!」
「そこまで卑屈にならなくても…」
「笑夢…お前は何点だったんだ!!」
智一…?!お前…それだけは聞いちゃいけないと思うよ?多分笑夢は…
「全教科満点ですよ?妥当じゃないですか?」
「……?」
智一は撃沈していた。もはや真っ白だ。だから聞いちゃいけないって言ったじゃん。言ってないけど。笑夢は非の打ちどころのないパーフェクト天使なんだから。
「それほどでも」
こそっと耳打ちしてくる。そっかぁ…聞こえるよね。ルトは大丈夫だとすれば…皆で行けるかな!智一も別に行けるんだから喜んだらいいのにな…。
「ふふ、そうだな!俺も行けるんだ!わーい!」
「?!」
「なんだ?肇は顔に出やすいからな、なんなら顔にそう書いてあったぞ?」
「顔には文字なんて出ないでしょ?!」
「実はな…俺は能力者なんだ!」
「はいはい。顔に文字が出る能力ね?」
「俺の渾身のギャグが流された…」
「まぁ、点数なんて飾りですよ。行けるかどうか、それだけじゃないですか?」
「は…はは…は。百点様は違うな!」
智一は遠い目をする。あ、そういえば小遣いアップとか言ってたような…?それでこの落ち込み具合なのか!
「分からないじゃないか!その点数でも上位かもしれないよ?」
「”その”って言うな。もう下位になってる言い方だろ」
「うん…まぁね?」
「く…くそう!!」
一応、二人でクラスの前に張り出された神を見に行く。クラス全体、学年全体を見ても、上位100には載ってない。ルトが10位に位置していて、笑夢はトップだった。
「え、10位?!」
「ルト…すごいんだな?!」
俺らは顔を見合わせる。俺も実は99位程に名前が書いてあった。それは見せないように…すっと立ち去る。智一は後ろで「あー!!」と言う声を上げていたが、聞こえないふりをする。
「お前ら…全員揃いも揃って…。」
「良いんだよ、順位なんて!」
「俺の小遣いが…」
「バイトすれば?」
「バイト…?バイトってなんだ?」
「なんでそんな初めて聞いた反応するの?一般的じゃないのか?」
「働きたくない…」
「ダメ人間だったか」
「ダメって言うなぁ…!!学生の本分は勉強だ!!」
うん、そういわれているけどね。俺もバイトしているわけじゃないし、他人にどうこう言えるわけじゃないし。そういえば、妙に笑夢が静かだな…?
「いえいえ、すごくはないですよ?」
廊下から笑夢の声がする。覗いてみたら、笑夢はたくさんの女子生徒に囲まれている。怖い…。黄色い声援が飛んでいるよ。智一も俺のすぐ後ろから顔を出してみている。その表情は唇をかみながら悔しそうにしていた。
「智一も…勉強頑張ってみれば?」
「おい、頑張った結果がこれなんだが?」
「そ、そうだね?」
「くそ~…花の高校生活が…!」
「ルトが居るじゃん?」
「そ、そうだな?」
ルト本人がどう思うか知らないけど、少なからずはいい方向に行っていそうな感じがするけど。まぁ…友達居ない組からすれば、交際云々とか、思考が至らないんだよなぁ…。
「頑張ってみるか!」
「迷惑がられないようにね?後…責任持ってね?」
「そういえば…向こうがどう思ってるか分からないから俺だけじゃどうにもできなくね?」
うん、そういう事。智一は分かりやすく頭を抱える。お前の目標はなんなんだ?モテる事か?小遣いアップか?!
「まぁ、こうやって楽しんでるのも花があるよ」
「そうかもな!ありがとよ!」
部室で話をする。夏休みの話を具体的に進めないと、行くことが出来ないから。
「どうかな?どこに行く?」
「そうだね、うちはここがいいな!」
そういって読んでいた本を閉じて、カバンからチラシを取り出す。ここから二時間程電車で行った場所にある海水浴場だった。海は透き通っていて、ビーチは真っ白い砂で埋め尽くされている。こんな場所が…ここから二時間で行けるのか?!
「日帰り…できるじゃん」
「泊まるのが楽しいと思う!」
いつになく推しが強いな…ルトはルトで気分が上がっているのかな?
「そうだ!枕投げだ!」
「そこにこだわりすぎじゃない?」
「好きなんだよ!いいだろ!」
「分かった、じゃあそこにしよっか」
「わ~い!」
「集合時間と場所は?」
「学校の最寄り駅で、朝…5時!」
「5?!早すぎない?電車動いてる?」
「大丈夫、動いてるのは確認済みだから!」
まじか…気合入ってるんだな…。朝五時、起きれるかな…。
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