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プロローグ
桐山奏(きりやまかなで)
しおりを挟むーアイドルである以上、恋愛禁止は当然でファンと一線を超えることなどあってはならない。
しかし、私はアイドルを卒業したため恋愛に関しては自由なのだ。
どんな男と付き合おうが、誰と朝を迎えようと誰も何も文句を言わない。
それでも裸のままで知らないベッドで目覚めた朝は、罪を犯したような気持ちになった。
私では絶対に選ばないような、落ち着きのあるグレーの肌触りの良いシーツに包まれながら、生まれて初めての男の肌、体温、自分の知らない快楽に溺れた夜。
昨日の行為に関しては全てを相手にお任せし、頭が真っ白になっていたが、冷静に思い出すだけで恥ずかしくなってしまう。
アルバイト先の大手メーカの係長をしている5歳年上のその男は、顔立ちが整っていて、背も高く。
仕事もできて、社員からも信頼が厚く、女性社員からの人気も高い。
そんな男に自分の醜態を晒してしまったのだ。
体の隅々までさらけ出して、喘いで。
このまま彼が目覚めてしまえば、昨日のことは「なかった事」にされてしまうのだろうか・・・
いくら「好き」だといってくれた事実があったとしてもそれが嘘か本当なのかもまだ分からない。
この行為をするための口実だったのかもしれない。
それが分かっているから、その整った顔の長いまつげが動かないまま、時が止まればいいとさえ思った。
朝日が差し込むこむこの部屋は、あえてカーテンがつけられておらず東京の景色を見渡すことができる。
私は、すやすやと眠る昨日抱き合った男の長いまつげを愛おしく見つめる。
生まれて初めての朝帰り。
もう私はアイドルではないのだから・・・
もう少し、もう少しだけ・・・この男の人の腕枕の中で甘い夢を見ていたい。
騙されていてもいい・・・
すると、その長いまつ毛がピクピクと動いた。
クールで必要最低限のしか会話をしてくれないことで有名な市ヶ谷拓也は、目を開けた拍子に言葉にならない声を発して、ベッドから勢いよく落ちた。
「なんで・・・なんで・・・かのんちゃんがここにいるの?え?俺何したの?・・・え?夢?」
私の名前は、桐山奏
かのんという名前ではない。
しかし、アイドルとしての名は「奏」に「音」をつけて「かのん」であった。
「どうして、拓也がその名前を・・・・?」
初めての夜だからと、電気を消して真っ暗な中で抱き合った。
私が眼鏡を外したのも、髪を解いたのも真っ暗になってからだった。
明るくなった部屋でマジマジと、その男の目元を見た。
「たあくん?」
そう呼ぶと、拓也は顔を真っ赤にした。
どうやら私は、アイドルを卒業して早々にファンと一線を超えてしまったようなのだ。
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