29 / 32
第29話 魔王の最期
しおりを挟む
四人の杖士たちがイピリア神殿に着いたときには、大陸は悪夢のような暗闇に包まれていた。
「これがまさに悪夢ってやつよ」アキラが言う。「勝ったかと思えば、次は世界が滅びるだって?」
イピリア神殿の外壁は大胆に破壊され、あちこちが燃え上がっている。
「ジャックはどこだ?」クリスが目を凝らして周囲を見渡す。
彼らデイブレイクの目的は達成された。
ユハ帝国を崩壊させ、さらには平和で新しい共和国を作り上げた。これまでに多くの種族と出会い、多くの絆を築いてきた。そんな努力が今、水の泡になろうとしている。
神殿の中では、一人のエルフの女性が、しくしくと泣いていた。
大粒の涙が地面にこぼれる。
「エリザベス!」クリスが急いで駆け寄った。「ここで何があった?」
エリザベスは相当ダメージを受けているのか、しばらく話そうとはしなかった。
瞳にいつもの輝きがない。
「クリス、聞いても無駄だ。ひどいことがあったのは間違いない。そしてその原因がジャックであることもな」
「やっぱりまだ信じられない。あのジャックが、あたしたちを裏切るなんて……」
アキラは辛そうだ。「ジャックの心にはまだ光が残っている」
「そうよ、ジャックを光に連れ戻しましょう」シエナがアキラを元気づけるように言った。
アキラはエリザベスの方をゆっくりと見た。悲しみに打ちひしがれ、絶望の果てにいるエルフだ。基本的にエルフは不老不死とされているが、目の前にいるこのエルフは今にも力尽きてしまいそうだった。
「クリス、妹のそばにいてやってくれ」アキラが決意したような声で言った。「俺が一人でジャックをとめる」
クリスは震えながら妹を抱いている。もう彼女の命が長くないこともどこかで悟っているようだった。
一方でランランは、冷たい目でアキラを見ていた。「何かっこつけてるの? ジャックはアキラの親友ってだけじゃない! あたしたちの親友でもあるもん! 絶対にあたしもジャックをとめに行くからね!」
「私も行く。デイブレイクは五人しか考えられない。ジャックがいるからデイブレイクなの」
「僕も……行く……」クリスでさえ弱々しい声で主張した。「僕の妹エリザベスは……たった今……死んだ……」
アキラが涙をこらえて目をそらす。
目の前で命が失われるのを見るのは、悲しみが深すぎる。
少し前まで明るく生きていたはずのエルフは、風とともに自然に還っていった。
「クリス……本当に行けるのか?」
「ああ、それが僕の――いや、僕たちの使命だ」まだ声は震えていたが、そこにははっきりとした決意があった。
ジャックとエイダンと魔王は、イピリア神殿を闇のエネルギーで満たすことにより、スペイゴール大陸を闇色に染めた。
クリスの妹であるエリザベスは、スペイゴールと結婚した守護者として唯一彼らに抵抗できる者だったが、黒魔術のマスターであるジャックの足元にも及ばなかった。
スペイゴールは暗闇に包まれ、ダークエルフやオーク、野蛮な狼人間といった闇の住人らが目を覚まそうとしていた。
「これで好き放題だ。俺様は大陸の半分をもらおう」エイダンが言った。
「そんなことはどうでもいい。魔王、早く悪人どもをアビス王国に連行してくれ」
ジャックの頼みは切実だった。
そもそも、彼は悪人をこの世界からほうむるためにリーサル杖士に寝返ったのだから。
「もちろんだとも」魔王が答える。「しかし二人の協力が必要だ」
四人のヒーローたちは、薄暗い世界の中で常に神経を集中させていた。
「クリスさん!」突然、どこかから女の声が聞こえた。「助けてください!」
「誰だ?」
しかし遅かった。
四人が声のあった方を確認すると、その女は何者かに切られて殺されていた。
「なんてむごいことを……」
「おい、これ、杖士の杖で切られてるぞ」アキラが言った。「この切られ方は……ジャックだ。間違いない」
「その通り、アキラ」またどこかから声が聞こえる。
周囲は暗闇で包まれていて、ほとんどわからない。
しかし、間違いなく声の主はジャックだった。
「どこにいる?」クリスが叫ぶ。
ランランはすぐに杖を構えて攻撃に備えた。
「おやおや、ジャック以外のデイブレイクに会うのは初めてかな」今度は別の声だ。
「ジャックの他にもいるらしいな」
「アキラ、お前たちに勝ち目はない」ジャックが言った。「俺はこのスペイゴールにある悪を排除しているだけだ。お前も仲間になってくれ。悪を憎む気持ちは同じだろ?」
「さっきの女の人も悪人だって言いたいのか? 彼女が何をした?」
「ほんの少しの悪も見逃したら罪になる。いいか、俺たちはそれを未然に防ぐために悪を殺しているんだ」
「ジャック! ジャックなの!?」ランランが叫んだ。「いつものジャックに戻ってよ! そんな人じゃなかったよ、ジャックは」
「ランラン、これが本当の俺だ。いつもの俺はリミッターをつけていただけの、ただの役立たず。しかしリーサル杖士の掟は教えてくれた。俺にもスペイゴールを変えられる力があると」
「ジャック、あなたはチームにはなくてはならない存在なのよ。ジャックがいないとアキラへのツッコミ担当がいなくなるわ」
「シエナ、俺たちなら世界をもっと平和にできるんだ」
我慢できなくなったアキラが、ついに杖を構えた。
杖先を正面に向け、すぐにでも攻撃に入れるようにしている。
「アキラ、やめておけ」ジャックの姿がはっきりと見えた。「お前とは戦いたくない」
「怖いのか?」アキラが挑発する。
「俺が勝つことはわかりきっているからだ。魔術師の強さを知っているだろ?」
「俺たちは魔術師なんかじゃない。選ばれし杖士だ!」
アキラはそう叫ぶと、勢いよくジャックに飛びかかった。
ジャックは簡単にその攻撃をよけ、杖を構える。
杖と杖がクロスし合い、火花が散った。
その間、クリスは魔王に、ランランとシエナはエイダンと戦っていた。
「スペイゴールをどうするつもりだ?」
魔王はクリスの高い身体能力に感心しつつも、余裕の表情で応戦している。
魔王は自分の手から放出する黒魔術の技が武器だ。
「できるだけ多くの命を奪い、私の王国に連れて帰る。私の目的はそれだけだ」
「そんなことは許さない!!」
クリスが空中に跳び上がり、頭上から魔王に切りつけた。
予想外の攻撃だったのか、クリスの杖は魔王に頭にクリティカルヒット。かなり大きなダメージを与えた。
そのまま体をうまく回転させて着地し、今度は下を起点に攻撃を繰り出す。
魔王は軽い脳震盪を起こしていた。人間ではないので、そう簡単に死ぬことはないが、杖士の杖には魔法のエネルギーが閉じ込められている。そうして放出されたエネルギーが、魔王の頭の一部を破壊した。
「僕たちはジャックを取り戻す! 悪の道には進ませない!」
もう魔王には返事をする余裕がないようだ。過呼吸になりながら戦っている。
クリスの一撃が魔王の胸に傷をつけ、その衝撃で魔王は後ろによろけた。その隙をクリスはうまく突き、杖を思いきり胸に刺し込んだ。
スペイゴールで最も神聖なものともいわれる杖士の杖が、魔王の体を貫通した。
その勢いのまま杖を引き抜くと、魔王は力尽きたように地面に倒れた。
「スペイゴールは僕たちが守る。僕の妹を……妹が愛した……スペイゴールを」
魔王はもう死ぬ直前だった。「お前の実力はかなりのものだ……私がいなくなれば、アビス王国の統治者はいなくなる……ジャックに伝えてほしい……アビス王国を任せた……と」
それだけを言い残し、魔王はこの世を去った。
難しい話にはなるが、魔王は死んでもアビス王国に行かず、別の世界に旅立つ。
とにかく、アビス王国の統治者は消え去った。
「エリザベス……」クリスはただ、そうつぶやいた。
★ ★ ★
~作者のコメント~
また波乱の展開ですね。
ジャックVSアキラの、親友どうしでの戦いが始まってしまいました。
一方でクリスは、闇の力を持つ魔王をタイマンでノックアウト。彼の強さは健在です。
どんな結末を迎えるのか。最後まで応援よろしくお願いいたします。
「これがまさに悪夢ってやつよ」アキラが言う。「勝ったかと思えば、次は世界が滅びるだって?」
イピリア神殿の外壁は大胆に破壊され、あちこちが燃え上がっている。
「ジャックはどこだ?」クリスが目を凝らして周囲を見渡す。
彼らデイブレイクの目的は達成された。
ユハ帝国を崩壊させ、さらには平和で新しい共和国を作り上げた。これまでに多くの種族と出会い、多くの絆を築いてきた。そんな努力が今、水の泡になろうとしている。
神殿の中では、一人のエルフの女性が、しくしくと泣いていた。
大粒の涙が地面にこぼれる。
「エリザベス!」クリスが急いで駆け寄った。「ここで何があった?」
エリザベスは相当ダメージを受けているのか、しばらく話そうとはしなかった。
瞳にいつもの輝きがない。
「クリス、聞いても無駄だ。ひどいことがあったのは間違いない。そしてその原因がジャックであることもな」
「やっぱりまだ信じられない。あのジャックが、あたしたちを裏切るなんて……」
アキラは辛そうだ。「ジャックの心にはまだ光が残っている」
「そうよ、ジャックを光に連れ戻しましょう」シエナがアキラを元気づけるように言った。
アキラはエリザベスの方をゆっくりと見た。悲しみに打ちひしがれ、絶望の果てにいるエルフだ。基本的にエルフは不老不死とされているが、目の前にいるこのエルフは今にも力尽きてしまいそうだった。
「クリス、妹のそばにいてやってくれ」アキラが決意したような声で言った。「俺が一人でジャックをとめる」
クリスは震えながら妹を抱いている。もう彼女の命が長くないこともどこかで悟っているようだった。
一方でランランは、冷たい目でアキラを見ていた。「何かっこつけてるの? ジャックはアキラの親友ってだけじゃない! あたしたちの親友でもあるもん! 絶対にあたしもジャックをとめに行くからね!」
「私も行く。デイブレイクは五人しか考えられない。ジャックがいるからデイブレイクなの」
「僕も……行く……」クリスでさえ弱々しい声で主張した。「僕の妹エリザベスは……たった今……死んだ……」
アキラが涙をこらえて目をそらす。
目の前で命が失われるのを見るのは、悲しみが深すぎる。
少し前まで明るく生きていたはずのエルフは、風とともに自然に還っていった。
「クリス……本当に行けるのか?」
「ああ、それが僕の――いや、僕たちの使命だ」まだ声は震えていたが、そこにははっきりとした決意があった。
ジャックとエイダンと魔王は、イピリア神殿を闇のエネルギーで満たすことにより、スペイゴール大陸を闇色に染めた。
クリスの妹であるエリザベスは、スペイゴールと結婚した守護者として唯一彼らに抵抗できる者だったが、黒魔術のマスターであるジャックの足元にも及ばなかった。
スペイゴールは暗闇に包まれ、ダークエルフやオーク、野蛮な狼人間といった闇の住人らが目を覚まそうとしていた。
「これで好き放題だ。俺様は大陸の半分をもらおう」エイダンが言った。
「そんなことはどうでもいい。魔王、早く悪人どもをアビス王国に連行してくれ」
ジャックの頼みは切実だった。
そもそも、彼は悪人をこの世界からほうむるためにリーサル杖士に寝返ったのだから。
「もちろんだとも」魔王が答える。「しかし二人の協力が必要だ」
四人のヒーローたちは、薄暗い世界の中で常に神経を集中させていた。
「クリスさん!」突然、どこかから女の声が聞こえた。「助けてください!」
「誰だ?」
しかし遅かった。
四人が声のあった方を確認すると、その女は何者かに切られて殺されていた。
「なんてむごいことを……」
「おい、これ、杖士の杖で切られてるぞ」アキラが言った。「この切られ方は……ジャックだ。間違いない」
「その通り、アキラ」またどこかから声が聞こえる。
周囲は暗闇で包まれていて、ほとんどわからない。
しかし、間違いなく声の主はジャックだった。
「どこにいる?」クリスが叫ぶ。
ランランはすぐに杖を構えて攻撃に備えた。
「おやおや、ジャック以外のデイブレイクに会うのは初めてかな」今度は別の声だ。
「ジャックの他にもいるらしいな」
「アキラ、お前たちに勝ち目はない」ジャックが言った。「俺はこのスペイゴールにある悪を排除しているだけだ。お前も仲間になってくれ。悪を憎む気持ちは同じだろ?」
「さっきの女の人も悪人だって言いたいのか? 彼女が何をした?」
「ほんの少しの悪も見逃したら罪になる。いいか、俺たちはそれを未然に防ぐために悪を殺しているんだ」
「ジャック! ジャックなの!?」ランランが叫んだ。「いつものジャックに戻ってよ! そんな人じゃなかったよ、ジャックは」
「ランラン、これが本当の俺だ。いつもの俺はリミッターをつけていただけの、ただの役立たず。しかしリーサル杖士の掟は教えてくれた。俺にもスペイゴールを変えられる力があると」
「ジャック、あなたはチームにはなくてはならない存在なのよ。ジャックがいないとアキラへのツッコミ担当がいなくなるわ」
「シエナ、俺たちなら世界をもっと平和にできるんだ」
我慢できなくなったアキラが、ついに杖を構えた。
杖先を正面に向け、すぐにでも攻撃に入れるようにしている。
「アキラ、やめておけ」ジャックの姿がはっきりと見えた。「お前とは戦いたくない」
「怖いのか?」アキラが挑発する。
「俺が勝つことはわかりきっているからだ。魔術師の強さを知っているだろ?」
「俺たちは魔術師なんかじゃない。選ばれし杖士だ!」
アキラはそう叫ぶと、勢いよくジャックに飛びかかった。
ジャックは簡単にその攻撃をよけ、杖を構える。
杖と杖がクロスし合い、火花が散った。
その間、クリスは魔王に、ランランとシエナはエイダンと戦っていた。
「スペイゴールをどうするつもりだ?」
魔王はクリスの高い身体能力に感心しつつも、余裕の表情で応戦している。
魔王は自分の手から放出する黒魔術の技が武器だ。
「できるだけ多くの命を奪い、私の王国に連れて帰る。私の目的はそれだけだ」
「そんなことは許さない!!」
クリスが空中に跳び上がり、頭上から魔王に切りつけた。
予想外の攻撃だったのか、クリスの杖は魔王に頭にクリティカルヒット。かなり大きなダメージを与えた。
そのまま体をうまく回転させて着地し、今度は下を起点に攻撃を繰り出す。
魔王は軽い脳震盪を起こしていた。人間ではないので、そう簡単に死ぬことはないが、杖士の杖には魔法のエネルギーが閉じ込められている。そうして放出されたエネルギーが、魔王の頭の一部を破壊した。
「僕たちはジャックを取り戻す! 悪の道には進ませない!」
もう魔王には返事をする余裕がないようだ。過呼吸になりながら戦っている。
クリスの一撃が魔王の胸に傷をつけ、その衝撃で魔王は後ろによろけた。その隙をクリスはうまく突き、杖を思いきり胸に刺し込んだ。
スペイゴールで最も神聖なものともいわれる杖士の杖が、魔王の体を貫通した。
その勢いのまま杖を引き抜くと、魔王は力尽きたように地面に倒れた。
「スペイゴールは僕たちが守る。僕の妹を……妹が愛した……スペイゴールを」
魔王はもう死ぬ直前だった。「お前の実力はかなりのものだ……私がいなくなれば、アビス王国の統治者はいなくなる……ジャックに伝えてほしい……アビス王国を任せた……と」
それだけを言い残し、魔王はこの世を去った。
難しい話にはなるが、魔王は死んでもアビス王国に行かず、別の世界に旅立つ。
とにかく、アビス王国の統治者は消え去った。
「エリザベス……」クリスはただ、そうつぶやいた。
★ ★ ★
~作者のコメント~
また波乱の展開ですね。
ジャックVSアキラの、親友どうしでの戦いが始まってしまいました。
一方でクリスは、闇の力を持つ魔王をタイマンでノックアウト。彼の強さは健在です。
どんな結末を迎えるのか。最後まで応援よろしくお願いいたします。
10
お気に入りに追加
778
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり
竹井ゴールド
ファンタジー
森の中で突然、仲間に追放だと言われた治癒師は更に、
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
と殺されそうになる。
だが、【痛いの痛いの飛んでけぇ〜】には【無詠唱】、【怪我移植(移植後は自然回復のみ)】、【発動予約】等々の能力があり·······
【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
隠して忘れていたギフト『ステータスカスタム』で能力を魔改造 〜自由自在にカスタマイズしたら有り得ないほど最強になった俺〜
桜井正宗
ファンタジー
能力(スキル)を隠して、その事を忘れていた帝国出身の錬金術師スローンは、無能扱いで大手ギルド『クレセントムーン』を追放された。追放後、隠していた能力を思い出しスキルを習得すると『ステータスカスタム』が発現する。これは、自身や相手のステータスを魔改造【カスタム】できる最強の能力だった。
スローンは、偶然出会った『大聖女フィラ』と共にステータスをいじりまくって最強のステータスを手に入れる。その後、超高難易度のクエストを難なくクリア、無双しまくっていく。その噂が広がると元ギルドから戻って来いと頭を下げられるが、もう遅い。
真の仲間と共にスローンは、各地で暴れ回る。究極のスローライフを手に入れる為に。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる
静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】
【複数サイトでランキング入り】
追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語
主人公フライ。
仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。
フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。
外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。
しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。
そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。
「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」
最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。
仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。
そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。
そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。
一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。
イラスト 卯月凪沙様より
老女召喚〜聖女はまさかの80歳?!〜城を追い出されちゃったけど、何か若返ってるし、元気に異世界で生き抜きます!〜
二階堂吉乃
ファンタジー
瘴気に脅かされる王国があった。それを祓うことが出来るのは異世界人の乙女だけ。王国の幹部は伝説の『聖女召喚』の儀を行う。だが現れたのは1人の老婆だった。「召喚は失敗だ!」聖女を娶るつもりだった王子は激怒した。そこら辺の平民だと思われた老女は金貨1枚を与えられると、城から追い出されてしまう。実はこの老婆こそが召喚された女性だった。
白石きよ子・80歳。寝ていた布団の中から異世界に連れてこられてしまった。始めは「ドッキリじゃないかしら」と疑っていた。頼れる知り合いも家族もいない。持病の関節痛と高血圧の薬もない。しかし生来の逞しさで異世界で生き抜いていく。
後日、召喚が成功していたと分かる。王や重臣たちは慌てて老女の行方を探し始めるが、一向に見つからない。それもそのはず、きよ子はどんどん若返っていた。行方不明の老聖女を探す副団長は、黒髪黒目の不思議な美女と出会うが…。
人の名前が何故か映画スターの名になっちゃう天然系若返り聖女の冒険。全14話+間話7話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる