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第13話 図書館ではお静かに
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デイブレイクには「建国」という大仕事があるのだが、まだ大量の資金を調達している途中であることに加え、ジャックが死んで、その後復活させたりと、いろいろ忙しかったので、また無期限の休暇を取っていた。
「そこの本、取ってくれ」アキラが言った。「手が届かないんだ」
アキラとシエナとジャックの三人は近くの街にある図書館にきていた。
アキラはずっと背伸びをして高いところの本を取ろうとしている。「ジャック、頼む」
ジャックは背伸びすらせずに本を取り、アキラに渡した。「これでいいか?」
「おう、これこれ」
この図書館はスペイゴール文化図書館といって、かなり歴史が古く、この大陸でも有名で大きな図書館である。
アキラは杖術関連の本を、シエナは恋愛関連の本を、ジャックは魔術関連の本を求めにここまでやってきた。
「シエナ、何読んでるんだ?」アキラが聞いた。
三人は机と椅子がある読書スペースで本を読み込んでいる。
シエナの目の前には十冊ほどの本の山があった。周囲から見れば、熱心な学生にしか見えない。実際、近くの学校で教育を受けている学生たちも、この図書館で勉強していた。
ちなみに、アキラたち杖士は学校の代わりに道場で訓練に明け暮れていたので、学校に通ったことはない。
「杖術の本」シエナはうそをついた。「もっと強くなりたいと思って」
「あ、俺も俺も! そのてっぺんにある本借りてもいいか?」
アキラは山積みの本を指さした。
「いや、それはだめ」シエナが焦ったように言った。「ほら……秘密の勉強だから」
「ずるいなー。シエナが十冊も取ったせいで、杖のフォームに関する本が一冊しか残ってなかったんだよ」
それはアキラの思い違いである。
そもそも、シエナは杖術関連の本など一冊も取っていない。ただアキラが高いところに手が届いていなかっただけだろう。
「そんなことないと思うけど」シエナは言う。「私も探すの手伝おうか?」
「いや、自分で探してくる」
アキラにもプライドがあるので、一人で本を取りにいくことにした。
杖術のコーナーは人が少ない。
というのも、杖士くらいしか杖を使うことがないからだ。
「おっ、よかった。『九つのフォームと組み合わせの技』か」アキラが一番下の段にある本に目をつける。「こんな低いところにあったら気づかないっての」
そうして杖術のコーナーを出ようとしていたとき、アキラが出るのを待っていたかのように、一人の人間の男がこのコーナーにやってきた。
気配を感じ取る能力にも長けているアキラは、素早く振り返る。
「あれ? ロジャーか?」
そこには、デストロイヤーのメンバーで、ジャックに命を救ってもらったロジャーがいた。「アキラさん」
ロジャーはなんだか気まずそうだ。というのも、最後にアジトを出るとき、アキラの機嫌は最悪だったからだ。ロジャーはアキラに嫌われていると思っていた。
「この前はほんとに――」
「もういいんだ」アキラがロジャーの謝罪を遮る。「ていうか、俺が怒ることが間違いだった。杖士としてあってはならない。すまなかった」
「いやいや、アキラさんは何も――」
「それより、君に会ってほしいやつがいる」
アキラはそう言って、ロジャーを読書スペースまで引っ張っていく。
「じゃーん!」アキラが大きな声で言い、両手を広げた。「我らがヒーロー、ジャックだ!」
「え!?」ロジャーは開いた口が塞がらない。
「俺たち、自然の法則にはかなり逆らったが、なんとかジャックを連れ戻したんだ」
「どうやって!?」
「それは秘密」シエナがセクシーな声で言った。「話せば長くなるの」
ロジャーは嬉しかった。その気持ちが抑えきれなかったのか、勢いよくジャックに抱きつく。「本当に、本当に、ありがとうございます! 命の恩人です! この恩は一生忘れません!」
それどころか、大声で泣き出した。
ジャックに命を救われてからというもの、彼の中ではずっと罪悪感がうごめいていた。自分のせいでジャックが死んでしまった。そう思って何度も何度も自分を責めた。
「落ち着け、落ち着け。いい子だから」ジャックが赤ん坊をなだめるように言う。「ただ見殺しにできなかっただけだ」
「それがすごいんですよー!」まだ涙は止まらない。
「ぎゅっと抱き締めてやったら?」アキラがからかった。「ジャックのことが大好きみたいだぞ」
「私たちも、ハグしとく?」シエナがアキラを上目遣いで見上げる。
「面白いなぁ、シエナは」アキラは笑った。ジョークだと思っているようだ。
ロジャーは次にアキラにまで抱きついてきた。
「ちょっ、なんで俺まで!?」
「ごんなおれを許してぐれるなんて、ごんなやざしい人はいまぜんよー!」
「まじかよ」アキラはそう言いつつも、頭を優しく撫でた。「可愛いやつだな」
「私にもそれしてよ」
シエナはアキラに頭を撫でてほしかったようだが、ロジャーが勘違いしてシエナにまで抱きついてきた。
「え、やめて! 私はアキラだけ――」
「シエナさんも、ぼんどにやざじいでずー!」
「あちゃー」とアキラ。「こりゃあ重症だ」
「すみません! 図書館ではお静かにお願いします!」少し離れたところからキリッとした女性の声が聞こえてきた。
「あ、すみません。ほんとに――」アキラが謝ろうとする。「――え? エリス?」
「あら、アキラ……」
女性の正体はエリスだった。
「シエナまで! ていうか、あの泣き声はロジャーだったのね! ロジャー、シエナから離れなさい!」
ロジャーはまだぐずっている。「ごめん、じょっとじんじられないごとがおぎて」
「なんて言ってるかわからないわ」エリスが首を横に振る。「もっとはっきり言ってよ」
「ジャッ、ジャック、ジャックが、い、生きて、た、んだ」ロジャーは頑張って言った。
エリスはジャックに気づいていなかった。
それもそのはず。ジャックは本の山に隠れ、顔を隠しながら魔術の本を集中して読んでいた。
「どういうこと?」エリスはまだ信じていない。「だって、あのとき完全に――」
「死の国から連れ戻したんだ」アキラが説明した。「まあ、たまたま運がよかったんだけどな。絶対真似するなよ、危ないから」
「真似するわけないじゃない……ていうか、ほんとにジャックは――」
「俺はここだ」ジャックが小さくつぶやいた。
エリスの目が大きくなる。「うそ! よかった!」つい声も大きくなった。
「おいおい、図書館ではお静かに、だろ?」アキラがすかさず注意する。
「そ――そうね。でも、本当によかった」エリスは小声で言う。
「ていうか、二人ともここで何してるんだ?」アキラが聞いた。「他の三人は?」
「三人はあっちにいる」エリスが答える。「わたしたち、あれから図書館で働くことにしたの」
「え? またまたなんで?」
「もう戦いはいいのかなって。ロジャーもあんな危険な目にあったし、誰も怪我しない、安全な職に就こうって話し合った」
「もったいないわ」シエナが言った。「数少ない杖士なのに」
「それでも、話し合いで決めたから」エリスは満足そうな顔をしていた。「みんなの意見が一致した。これでいいのよ」
「そうか。それなら仕方ないな」アキラがうなずく。
「ねえ」シエナが、いいこと思いついた、とでも言うような顔をした。「そしたら、私たちの建国事業に力を貸してくれない? 資金を集めて、土地を買って、国民を集めて、大きな国を作るの」
「面白そう」エリスが言う。
「そして、あのユハ帝国をぶっつぶすことも忘れちゃいけない」アキラがつけ加える。
「そうね。大賛成だわ。わたしたちもユハ帝国は大嫌いなの」
「そうこなくっちゃ」
「なんでもします! デイブレイクのためなら!」ロジャーが声を張り上げた。
「ほら、あなたも職員でしょ。静かに」とエリス。
「あ、ごめん。つい」
そうして、デイブレイクの建国事業は、休暇中なのにも関わらず、少しだけ進んだのだった。
★ ★ ★
~作者のコメント~
図書館での楽しい1コマでしたね。
デストロイヤーが建国の協力者についたのは彼らにとっても心強いでしょう。ですが、いつかデストロイヤーが戦うところも見たいですよねー。
ジャックは復活してから、前よりも少しだけ愛情深い人間になったような気がします。
皆様の推しや好きな回など、感想欄に書いてくださると嬉しいです。常にフィードバックしてよりよい作品にしていきたいです。
これからもよろしくお願いいたします。
「そこの本、取ってくれ」アキラが言った。「手が届かないんだ」
アキラとシエナとジャックの三人は近くの街にある図書館にきていた。
アキラはずっと背伸びをして高いところの本を取ろうとしている。「ジャック、頼む」
ジャックは背伸びすらせずに本を取り、アキラに渡した。「これでいいか?」
「おう、これこれ」
この図書館はスペイゴール文化図書館といって、かなり歴史が古く、この大陸でも有名で大きな図書館である。
アキラは杖術関連の本を、シエナは恋愛関連の本を、ジャックは魔術関連の本を求めにここまでやってきた。
「シエナ、何読んでるんだ?」アキラが聞いた。
三人は机と椅子がある読書スペースで本を読み込んでいる。
シエナの目の前には十冊ほどの本の山があった。周囲から見れば、熱心な学生にしか見えない。実際、近くの学校で教育を受けている学生たちも、この図書館で勉強していた。
ちなみに、アキラたち杖士は学校の代わりに道場で訓練に明け暮れていたので、学校に通ったことはない。
「杖術の本」シエナはうそをついた。「もっと強くなりたいと思って」
「あ、俺も俺も! そのてっぺんにある本借りてもいいか?」
アキラは山積みの本を指さした。
「いや、それはだめ」シエナが焦ったように言った。「ほら……秘密の勉強だから」
「ずるいなー。シエナが十冊も取ったせいで、杖のフォームに関する本が一冊しか残ってなかったんだよ」
それはアキラの思い違いである。
そもそも、シエナは杖術関連の本など一冊も取っていない。ただアキラが高いところに手が届いていなかっただけだろう。
「そんなことないと思うけど」シエナは言う。「私も探すの手伝おうか?」
「いや、自分で探してくる」
アキラにもプライドがあるので、一人で本を取りにいくことにした。
杖術のコーナーは人が少ない。
というのも、杖士くらいしか杖を使うことがないからだ。
「おっ、よかった。『九つのフォームと組み合わせの技』か」アキラが一番下の段にある本に目をつける。「こんな低いところにあったら気づかないっての」
そうして杖術のコーナーを出ようとしていたとき、アキラが出るのを待っていたかのように、一人の人間の男がこのコーナーにやってきた。
気配を感じ取る能力にも長けているアキラは、素早く振り返る。
「あれ? ロジャーか?」
そこには、デストロイヤーのメンバーで、ジャックに命を救ってもらったロジャーがいた。「アキラさん」
ロジャーはなんだか気まずそうだ。というのも、最後にアジトを出るとき、アキラの機嫌は最悪だったからだ。ロジャーはアキラに嫌われていると思っていた。
「この前はほんとに――」
「もういいんだ」アキラがロジャーの謝罪を遮る。「ていうか、俺が怒ることが間違いだった。杖士としてあってはならない。すまなかった」
「いやいや、アキラさんは何も――」
「それより、君に会ってほしいやつがいる」
アキラはそう言って、ロジャーを読書スペースまで引っ張っていく。
「じゃーん!」アキラが大きな声で言い、両手を広げた。「我らがヒーロー、ジャックだ!」
「え!?」ロジャーは開いた口が塞がらない。
「俺たち、自然の法則にはかなり逆らったが、なんとかジャックを連れ戻したんだ」
「どうやって!?」
「それは秘密」シエナがセクシーな声で言った。「話せば長くなるの」
ロジャーは嬉しかった。その気持ちが抑えきれなかったのか、勢いよくジャックに抱きつく。「本当に、本当に、ありがとうございます! 命の恩人です! この恩は一生忘れません!」
それどころか、大声で泣き出した。
ジャックに命を救われてからというもの、彼の中ではずっと罪悪感がうごめいていた。自分のせいでジャックが死んでしまった。そう思って何度も何度も自分を責めた。
「落ち着け、落ち着け。いい子だから」ジャックが赤ん坊をなだめるように言う。「ただ見殺しにできなかっただけだ」
「それがすごいんですよー!」まだ涙は止まらない。
「ぎゅっと抱き締めてやったら?」アキラがからかった。「ジャックのことが大好きみたいだぞ」
「私たちも、ハグしとく?」シエナがアキラを上目遣いで見上げる。
「面白いなぁ、シエナは」アキラは笑った。ジョークだと思っているようだ。
ロジャーは次にアキラにまで抱きついてきた。
「ちょっ、なんで俺まで!?」
「ごんなおれを許してぐれるなんて、ごんなやざしい人はいまぜんよー!」
「まじかよ」アキラはそう言いつつも、頭を優しく撫でた。「可愛いやつだな」
「私にもそれしてよ」
シエナはアキラに頭を撫でてほしかったようだが、ロジャーが勘違いしてシエナにまで抱きついてきた。
「え、やめて! 私はアキラだけ――」
「シエナさんも、ぼんどにやざじいでずー!」
「あちゃー」とアキラ。「こりゃあ重症だ」
「すみません! 図書館ではお静かにお願いします!」少し離れたところからキリッとした女性の声が聞こえてきた。
「あ、すみません。ほんとに――」アキラが謝ろうとする。「――え? エリス?」
「あら、アキラ……」
女性の正体はエリスだった。
「シエナまで! ていうか、あの泣き声はロジャーだったのね! ロジャー、シエナから離れなさい!」
ロジャーはまだぐずっている。「ごめん、じょっとじんじられないごとがおぎて」
「なんて言ってるかわからないわ」エリスが首を横に振る。「もっとはっきり言ってよ」
「ジャッ、ジャック、ジャックが、い、生きて、た、んだ」ロジャーは頑張って言った。
エリスはジャックに気づいていなかった。
それもそのはず。ジャックは本の山に隠れ、顔を隠しながら魔術の本を集中して読んでいた。
「どういうこと?」エリスはまだ信じていない。「だって、あのとき完全に――」
「死の国から連れ戻したんだ」アキラが説明した。「まあ、たまたま運がよかったんだけどな。絶対真似するなよ、危ないから」
「真似するわけないじゃない……ていうか、ほんとにジャックは――」
「俺はここだ」ジャックが小さくつぶやいた。
エリスの目が大きくなる。「うそ! よかった!」つい声も大きくなった。
「おいおい、図書館ではお静かに、だろ?」アキラがすかさず注意する。
「そ――そうね。でも、本当によかった」エリスは小声で言う。
「ていうか、二人ともここで何してるんだ?」アキラが聞いた。「他の三人は?」
「三人はあっちにいる」エリスが答える。「わたしたち、あれから図書館で働くことにしたの」
「え? またまたなんで?」
「もう戦いはいいのかなって。ロジャーもあんな危険な目にあったし、誰も怪我しない、安全な職に就こうって話し合った」
「もったいないわ」シエナが言った。「数少ない杖士なのに」
「それでも、話し合いで決めたから」エリスは満足そうな顔をしていた。「みんなの意見が一致した。これでいいのよ」
「そうか。それなら仕方ないな」アキラがうなずく。
「ねえ」シエナが、いいこと思いついた、とでも言うような顔をした。「そしたら、私たちの建国事業に力を貸してくれない? 資金を集めて、土地を買って、国民を集めて、大きな国を作るの」
「面白そう」エリスが言う。
「そして、あのユハ帝国をぶっつぶすことも忘れちゃいけない」アキラがつけ加える。
「そうね。大賛成だわ。わたしたちもユハ帝国は大嫌いなの」
「そうこなくっちゃ」
「なんでもします! デイブレイクのためなら!」ロジャーが声を張り上げた。
「ほら、あなたも職員でしょ。静かに」とエリス。
「あ、ごめん。つい」
そうして、デイブレイクの建国事業は、休暇中なのにも関わらず、少しだけ進んだのだった。
★ ★ ★
~作者のコメント~
図書館での楽しい1コマでしたね。
デストロイヤーが建国の協力者についたのは彼らにとっても心強いでしょう。ですが、いつかデストロイヤーが戦うところも見たいですよねー。
ジャックは復活してから、前よりも少しだけ愛情深い人間になったような気がします。
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