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断章4 初戦敗退
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──初戦敗退。
その言葉がシャロットの脳裏に焼きついた。
着実に実力をつけてきたはずなのに、その力が打ち砕かれる。
接戦だった。
僅かなズレが生じるだけで、勝敗は簡単に覆ってしまう。それほどまでに、シャロットとセルシの実力は拮抗していた。
「レッドくんっ──」
『うぉぉぉぉおおおお!』
セルシの勝利に歓声が上がる。
愛する者はこの戦いをどう見ただろうか。
必ず勝つと意気込んでおきながら、負けてしまった。
決して傲慢になっていたわけではない。とはいえ、ダスケンデール学院を首席で卒業した、という経歴は、彼女に自信を与えていた。
しかし、卒業してすぐ、その自信が打ち砕かれる。
レッドの座る観客席。
彼の失望する表情を見たくない。
しかし──。
(そもそも見てないっ──!)
目を見開き、何度も確認した。
そして気づけば、レッドはどこかに消えている。
自分に失望して出ていってしまったのだろうか、とシャロットは考える。
悔しい。
その思いを噛み締めた。
拳を握り締めた。
そして――。
(レッドくんに慰めてもらいましょう)
シャロットはすっかり開き直り、立ち上がった。
(待っていてくださいね、レッドくん)
先ほどのシリアスな後悔は何だったんだ、とでもいうような立ち直りで、戦場を出る。
血が流れていた。
彼女の紅い血が、闘技場の歴史に組み込まれる。
初戦敗退。
それが今後シャロットにどのような影響を与えるのか。
その屈辱を動機として飛躍するのか……もはやその結末はレッドのみぞ知る。
《作者コメント》
せっかくですので、ここで少しコメントを挟ませてください。
作者、エース皇命の推しキャラはズバリ、コンスタスです。
だって可愛いし、小さいんですよ。
僕のホームページには好きな作品やキャラがずらっと書いてあるのですが、小柄なキャラが多いです。
でも、純粋なキャラクター性でいえば、僕はメインヒロインのシャロットを推しとして挙げるでしょう。
彼女とレッドとの掛け合いが、この物語の面白さを生んでいると言っても過言ではありません。
そこにラメセスやコンスタスが混じることで、新しい化学反応が起きます。
エンターテイナーの僕が読者に求めることはたったひとつ。
作品を広めてもらうことでも、他の作品を読んでもらうことでもありません。
──楽しんで読んでもらうこと、です。
何のために小説を書いているのか。
そう問われれば、僕は読者を楽しませるため、と答えます。
ポイントを上げるとか、書籍化するとか、ランキング1位を目指すとか、そういった下心も、前はありました。というか、今も当然、書籍化したいし、ランキングの上位も狙っています。
でも、1番はやっぱり、楽しませることです。
僕は今まで、短い人生ですが、心動かされる作品に出合い、勇気付けられたり、泣いたり、笑ったりしてきました。
あなたには、そんな体験をしてほしいんです。
エンターテイナーとして、それを第一に考える。
もしこの作品を読み、あなたが面白いと少しでも思ってくださったのなら、僕は嬉しいです。
《次回27話 いいところで没収試合になる》
その言葉がシャロットの脳裏に焼きついた。
着実に実力をつけてきたはずなのに、その力が打ち砕かれる。
接戦だった。
僅かなズレが生じるだけで、勝敗は簡単に覆ってしまう。それほどまでに、シャロットとセルシの実力は拮抗していた。
「レッドくんっ──」
『うぉぉぉぉおおおお!』
セルシの勝利に歓声が上がる。
愛する者はこの戦いをどう見ただろうか。
必ず勝つと意気込んでおきながら、負けてしまった。
決して傲慢になっていたわけではない。とはいえ、ダスケンデール学院を首席で卒業した、という経歴は、彼女に自信を与えていた。
しかし、卒業してすぐ、その自信が打ち砕かれる。
レッドの座る観客席。
彼の失望する表情を見たくない。
しかし──。
(そもそも見てないっ──!)
目を見開き、何度も確認した。
そして気づけば、レッドはどこかに消えている。
自分に失望して出ていってしまったのだろうか、とシャロットは考える。
悔しい。
その思いを噛み締めた。
拳を握り締めた。
そして――。
(レッドくんに慰めてもらいましょう)
シャロットはすっかり開き直り、立ち上がった。
(待っていてくださいね、レッドくん)
先ほどのシリアスな後悔は何だったんだ、とでもいうような立ち直りで、戦場を出る。
血が流れていた。
彼女の紅い血が、闘技場の歴史に組み込まれる。
初戦敗退。
それが今後シャロットにどのような影響を与えるのか。
その屈辱を動機として飛躍するのか……もはやその結末はレッドのみぞ知る。
《作者コメント》
せっかくですので、ここで少しコメントを挟ませてください。
作者、エース皇命の推しキャラはズバリ、コンスタスです。
だって可愛いし、小さいんですよ。
僕のホームページには好きな作品やキャラがずらっと書いてあるのですが、小柄なキャラが多いです。
でも、純粋なキャラクター性でいえば、僕はメインヒロインのシャロットを推しとして挙げるでしょう。
彼女とレッドとの掛け合いが、この物語の面白さを生んでいると言っても過言ではありません。
そこにラメセスやコンスタスが混じることで、新しい化学反応が起きます。
エンターテイナーの僕が読者に求めることはたったひとつ。
作品を広めてもらうことでも、他の作品を読んでもらうことでもありません。
──楽しんで読んでもらうこと、です。
何のために小説を書いているのか。
そう問われれば、僕は読者を楽しませるため、と答えます。
ポイントを上げるとか、書籍化するとか、ランキング1位を目指すとか、そういった下心も、前はありました。というか、今も当然、書籍化したいし、ランキングの上位も狙っています。
でも、1番はやっぱり、楽しませることです。
僕は今まで、短い人生ですが、心動かされる作品に出合い、勇気付けられたり、泣いたり、笑ったりしてきました。
あなたには、そんな体験をしてほしいんです。
エンターテイナーとして、それを第一に考える。
もしこの作品を読み、あなたが面白いと少しでも思ってくださったのなら、僕は嬉しいです。
《次回27話 いいところで没収試合になる》
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