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第13話 可愛い小人に癒される
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俺はまた、罪を犯してしまった。
主要メンバーをことごとく仲間にしていく罪な悪役にして、メインヒロインまでをも虜にしてしまった罪な男。
それがレッド・モルドロス。
というわけで、断る理由もないので小人族のコンスタスが仲間に加わった。
「レッドくん、そんなに簡単に信用しても大丈夫なんですか? 私、この人がずっとレッドくんを性的な目で見ているような気がして落ち着かないのですが」
「それを言うなら俺じゃなくて、女である自分だろ」
「いえ、私はあまりに美人すぎて、きっと手が出せないと思いますし、私の処女はレッドくんのものなので」
「自己肯定感が高いのはよろしい」
「ですから、今夜は一緒に──」
「お断りしまーす」
俺とシャロットの即興漫才に、ラメセスとコンスタスが笑う。
コンスタスに関しては腹を抱えて笑っていた。
「本当に仲いいんだなぁ! もう巷では美男美女カップルだなんて噂されてるが、もう最高にラブラブじゃねーか!」
「これ見てどこがラブラブだと?」
コンスタスはどこかに異常があるらしい。
本編では語られていなかったものだけど、こうして物語の中の世界に来てみれば、このザマだ。
ていうか、よく考えれば、この世界に来て俺の期待を超えたものといえば、絶世の美女である母さんぐらいしかいない。
正直、俺のパーティ仲間であり主要人物は、みんなどこかがおかしな連中だということだ。
また頭を抱える。
でも、一応彼らは優秀なので、恵まれているといえば恵まれているのだ。文句は言えない。
「君は冒険者なのかい?」
話をまともに変えるべく、ラメセスが小人に聞く。
ちょっと待てよ。
ラメセスがいるじゃないか。そう、彼はこの世界ではかなりまともな部類だ。
顔も性格もイケメンだし、誰にでも優しい。それでいて正義感がある。
これからは彼と共に人生を歩んでいこう。
「一応は冒険者だな。オレは元々勇者パーティーに所属してたんだが、なんかみんなやる気なくてさ。ちっとも面白くなかった」
コンスタスがそう返すと、ラメセスは急に目の色を変えた。
キラキラと瞳を輝かせ、宝石でも見るようにコンスタスを見ている。
「そうだよ! そうなんだ! それをわかっている人がいてくれて嬉しいよ! 僕は何事もやる気・情熱が大切だと思ってる。だから君はこのパーティに来て正解だ。なんせここの責任者はレッド──僕の尊敬する、向上心の塊のようなヒューマンだ!」
「俺はいつ、そんな大層な奴になったんだ?」
俺の言葉など聞こえない。
なーんかラメセスに期待していた自分が馬鹿だったらしい。
勿論自分を評価してくれているのは嬉しいけど、そこまでハードルを上げられると、こっちとしてはプレッシャーが凄い。別にやる気がないわけでもないけど、特別やる気があるわけでもないし。
──向上心の塊?
俺がいつそんなムーブをかました!?
「そうか、やっぱり、オレの目に間違いはなかったな。フッフン!」
腰に小さな手を当て、胸を張るコンスタス。
可愛いショタが調子に乗っているようにしか見えない。
緑っぽい色の髪に、くりっとした茶色の瞳。
まだ若々しいスベスベの肌。
そして相変わらず、整った顔立ち。
待てよ。
俺のパーティーにはイケメンしかいないのではないか。
その中に美女ひとりという逆ハーレム状態。でも、そのシャロットは俺にメロメロすぎて他の男など眼中になく……。
ああ、やっぱりつくづく罪な男だ。
「えーっと、じゃあとりあえず、仲間になったってことで、よろしく」
俺はリーダーらしく場を取り仕切ることにした。
「流石はリーダーですね。結婚してください」
「嫌です」
即答。
「明日のことだけど、新メンバーのコンスタスの可能性が知りたいから、また地下迷宮の依頼を受けよう。このパーティなら、いくらかギルドもやり甲斐のある依頼をくれると思う」
「フッフン! オレも毎日地下迷宮の攻略頑張ってるからな。ナメてもらっちゃ困るのさ」
コンスタスが得意げに鼻を鳴らす。
自信はあるらしい。
それもそうだ。
彼もまた、ラメセスに匹敵するほどの優秀な戦力。
弓矢の使い手で、どんな体勢でも、どんな標的でも、必ず仕留める。的を外すことの方が珍しいくらいだ。
この実力だけには期待しよう。
ある意味このパーティ、化け物だな。
『やだ~、あの小人族可愛い~』
『見てみて。張り切って腰に手なんか当てちゃってる~』
後ろからいかにもJKみたいな異世界女子がコンスタスについて何か言っている。
彼女達が乗んでいる飲み物は何だ?
もしかして、タピオカドリンクなのか!? それではないにしても、最近のダスケンデール流行物であることに違いない。
流行りにはとりあえず乗っておきたい。
「コンスタス、可愛いって言われてるけど」
指摘してみた。
「ムキーッ! オレは可愛くなんかないっ! 格好いいんだっ!」
慌てふためいて否定するコンスタス。
その小さな体がちょこまかと動く。
あれ?
なんか、癒やされる。
「可愛いな」
「そうだね。コンスタスは可愛いと思うよ」
俺とラメセスはお互いに同意し合った。
現実で見るコンスタスも可愛い。
前世での俺の友達にコンスタス推しがいたけど、そいつが言うには、確かコンスタスは25歳だとかなんとか。
この世界での俺よりも年上とは……トホホ。
「ぐぬぬぬぬぬ!」
いやもう、これは絶対自分が可愛いとわかってやってる。
罪な男だな、コンスタスも。
《次回14話 美女を思い切り抱き締める》
主要メンバーをことごとく仲間にしていく罪な悪役にして、メインヒロインまでをも虜にしてしまった罪な男。
それがレッド・モルドロス。
というわけで、断る理由もないので小人族のコンスタスが仲間に加わった。
「レッドくん、そんなに簡単に信用しても大丈夫なんですか? 私、この人がずっとレッドくんを性的な目で見ているような気がして落ち着かないのですが」
「それを言うなら俺じゃなくて、女である自分だろ」
「いえ、私はあまりに美人すぎて、きっと手が出せないと思いますし、私の処女はレッドくんのものなので」
「自己肯定感が高いのはよろしい」
「ですから、今夜は一緒に──」
「お断りしまーす」
俺とシャロットの即興漫才に、ラメセスとコンスタスが笑う。
コンスタスに関しては腹を抱えて笑っていた。
「本当に仲いいんだなぁ! もう巷では美男美女カップルだなんて噂されてるが、もう最高にラブラブじゃねーか!」
「これ見てどこがラブラブだと?」
コンスタスはどこかに異常があるらしい。
本編では語られていなかったものだけど、こうして物語の中の世界に来てみれば、このザマだ。
ていうか、よく考えれば、この世界に来て俺の期待を超えたものといえば、絶世の美女である母さんぐらいしかいない。
正直、俺のパーティ仲間であり主要人物は、みんなどこかがおかしな連中だということだ。
また頭を抱える。
でも、一応彼らは優秀なので、恵まれているといえば恵まれているのだ。文句は言えない。
「君は冒険者なのかい?」
話をまともに変えるべく、ラメセスが小人に聞く。
ちょっと待てよ。
ラメセスがいるじゃないか。そう、彼はこの世界ではかなりまともな部類だ。
顔も性格もイケメンだし、誰にでも優しい。それでいて正義感がある。
これからは彼と共に人生を歩んでいこう。
「一応は冒険者だな。オレは元々勇者パーティーに所属してたんだが、なんかみんなやる気なくてさ。ちっとも面白くなかった」
コンスタスがそう返すと、ラメセスは急に目の色を変えた。
キラキラと瞳を輝かせ、宝石でも見るようにコンスタスを見ている。
「そうだよ! そうなんだ! それをわかっている人がいてくれて嬉しいよ! 僕は何事もやる気・情熱が大切だと思ってる。だから君はこのパーティに来て正解だ。なんせここの責任者はレッド──僕の尊敬する、向上心の塊のようなヒューマンだ!」
「俺はいつ、そんな大層な奴になったんだ?」
俺の言葉など聞こえない。
なーんかラメセスに期待していた自分が馬鹿だったらしい。
勿論自分を評価してくれているのは嬉しいけど、そこまでハードルを上げられると、こっちとしてはプレッシャーが凄い。別にやる気がないわけでもないけど、特別やる気があるわけでもないし。
──向上心の塊?
俺がいつそんなムーブをかました!?
「そうか、やっぱり、オレの目に間違いはなかったな。フッフン!」
腰に小さな手を当て、胸を張るコンスタス。
可愛いショタが調子に乗っているようにしか見えない。
緑っぽい色の髪に、くりっとした茶色の瞳。
まだ若々しいスベスベの肌。
そして相変わらず、整った顔立ち。
待てよ。
俺のパーティーにはイケメンしかいないのではないか。
その中に美女ひとりという逆ハーレム状態。でも、そのシャロットは俺にメロメロすぎて他の男など眼中になく……。
ああ、やっぱりつくづく罪な男だ。
「えーっと、じゃあとりあえず、仲間になったってことで、よろしく」
俺はリーダーらしく場を取り仕切ることにした。
「流石はリーダーですね。結婚してください」
「嫌です」
即答。
「明日のことだけど、新メンバーのコンスタスの可能性が知りたいから、また地下迷宮の依頼を受けよう。このパーティなら、いくらかギルドもやり甲斐のある依頼をくれると思う」
「フッフン! オレも毎日地下迷宮の攻略頑張ってるからな。ナメてもらっちゃ困るのさ」
コンスタスが得意げに鼻を鳴らす。
自信はあるらしい。
それもそうだ。
彼もまた、ラメセスに匹敵するほどの優秀な戦力。
弓矢の使い手で、どんな体勢でも、どんな標的でも、必ず仕留める。的を外すことの方が珍しいくらいだ。
この実力だけには期待しよう。
ある意味このパーティ、化け物だな。
『やだ~、あの小人族可愛い~』
『見てみて。張り切って腰に手なんか当てちゃってる~』
後ろからいかにもJKみたいな異世界女子がコンスタスについて何か言っている。
彼女達が乗んでいる飲み物は何だ?
もしかして、タピオカドリンクなのか!? それではないにしても、最近のダスケンデール流行物であることに違いない。
流行りにはとりあえず乗っておきたい。
「コンスタス、可愛いって言われてるけど」
指摘してみた。
「ムキーッ! オレは可愛くなんかないっ! 格好いいんだっ!」
慌てふためいて否定するコンスタス。
その小さな体がちょこまかと動く。
あれ?
なんか、癒やされる。
「可愛いな」
「そうだね。コンスタスは可愛いと思うよ」
俺とラメセスはお互いに同意し合った。
現実で見るコンスタスも可愛い。
前世での俺の友達にコンスタス推しがいたけど、そいつが言うには、確かコンスタスは25歳だとかなんとか。
この世界での俺よりも年上とは……トホホ。
「ぐぬぬぬぬぬ!」
いやもう、これは絶対自分が可愛いとわかってやってる。
罪な男だな、コンスタスも。
《次回14話 美女を思い切り抱き締める》
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