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10話
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「なんでえ、なんで僕がこなん目にぃ」
「お前!口じゃなくて手を動かしやがれ!」
ルークは必死に網を引く。
彼は遙か遠くの海の上にいた。
サリアに婚約破棄を告げられた後。
膨大な量の賠償金を要求されてしまった。
いままで不正に横領していた分を返せ、と。
そんなことは、到底不可能だ。
見たことも無いような大きな金額。
加えて、どこも雇ってくれないのだ。
目が見えない妻をだまして、浮気をしていた男など。
「なら、良い仕事を斡旋してあげますよ」
「へ?」
賠償金を減らしてくれ、とルークはサリアに泣きついた。
すると彼女は微笑みながら告げた。
そして、今、彼はここにいる。
氷に覆われた海での漁だ。
海に落ちれば、瞬時に死ぬ。
命と隣り合わせの仕事。
そのかわり、経歴も問わず、給与もいい。
ルークにぴったりなお仕事。
「やだあああ」
「怠けてんじゃねえ!」
よそ見をしていると、船が揺れた。
ルークはバランスを崩し、海に落ちそうになる。
船長はそんなルークを助け、頭を殴る。
死なれては困るからだ。
賠償金を、すべて返し終わるまでは。
彼はここで働き続ける。
十数年間、ずっと。
それが彼の末路であった。
「助けてくれ!!」
海にルークの叫び声が響く。
助けてくれるものなど、だれも、いなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「サリア様。お食事の時間ですよ」
「今日はなにかしら?」
「お魚です。旬で、とてもおいしいんですよ」
侍女さんに呼ばれて席に着く。
両親とともに、食事を取った。
自分の手で。
色とりどりの料理を見つめながら。
ルークの一件は、無事に片が付いた。
失ったお金も、少しずつだが帰って来る。
でも、そんなことはもういいのだ。
終わった事をいつまでもうじうじと考えるつもりはない。
せっかく、目が見えるようになったのだ。
今は、今までできなかった分、両親と共にいたい。
やってみたこともたくさんある。
時間など、いくらあってもたりないのだ。
だから、もうお終い。
彼などに、時間を割くのは。
「とてもお上手になりましたね」
「頑張ったから。でも、たまには前みたいにたべさせてくれてもいいのよ?」
「甘えん坊ですね」
フォークとナイフの使い方を褒められた。
最初は慣れていなくて、とてもひどかった。
やっと最近、上手く使えるようになってきた。
でも、たまに、侍女さんに食べさせてもらう。
お行儀は悪いだろうが、体に染みついてしまっているのだ。
おいしい料理に舌鼓をうつ。
このたべかたも、悪くないと、思うのであった。
「お前!口じゃなくて手を動かしやがれ!」
ルークは必死に網を引く。
彼は遙か遠くの海の上にいた。
サリアに婚約破棄を告げられた後。
膨大な量の賠償金を要求されてしまった。
いままで不正に横領していた分を返せ、と。
そんなことは、到底不可能だ。
見たことも無いような大きな金額。
加えて、どこも雇ってくれないのだ。
目が見えない妻をだまして、浮気をしていた男など。
「なら、良い仕事を斡旋してあげますよ」
「へ?」
賠償金を減らしてくれ、とルークはサリアに泣きついた。
すると彼女は微笑みながら告げた。
そして、今、彼はここにいる。
氷に覆われた海での漁だ。
海に落ちれば、瞬時に死ぬ。
命と隣り合わせの仕事。
そのかわり、経歴も問わず、給与もいい。
ルークにぴったりなお仕事。
「やだあああ」
「怠けてんじゃねえ!」
よそ見をしていると、船が揺れた。
ルークはバランスを崩し、海に落ちそうになる。
船長はそんなルークを助け、頭を殴る。
死なれては困るからだ。
賠償金を、すべて返し終わるまでは。
彼はここで働き続ける。
十数年間、ずっと。
それが彼の末路であった。
「助けてくれ!!」
海にルークの叫び声が響く。
助けてくれるものなど、だれも、いなかった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「サリア様。お食事の時間ですよ」
「今日はなにかしら?」
「お魚です。旬で、とてもおいしいんですよ」
侍女さんに呼ばれて席に着く。
両親とともに、食事を取った。
自分の手で。
色とりどりの料理を見つめながら。
ルークの一件は、無事に片が付いた。
失ったお金も、少しずつだが帰って来る。
でも、そんなことはもういいのだ。
終わった事をいつまでもうじうじと考えるつもりはない。
せっかく、目が見えるようになったのだ。
今は、今までできなかった分、両親と共にいたい。
やってみたこともたくさんある。
時間など、いくらあってもたりないのだ。
だから、もうお終い。
彼などに、時間を割くのは。
「とてもお上手になりましたね」
「頑張ったから。でも、たまには前みたいにたべさせてくれてもいいのよ?」
「甘えん坊ですね」
フォークとナイフの使い方を褒められた。
最初は慣れていなくて、とてもひどかった。
やっと最近、上手く使えるようになってきた。
でも、たまに、侍女さんに食べさせてもらう。
お行儀は悪いだろうが、体に染みついてしまっているのだ。
おいしい料理に舌鼓をうつ。
このたべかたも、悪くないと、思うのであった。
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