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2話 天才少女、未解決問題を解決する

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私は今、帝国からとても離れた所にある国、
王国へと滞在している。


この国は好きだ。


誰も私のことを知らないから、
普通の少女として私は生きられている。


好きなモノを食べ、自由に歩ける。
あたりまえの事だが、それがとても嬉しいのだ。


そして今日は、そんな王国にこれからも
滞在できるのかどうかの明暗を分ける日でもある。


数日前にうけた魔法使い認定試験の
結果発表の日なのだ。


王国は移民に対してはかなり厳しい態度をとっている。


でも特別な才能や技能を持っている人は
特例的に受け入れてもらえるのだ。


魔法使いは特に優遇してもらえるから、
この試験にさえ合格すれば、わたしは
正式に王国民となることができるわけだ。


試験自体はたいしたことはなかった。


私にとっての問題は、テストの合格よりも
いかにギリギリの点数で合格するかだ。


何度も見直しをして、合格点ギリギリになる
のを確認したんだ。


大丈夫、大丈夫、と
どきどきしながら発表をまつ。


そして、ついに合格者一覧が張り出された。


「・・・・・・え?あれ?あれれ!?」


紙を見て私は思わず動揺する。
合格者の欄に私の名前がなかったのだ。


そ、そんなあ。
点数を低くしすぎたのかなあ?


思わずため息をつく。


再試験までは数ヶ月後。
それはで浮浪者としていきなければならない。


帝国も全力で私を探しているだろう。


大変になるなあ、と落ち込んだ。
帰ろうか。


トボトボと帰路に着こうとした、その瞬間、


「受験番号1078、リアさんはいらっしゃいますでしょうか?
至急、面接室までお越しくださいますようお願いいたします」


と放送がなった。


受験番号1078。私の事だった。
ちなみにリアはアリアからアを取った偽名だ。


なぜよばれたんだろう、と頭をひねる。


まさか、再試験とか?


合格点数にギリギリ届いていなかったから
特例でもう一度うけさせてもらえるのかもしれない。


私はそんな期待を胸に、面接室までいった。


「リアさんですね。お入りください」


面接室に行き、入室する。


すると部屋の中には魔法使いと思われる、
おじいさん、おばあさん達がいた。


私が部屋に入ってくるのはみると、
おお!この子が!と歓声をあげている。


あ、あれ?


再試験にしてはなにか、反応がおかしいような。


そして魔法使いさん達は口を開き、


「リアちゃん。いいえ、リアさん。
あなたにはたぐいまれなる魔法の才能があります。
ぜひ特例として王国へ招かせてください」


と言った。


なんでえ?
私は思わずそう叫んだ。



結論からいってしまおう。


私がうけた魔法使い認定試験。


あれには表と裏の顔があるらしい。
表はそのまま移民の魔法適性をはかるというもの。


私の点数はこちらではギリギリ不合格だったそうだ。


そして肝心の裏の目的は、王国に必要な魔法の天才を
見つけることであったらしい。


そのために問題の中にいくつか
王国でも解けていない未解決問題を
潜ませていたそうだ。


私、それ、解いちゃった。


だって、だって、配点が低かったし、
見て答えもわかったから。


だから、だから、か、書いただけで!


こ、こんなの卑怯だ!


私は後ずさり、部屋から出ようとする。
でも、もう扉は閉められ、なぜか開かなかった。


な、なんで!
どうして!
こ、こわい!


でも、そんな私の気持ちなどつゆも知らず、
魔法使いさん達は逃がさないよう囲んでくる。


「さあ、リアさま、共に行きましょう」


どうして!
どうしてこうなるのお!
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