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6話
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「今日こそ、フレデリカちゃんにするぞ。構わんな」
「はい。彼女もだいぶ慣れてきたようですので。構いません」
数日後。
就寝していると私の横でポルコが告げた。
どうやらついに私の順番が来てしまったらしい。
寝たふりをしている私を、メイド長が抱きかかえる。
そして別の部屋へと移動されるのであった。
(嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ)
頭の中は拒絶の言葉で一杯だった。
いつもこうやって連れて行かれた子は、ひどい顔をして返ってくるのだ。
一体何をされてしまうのか。
恐ろしくてたまらない。
「フレデリカ。目を開けなさい」
メイド長は私に告げる。
どうやら寝たふりをしていたのはばれていたようだ。
恐る恐る目をあける。
「アリスから話は聞いているでしょう。大変でしょうが、我慢を。特別休暇も、手当てもありますので」
メイド長は私の緊張をほぐすように優しく言った。
「立ってください。手足を拘束します」
ポルコの寝室につれて行かれる。
途中でポルコとは離れたようで、私とメイド長の二人きりであった。
私は立たされる。
そしてベルトのようなもので足を縛られ、手も後ろで縛られた。
身動きが一切取れない。
そして最後のは口枷まで付けられてしまった。
(な、なんで)
どうして拘束などする必要があるのだろうか。
緊張で口の中が乾いていく。
私はそのままポルコのベットへと寝かされた。
「できたか?」
「はい。では旦那様、ごゆっくりお休みください」
数分後、ポルコが部屋へとやってくる。
メイド長は頭を下げて部屋から出て行ってしまった。
ポルコと私の二人きりだ。
彼は私をじっと見つめている。
「ああ、やっと君で寝れるよ、フレデリカちゃん」
「ムウッ!」
ポルコはそのままベッドに横になり私に抱きついてきた。
思わず抵抗しようともがくが、拘束のせいで動けない。
贅肉に無理矢理顔を押しつけられる。
息が苦しい。
もじゃもじゃとした毛が絡みつく。
そして汗の酸っぱい匂いが広がってきた。
「ああ、柔らかい。最高の抱き心地だよ。それにいい匂いもする」
ポルコは私のお腹に顔を埋めた。
服を少しだけはだけさせて、直接肌に顔を当てて。
まるで猫でも吸うように、私の体をフガフガと吸ってくる。
彼の口や鼻が当たって、気持ち悪い。
(いやあ!いやああああ!)
「下着も良かったが、直接はもっといいな」
そう言うとポルコは服をポケットから取り出し嗅いでいた。
体と服を交互に交代させていく。
その行動で理解する。
お風呂に入る際、私だけ服を別に回収されていた意味を。
ずっとかがれていたんだ。
匂いを。
(いやああああああああああ)
これが夜の間ずっと続くのだ。
考えただけで恐ろしかった。
「今日は、たっぷりたのしませてもらうよ、フレデリカ」
数時間後。
「よお、お疲れさん。災難だったな」
「・・・・・・」
朝になり、いつもの部屋に帰された。
解放された後は、お風呂に入ることが許されていた。
必死に体中を洗った。
特に吸い付かれたお腹は重点的に。
もう離れたはずなのに。
まだ鼻の奥にポルコの体臭が染みついている気がする。
ふらふらとベッドに倒れ込む。
アリスさんの言葉には、返事をする気力もなかった。
「特別休暇だ、ゆっくりお休み」
アリスさん達は仕事に行った。
ひとりベットの上で、休む。
思い出すのは、ポルコのくさい息と、生ぬるい体温だ。
(気持ち悪い)
こんなの人としての扱いではない。
枕に顔を押しつけながら。
必死に涙と声を押し殺す。
(お父様、お母様、アイリス!会いたいよお!帰りたいよお!)
あの安心できる自宅に帰りたい。
ここは、何からなにまでポルコのものだ。
お風呂のために脱いだ服すら、あいつのモノになる。
恐ろしくてたまらない。
(早く、できるだけ早くしてください、お父様)
家族は今、何をしているのだろうか。
どのくらい借金を返せているのだろうか。
こんな生活を何年も続けるのは無理だ。
心が壊れてしまう。
早く、家に帰りたかった。
その後、メイド長が来て私にお金をくれた。
どうやら特別手当であるらしい。
私の年齢では到底稼げない額が入っていた。
私のお金を借金の返済に充てて欲しいと伝え、私は再び眠りについた。
一日でも早く、家に帰る。
そのことだけしか、もう頭になかった。
それが、いかにはかない希望であるかとも、知らずに。
「はい。彼女もだいぶ慣れてきたようですので。構いません」
数日後。
就寝していると私の横でポルコが告げた。
どうやらついに私の順番が来てしまったらしい。
寝たふりをしている私を、メイド長が抱きかかえる。
そして別の部屋へと移動されるのであった。
(嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ)
頭の中は拒絶の言葉で一杯だった。
いつもこうやって連れて行かれた子は、ひどい顔をして返ってくるのだ。
一体何をされてしまうのか。
恐ろしくてたまらない。
「フレデリカ。目を開けなさい」
メイド長は私に告げる。
どうやら寝たふりをしていたのはばれていたようだ。
恐る恐る目をあける。
「アリスから話は聞いているでしょう。大変でしょうが、我慢を。特別休暇も、手当てもありますので」
メイド長は私の緊張をほぐすように優しく言った。
「立ってください。手足を拘束します」
ポルコの寝室につれて行かれる。
途中でポルコとは離れたようで、私とメイド長の二人きりであった。
私は立たされる。
そしてベルトのようなもので足を縛られ、手も後ろで縛られた。
身動きが一切取れない。
そして最後のは口枷まで付けられてしまった。
(な、なんで)
どうして拘束などする必要があるのだろうか。
緊張で口の中が乾いていく。
私はそのままポルコのベットへと寝かされた。
「できたか?」
「はい。では旦那様、ごゆっくりお休みください」
数分後、ポルコが部屋へとやってくる。
メイド長は頭を下げて部屋から出て行ってしまった。
ポルコと私の二人きりだ。
彼は私をじっと見つめている。
「ああ、やっと君で寝れるよ、フレデリカちゃん」
「ムウッ!」
ポルコはそのままベッドに横になり私に抱きついてきた。
思わず抵抗しようともがくが、拘束のせいで動けない。
贅肉に無理矢理顔を押しつけられる。
息が苦しい。
もじゃもじゃとした毛が絡みつく。
そして汗の酸っぱい匂いが広がってきた。
「ああ、柔らかい。最高の抱き心地だよ。それにいい匂いもする」
ポルコは私のお腹に顔を埋めた。
服を少しだけはだけさせて、直接肌に顔を当てて。
まるで猫でも吸うように、私の体をフガフガと吸ってくる。
彼の口や鼻が当たって、気持ち悪い。
(いやあ!いやああああ!)
「下着も良かったが、直接はもっといいな」
そう言うとポルコは服をポケットから取り出し嗅いでいた。
体と服を交互に交代させていく。
その行動で理解する。
お風呂に入る際、私だけ服を別に回収されていた意味を。
ずっとかがれていたんだ。
匂いを。
(いやああああああああああ)
これが夜の間ずっと続くのだ。
考えただけで恐ろしかった。
「今日は、たっぷりたのしませてもらうよ、フレデリカ」
数時間後。
「よお、お疲れさん。災難だったな」
「・・・・・・」
朝になり、いつもの部屋に帰された。
解放された後は、お風呂に入ることが許されていた。
必死に体中を洗った。
特に吸い付かれたお腹は重点的に。
もう離れたはずなのに。
まだ鼻の奥にポルコの体臭が染みついている気がする。
ふらふらとベッドに倒れ込む。
アリスさんの言葉には、返事をする気力もなかった。
「特別休暇だ、ゆっくりお休み」
アリスさん達は仕事に行った。
ひとりベットの上で、休む。
思い出すのは、ポルコのくさい息と、生ぬるい体温だ。
(気持ち悪い)
こんなの人としての扱いではない。
枕に顔を押しつけながら。
必死に涙と声を押し殺す。
(お父様、お母様、アイリス!会いたいよお!帰りたいよお!)
あの安心できる自宅に帰りたい。
ここは、何からなにまでポルコのものだ。
お風呂のために脱いだ服すら、あいつのモノになる。
恐ろしくてたまらない。
(早く、できるだけ早くしてください、お父様)
家族は今、何をしているのだろうか。
どのくらい借金を返せているのだろうか。
こんな生活を何年も続けるのは無理だ。
心が壊れてしまう。
早く、家に帰りたかった。
その後、メイド長が来て私にお金をくれた。
どうやら特別手当であるらしい。
私の年齢では到底稼げない額が入っていた。
私のお金を借金の返済に充てて欲しいと伝え、私は再び眠りについた。
一日でも早く、家に帰る。
そのことだけしか、もう頭になかった。
それが、いかにはかない希望であるかとも、知らずに。
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