【R18】スライム調教

1章 A（初心者冒険者）の場合

2話

Aは今年、魔法大学を卒業したばかりの22歳だった。
学生という身分が終わり、これから働く人間へとなるという時期。
Aの同級生達はみな思い思いの場所に就職をしていた。


もちろんAも就職先は決めていた。就職先は冒険者ギルドという場所である。
冒険者ギルドは冒険者とよばれるいわゆる何でも屋を束ねている組織だった。


こまった事があったらとりあえず冒険者に頼めばいい。
そのくらいこの世界では浸透している職業だ。


Aは子どもの頃、森で迷子になったことがあった。その時に助けてくれたのが冒険者の方々だったのだ。
世間的には冒険者は誰でもなれる職業であり、頼りにはなるがなりたくはない職業という認識になっている。


ましてや魔法大学を卒業しているエリートなAであるならばもっと良い所にも務められただろう。
しかしAは憧れを優先して、冒険者になることを決めたのだった。
教授にはあきれられたが、それでもAに後悔はなかった。


冒険者になるための面接はAはすぐに通った。筆記や実技も問題なく通過しており
Aは無事に冒険者になることはできた。


Aは子どもの頃から憧れていた冒険者になれたことに喜んだ。
しかしその喜びはあまり長く続くこともなかった。



冒険者になれて喜んでいるAに対して降りかかってきたのは、お金という夢とは正反対の問題だった。
冒険者になったばかりのAでは受けられる依頼の報酬はどれも低く、とても食べてはいけなかった。
Aにはすでに両親はおらず、頼れる人もいない。大学も成績優秀者のための奨学金を借りて通っていたほどだ。


もっとお金が、せめて普通にご飯が食べられるくらいは欲しかった。
難しい依頼を受ければそれだけ報酬も多くなる。そしてAには難しい依頼を達成できるだけの実力はあった。


しかし冒険者ギルドはAにそのような依頼を受けさせてはくれない。
冒険者ギルドもAに嫌がらせをしていいるわけではなかった。
あくまでAが難しい依頼を受ける資格を満たしていないから、受けさせないのだ。


難しい依頼を受けるために必要な資格。
それさえあれば、とAは考えその資格について確認をしてみた。
そしてそこにはなんとお腹にスライムを入れることと書いてあったのであった。


Aは一瞬、自分が文章を読み間違えたのかと思った。
スライムとは、モンスターの名前だ。水色のゲル状のモンスター。
とても弱いやつだ。

文章をよく読んでみる。

難しい依頼になると冒険者達は強力なモンスターが住む場所へと赴く必要がある。
そしてそのような場所ではトイレといった無防備になる行動はできるだけ減らしたかった。
しかしトイレは生理現象であり、しないわけにはいかない。
そういうことでギルドはお腹にスライムを注入することでトイレなどといった問題を解決するという方法をはかったのである、ということらしい。


Aはお腹にスライムを入れていなかった。だから難しい依頼を受けられない。


Aは早速お腹にスライムを入れようと、いろいろと調べはじめた。
スライムを入れる作業は専門の業者にやってもらう必要があるらしい。
金額をみるとどれも驚くほど高かった。到底Aが払える金額ではなかった。


正規のお店ではだめだ。ならばと思いAは正規ではないお店を調べた。
こちらはギルドの認可を受けていないグレーのお店だがその分金額がぐっとさえられている。
一番安いところならば、なんとかAの貯金でも届きそうだった。


良くないことであるとは分かっていた。
しかしAは冒険者という夢を諦めきれずにそのお店に向かうのだった。