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15話
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「すまない、俺のせいだ。ごめん、ごめんなさい」
今にも泣き出してしまいそうな声で、
彼はわたしを力づよく抱きしめた。
そのときのわたしは魔族や両親の血によって
ひどく汚れていたから、彼の服が汚れてしまうのではないかと
心配だったけど、そんなことは気にしてはいないようだった。
なぜ、彼はこんなことをするのだろうか?
なぜ、彼が悲しむのだろうか?
村が魔族に襲われて、
みんな殺されてしまったのは、
わたしのせいなのに。
わたしが勇者などという存在であったから、
村に魔族がきて、みんなを殺してしまったのだ。
悪いのはわたしだ。
わたしさえいなければ、こんなことにはならなかったのに、
どうして彼はわたしのために泣くのだろうか?
・・・・・・起きろ、わたし。
これは夢だ。昔あったことを
そのまま夢として見ているだけだ。
もう、みんな死んだんだよ。
「・・・・・・」
目を開けると、真っ白い天上が目に入った。
知らない場所だ。確かわたしは、魔族と戦って
その後・・・・・。
「うん?ああ、起きたか」
声をする方を見ると、すぐ隣に彼がいた。
椅子に座って、こちらを見つめてる。
「おはよう、体調はどうだ?」
「・・・ここは?」
「ギルドの治療室だ。お前、丸3日寝ていたんだぞ」
彼は安心したように少し微笑んだ。
そういえば、彼が泣きそうになった顔は
あれ以来見ていない。
頼れるような、自立しているような振りをして
一番泣き虫だった彼はどこにいってしまったのか。
そんなことを思い出す。
「ねえ、戦士」
「うん?」
「お腹すいた!!」
わたしの言葉に合わせるように
お腹がぐううううとなった。
そんな状況で、彼は
あきれたような顔をする。
「・・・・・・お前なあ。
まあ、元気そうで良かったよ」
彼はあきれたような顔をした。
そんな普段と同じ反応がみれて、
ホッとする自分がいる。
彼もいつか、わたしの前から
いなくなってしまうのだろうか。
両親や村のみんなと同じように。
想像するだけで胸がキュッと締め付けられた。
もう、あんな思いはしたくない。
したくなどないのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
やあ、みなさま。
なんか数回やらなかっただけなのに
すごく冒頭の語りが久しぶりな気がして
緊張している女神さまです。
・・・・・・なんか久しぶりだと調子が狂いますね。
いつもの調子がでませんが、まあ、いいでしょう。
さて、さっそく勇者ちゃんの様子をみていきましようか。
うん!!無事に目を覚ましてくれたようですね。
よかった~!! よかったよ~!!
3日も意識が戻っていなかったので、女神さま
心配で心配で常にソワソワしていたんですよ!!。
何かをしようとして、常に頭の片隅を
勇者ちゃん、大丈夫かな~~という思いが
占領してしまい集中できなかったんです。
ほんとですよ?・・・なんで疑いの目でこちらを見るんですか!!
仕事をしないのはいつも通りではないです~~。
いつも以上に、仕事に手がつかなかっただけです~~。
とりあえず、これで目の前の心配事はなくなりましたね。
勇者ちゃんも無事でしたし、行方不明になっていた方々も
全員が保護されて、ギルドで治療をうけています。
みなさん、大きなケガもなかったので
すぐに元の生活に戻れるでしょう。
これにてお仕事達成です!!
わーい!!パチパチパチ。
とはいったものの、まだわたしがやることは残っているんですけどね。
戦士くんが捕まえた教団のメンバー達の対応や、勇者ちゃんが
倒した魔族の遺体の処理などをやらなければならないんです。
うえ~、めんどっくさい。
すごく面倒くさいですが、さすがに放置はできません。
それに二人が頑張ってくれた成果をムダにしたくも
ないですしね。女神さま、頑張っちゃいますよ!!
「ねえ!!こんなんじゃあ、お腹いっぱいにならないよお!!
なにこれ、水じゃん。水!!」
「文句言うなよ。起きたばかりでいきなりがっつり食べられるわけないだろ。
いいから黙って食え」
「やだやだやだ!!もっとおいしいの食べたい!!」
「バカ、お前、ここでは静かにしろ!!」
あはははは!!
勇者ちゃん、お腹がすいているのに
重湯というおかゆのほとんど水バージョンをだされたせいで
ごねているみたいです。
日常が戻ってきましたね。
この日常を壊させないためにも
頑張ろ~と!!。
今にも泣き出してしまいそうな声で、
彼はわたしを力づよく抱きしめた。
そのときのわたしは魔族や両親の血によって
ひどく汚れていたから、彼の服が汚れてしまうのではないかと
心配だったけど、そんなことは気にしてはいないようだった。
なぜ、彼はこんなことをするのだろうか?
なぜ、彼が悲しむのだろうか?
村が魔族に襲われて、
みんな殺されてしまったのは、
わたしのせいなのに。
わたしが勇者などという存在であったから、
村に魔族がきて、みんなを殺してしまったのだ。
悪いのはわたしだ。
わたしさえいなければ、こんなことにはならなかったのに、
どうして彼はわたしのために泣くのだろうか?
・・・・・・起きろ、わたし。
これは夢だ。昔あったことを
そのまま夢として見ているだけだ。
もう、みんな死んだんだよ。
「・・・・・・」
目を開けると、真っ白い天上が目に入った。
知らない場所だ。確かわたしは、魔族と戦って
その後・・・・・。
「うん?ああ、起きたか」
声をする方を見ると、すぐ隣に彼がいた。
椅子に座って、こちらを見つめてる。
「おはよう、体調はどうだ?」
「・・・ここは?」
「ギルドの治療室だ。お前、丸3日寝ていたんだぞ」
彼は安心したように少し微笑んだ。
そういえば、彼が泣きそうになった顔は
あれ以来見ていない。
頼れるような、自立しているような振りをして
一番泣き虫だった彼はどこにいってしまったのか。
そんなことを思い出す。
「ねえ、戦士」
「うん?」
「お腹すいた!!」
わたしの言葉に合わせるように
お腹がぐううううとなった。
そんな状況で、彼は
あきれたような顔をする。
「・・・・・・お前なあ。
まあ、元気そうで良かったよ」
彼はあきれたような顔をした。
そんな普段と同じ反応がみれて、
ホッとする自分がいる。
彼もいつか、わたしの前から
いなくなってしまうのだろうか。
両親や村のみんなと同じように。
想像するだけで胸がキュッと締め付けられた。
もう、あんな思いはしたくない。
したくなどないのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
やあ、みなさま。
なんか数回やらなかっただけなのに
すごく冒頭の語りが久しぶりな気がして
緊張している女神さまです。
・・・・・・なんか久しぶりだと調子が狂いますね。
いつもの調子がでませんが、まあ、いいでしょう。
さて、さっそく勇者ちゃんの様子をみていきましようか。
うん!!無事に目を覚ましてくれたようですね。
よかった~!! よかったよ~!!
3日も意識が戻っていなかったので、女神さま
心配で心配で常にソワソワしていたんですよ!!。
何かをしようとして、常に頭の片隅を
勇者ちゃん、大丈夫かな~~という思いが
占領してしまい集中できなかったんです。
ほんとですよ?・・・なんで疑いの目でこちらを見るんですか!!
仕事をしないのはいつも通りではないです~~。
いつも以上に、仕事に手がつかなかっただけです~~。
とりあえず、これで目の前の心配事はなくなりましたね。
勇者ちゃんも無事でしたし、行方不明になっていた方々も
全員が保護されて、ギルドで治療をうけています。
みなさん、大きなケガもなかったので
すぐに元の生活に戻れるでしょう。
これにてお仕事達成です!!
わーい!!パチパチパチ。
とはいったものの、まだわたしがやることは残っているんですけどね。
戦士くんが捕まえた教団のメンバー達の対応や、勇者ちゃんが
倒した魔族の遺体の処理などをやらなければならないんです。
うえ~、めんどっくさい。
すごく面倒くさいですが、さすがに放置はできません。
それに二人が頑張ってくれた成果をムダにしたくも
ないですしね。女神さま、頑張っちゃいますよ!!
「ねえ!!こんなんじゃあ、お腹いっぱいにならないよお!!
なにこれ、水じゃん。水!!」
「文句言うなよ。起きたばかりでいきなりがっつり食べられるわけないだろ。
いいから黙って食え」
「やだやだやだ!!もっとおいしいの食べたい!!」
「バカ、お前、ここでは静かにしろ!!」
あはははは!!
勇者ちゃん、お腹がすいているのに
重湯というおかゆのほとんど水バージョンをだされたせいで
ごねているみたいです。
日常が戻ってきましたね。
この日常を壊させないためにも
頑張ろ~と!!。
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