神様に転生させてもらった元社畜はチート能力で異世界に革命をおこす。賢者の石の無限魔力と召喚術の組み合わせって最強では！？

84話 異世界人、異世界人と出会う

「イタタタタ！噛まないで！噛まないでよ！私はタクマって人に会いに来ただけんだよ！」


今日、いつものように作業をしているとフェルが見知らぬ女性を咥えてやってきた。
どうやら森から不法に侵入してきたらしい。


今現在、村には王国の認定を受けた人以外いれていないので、不法侵入してきた方はこうやってフェルに捕まえてもらっているのだ。


またか、と思わずため息をつく。
一時期減ってくれたと思ったのだけどな。
また増えなきゃいいけど。


危ないからやめて欲しいんだよな～。


「フェル、離してあげて。そしてお嬢さん。ここには王国の許可無く来ちゃダメなんだよ？」


「それは、私が悪かったです。でもこっちに事情があるんですよ！タクマって人に会わせてください！」


「僕に？」


と、こんな風な出会いから自らをめぐみと名乗った女の子と交流が始まった。


彼女はいきなりグイッと僕に顔を近づけてくる。
そして耳元で、小さな声で、


「タクマさんも、日本人ですよね？」


とつぶやく。


日本人。その言葉が異世界で出たことに、思わず驚く。
そして次に驚いたのは、も、という言葉。


おそらく、めぐみと名乗ったこの女の子も日本人なのだと理解した。


「・・・わかった。ゆっくり話を聞くよ」


「じゃあ！やっぱり！」


不法侵入者はすぐに送り返すのがルールであった。
けれど僕はそのルールを曲げてでも彼女と話してみたかった。


まさか、この世界に僕と同じような転生者がいるとは。
驚きと、不安と、喜び。色々な感情が交じってるや。


そしてどうやらそれは相手も同じらしい。
めぐみさんは目を輝かせ、僕を見つめていた。


数時間後


「まさか、転生者だったなんて」


「僕も驚いたよ。転移でくる人もいるんだね」

しばらくお互いの事情について話合い、お互いにうなる。
今更だが、僕は転生者だ。


一度死んで、新しい体で神様に蘇らせてもらっている。


逆にめぐみさんは転移者であるらしい。
神様とは出会っていないし、肉体もそのままのようだ。


魔法や魔力に関しても、めぐみさんはただ丈夫なくらいで普通の人と同じだそうだ。
たぶんだけど神様にあってるかどうかが関係しているのだろう。


まさかこちらの世界で神様の話まですることになるとは、


「でもうらやましいですよ！チートです！チート！」


「確かにそうだね。この力のおかげで村もここまで大きく出来たし」


めぐみさんはかなり僕の能力をうらやましがっているようだった。
そりゃそうだ。自分は体が丈夫になっただけのに、もう1人は無限魔力とチートな召喚術をもらっているのだから。
愚痴の一つもいいたくなるだろう。


しばらく話したあと、めぐみさんは安心したのか眠ってしまった。
この子は特例的に村で保護することに決めた。


なんか予想外の方向に進み始めたようだ。
この接触が吉とでるか、凶とでるか。


吉ならいいな～と願わずにはいられなかった。