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57話 とある四天王のひとりごと

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我が名はジーク。


魔王様に仕える四天王の1人だ。


突然だが最近、魔王様がうれしそうだ。


配下達に反乱を起こされ、殺されかけていたのだから、さぞかし落ち込んでいるだろうと予想していたのに、以外だ。


魔族領は反乱のせいで荒廃してしまったというのに、なにを楽しみにしているのだろうと不思議だったが、少しずつわかってきた。


どうやら、一時的に保護されていたあの村をとても気に入られたらしい。


確かにあの村はすごかった。


理由はわからぬが無限に湧き溢れてくる魔力に、フェンリルやスライムなどといった伝説のモンスター達とそのマスター。


加えて強力な魔法使いエルフに、我が軍の研究員すら越える魔道具師を保有しているのだ。


ちいさく、隠れている村ながら、とんでもない存在だ。


正面から戦えば、我ら精鋭といえども無傷ではすまない。


実際、私が魔王様をお迎えに行った際、彼らと戦闘になればやられていただろう。


そう考えると、魔王様の喜びも理解出来る。


反乱で多くのものを失ったが、失ったもの以上に価値がある存在と我々は接触できたのだ。


あのように村ごと隠れていた存在は、魔王様が運び込まれていなければ見つけることもできなかったはずだ。


そう考えれば、反乱は起きて良かったのかもしれぬ。


魔王様に忠誠を誓わぬ者どもも排除できたのだ。
しばらくは安泰であろう。


それに魔王様もうまく立ち回ったものだ。


見つけた村とすぐに同盟関係を結び、村の利益をあっというまに独占してしまわれた。


もう、他の者達が村に手を出すことはできまい。


そうして我々は、ゆっくりと彼らからもたらされる利益をすすればいい。


村からもたらされる膨大な食料は、魔族領の復興に大いに役立っている。


また村で開発されている多くの技術もそのうちもたらされてくるだろう。


再び言うが、あの場所は異常だ。
理由は分からぬが、膨大な魔力があふれ出てきているのだ。


おかげで一日に何度も魔法を使うことが出来る。


何度も魔法が使えるということは、当然我々よりも魔法関連の進歩は早い。


特に魔道具開発など失敗の連続だ。


我々が一日数度しか出来ぬ実験を何十年と繰り返し、やっと完成するというのに、あの村ではそれが一日で終わってしまう。


今はまだ我らが優性だが、追いつかれるのも時間の問題だな。


ふむ。逆に我らも技術を与えてみても良いのかもしれぬ。
そうすればさらに技術が進み、我らにもたらされる利益も増える。


恩をうって置けば、力関係が逆転した際の保険にもなるだろう。


甘い汁をたくさん吸わせてやるのだ。
こちらもたくさんすわせてもらうぞ?


それに、あのタクマとかいう男。
魔王様はとても気に入られ、配下へと招いているそうだ。


今や四天王もほとんどが空席だ。
あれだけのモンスターを操れるものなら、その空席にもふさわしい。


我ら新生魔王軍。
どこまでのものになるか、楽しみだな。


だが一つ言いたいことがある。


仕事が、終わらぬ。
無間地獄だ。


魔王様、遊んでいないで手伝ってください。
いや、まじで。
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