え！？ゴ、ゴブリンですか、転生先!?最弱種族ゴブリンでも道具と知識を使えば格上の相手も殺せるんです。

15話（2）

　あくまでリーダー達の予測だが、シルバーウルフたちは満月の日に群れで狩りをする習性があるらしい。昔からそう言い伝えられており、実際隣村が襲われたときも満月であった。だからこの村も襲われるとしたら、満月の時である可能性が高い。


　そして次の満月は２日後。だからそれまでに対策できなければ間に合わないということだった。


　この情報を知っているのは今ここにいるもののみ。それ以外には情報が不確定であるし、無駄にパニックになるのを防ぐために伏せているらしかった。


　・・・たった２日で、対策を立てなければいけない。あまりにも、あまりにも短すぎる期間だった。二日間、どれだけ頑張ろうと倒せるシルバーウルフの数はしれている。こんな状況でどう対処しろというのだ。


　「たのむ、知恵を貸してくれ。我々には想像もつかないことをする君だ。何か良い案を思いついてはくれないか」


　私がまだ困っているのにも関わらず、リーダーと取り巻き達は頭を下げてわたしにそう言ってきた。私は思わずうろたえてしまった。今、まさに考えていた計画が潰れたのだ。それなのに、一体どうしろと・・・。


　そもそもリーダー達は、襲撃時期を知っておきながら、具体的な対策をしている様子がなかった。やっていたのは会議だけ。ほんとに会議だけなのだ。


　大切な時間を無駄に消費だけしておきながら今更必要な情報を出してきて、対策を考えてくれと言われても迷惑でしかなかった。


　完全なとばっちりだ。そっちのミスなのだからそちらでけじめを付けてくれと言い返したかった。


　でも、そんなことを言える雰囲気でもなかった。リーダー達は藁にもすがる思いで私に助けを求めてきているのだ。拒絶してここを出て行くことなどできる訳がない。拒絶して犠牲になるのは彼らだけではないのだから。


　それに今、この瞬間にも大切な準備期間は減ってきているのだ。これ以上はダラダラと時間を浪費している余裕などない。なにか行動しなければ、本当にやられるしかなくなるなってしまう。


　もう、私に選択肢はなかった。わずかな残り時間を不満や文句に使うなどと言う贅沢な使い方はゆるされない。やるしかないのだ、生き残るためには。