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15話(1)

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 「2日!あと2日しかないんですか!」


 私は思わず大声でそう叫んだ。洞窟に音が反響し、全体に響いた。私は自分の声が想像よりも大きかったことに気がついて慌てて自分の手で口を押さえる。


 そんな私の姿をみてリーダーとその取り巻き達も慌てている。バカバカ、声が大きいと必死に口の前に一本指を立ててシーと静かにするようにジェスチャーする。


 ・・・静かになった洞窟で、みんながキョロキョロと辺りを見回した。今、この洞窟には私とリーダと取り巻きの数人そして奥の方にケガで動けないケガ人が寝ている。ケガ人の方が寝ており、さきほどの叫びが聞かれていないというこということを確認するとホッと胸をなでおろして、再び話を始めた。


 結論から言えば、リーダーは私の話をちゃんと聞いてくれて信用もしてくれた。きちんと倒したシルバーウルフの耳を持ってきておいたのが幸いしたようだ。


 耳のおかげでリーダーはともかく、取り巻きの人達にも私のことをスムーズに信じて貰うことができた。ウソをつくなや頭がおかしいなどと言っていた彼らが、切り取られたばかりでまだ暖かい耳を見せただけで一瞬で口をつぐんだのだ。物的証拠の威力はすさまじいよ、ほんとうに。


 また他にも前に土器をつくっておいたのもプラスに働いた。私の村での評価が、変な事をする奴だがすごい奴というのになっていてくれた。おかげで、前例があるコイツなら本当にやったのだろという説得力も持たせられたのだろう。


 私はまだこの村に滞在している期間は長い方ではない。だからリーダーたちに信用してもらえるかどうか、それだけが気がかりだったけど、おかげで信頼は得られたようだった。偶然の部分も多いが嬉しい誤算だった。



 そして、遠くから毒矢でシルバーウルフを倒していくという作戦の方の評価も上々だった。シルバーウルフはとても強くゴブリンが数匹集まっても苦戦する。そんな奴を1人でしかもケガも負わずに倒すことができるという方法に興味を持たないはずがない。


 みんなの反応を見たとき、私はこれならいけるという確信をもつことができた。だから、説明しろと言われた時にも意気揚々と今日やったことを話すことができたのだ。


 計画が受け入れられれば、村総出で弓矢を作り、シルバーウルフを倒せるようになる。そうなれば私とゴブリンAちゃんに手伝って貰いながらやるのとは効率が全く変わってくるだろう。


 弓矢や毒を作ったり、安全に扱うまでの訓練が完了するには少し時間がかかるけど一週間もあればそこそこ準備ができる。一週間あれば、私達はシルバーウルフたちと戦えるようになるのだ。この状況を打開できる希望が見えてきた。洞窟内の空気が一瞬だけ軽くなった。真っ暗な未来に一筋の光が差し込んできたのだから、当然だ。


 ただ、現実はそこまで甘くはなかったようだ。いつだって思い通りにはすすんでくれない。


 リーダーに準備にはどれくらいかかるかと聞かれたので一週間あれば十分で、それから活動できると話したら急に彼の顔が曇ったのだ。


 再び洞窟の空気が重くなる。私は、なぜリーダー達がそのように暗い顔をするのか疑問に思い首をかしげていると彼は重い口を開いた。


 「奴らは2日後にくる。それでは間にあわん」と。


 で、冒頭の私の叫びに繋がるというわけだ。
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