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11話
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「ねえ?なにつくってるの?」
深夜、洞窟の入り口付近で差し込む月明かりをたよりに作業をしていると、ゴブリンAちゃんが話しかけてきた。寝床から起きてきて不思議そうな顔をこちらにむけていた。うるさかった?と聞くと彼女は横に首を振って眠れないだけと答えた。
彼女は笑ってはいるが、その笑顔には恐怖と疲れの色が見えた。彼女はずうっとケガ人の介抱をしていたし、いつこの村もシルバーウルフたちに襲われるかも分からない状況だからしかたがない。
それでも笑い、他人を気にかけようとするこの子は私なんかよりもすごく強いと思う。そういえば、土器を作ってるときもそうだったね。
「ちょっと武器をね」
「武器?戦う気なの?」
「うん。ただ食べられるのはいやだから」
彼女に言った通り、今私は武器を作っている。
武器は人間が戦うために作り出した道具だ。生活を豊かにするのではなく、純粋に命を奪うためのもの。そんなものをこんなに速く作るはめになるとは思ってもいなかった。本当ならもっと楽しくてみんながワクワクするものを作りたかったけどこの状況だ。贅沢は、なしだ。
ちなみに、作ろうと思っているのは弓矢だ。弓矢にした理由はたくさんあるけど、一番は相手の攻撃が届かない遠距離から一方的に攻撃できる点だ。
シルバーウルフの強さを作り出しているのは、走る速さと噛みつき、そして群れであるという3つだ。この3つを攻略しなければ私達では到底彼らには敵わない。
速さと噛みつきという時点で近接で戦うのはNGだ。近接は彼らの得意分野。相手に得意を押しつけられてしまう。
そしてシルバーウルフたちが村に攻めてきたときにみんなで戦うのもNGだ。彼らはかならず群れで攻めてくる。こっちも集団で戦えるというメリットもあるけれどそれは有利にはならない。
こちらが有利になるためには、彼らが得意なものを避けなければならない。だから近距離での戦いと群れでの戦いはしない。
となると、できる戦い方は遠距離で一騎打ちくらいに絞られてくる。遠距離から単体で行動しているシルバーウルフを一匹一匹丁寧に殺していく。たぶんこれが私が思いつく一番の作戦だった。
でも、この作戦をやるためには遠距離から攻撃できる手段がいる。だから私は今必死に弓矢を作っているのだった。
深夜、洞窟の入り口付近で差し込む月明かりをたよりに作業をしていると、ゴブリンAちゃんが話しかけてきた。寝床から起きてきて不思議そうな顔をこちらにむけていた。うるさかった?と聞くと彼女は横に首を振って眠れないだけと答えた。
彼女は笑ってはいるが、その笑顔には恐怖と疲れの色が見えた。彼女はずうっとケガ人の介抱をしていたし、いつこの村もシルバーウルフたちに襲われるかも分からない状況だからしかたがない。
それでも笑い、他人を気にかけようとするこの子は私なんかよりもすごく強いと思う。そういえば、土器を作ってるときもそうだったね。
「ちょっと武器をね」
「武器?戦う気なの?」
「うん。ただ食べられるのはいやだから」
彼女に言った通り、今私は武器を作っている。
武器は人間が戦うために作り出した道具だ。生活を豊かにするのではなく、純粋に命を奪うためのもの。そんなものをこんなに速く作るはめになるとは思ってもいなかった。本当ならもっと楽しくてみんながワクワクするものを作りたかったけどこの状況だ。贅沢は、なしだ。
ちなみに、作ろうと思っているのは弓矢だ。弓矢にした理由はたくさんあるけど、一番は相手の攻撃が届かない遠距離から一方的に攻撃できる点だ。
シルバーウルフの強さを作り出しているのは、走る速さと噛みつき、そして群れであるという3つだ。この3つを攻略しなければ私達では到底彼らには敵わない。
速さと噛みつきという時点で近接で戦うのはNGだ。近接は彼らの得意分野。相手に得意を押しつけられてしまう。
そしてシルバーウルフたちが村に攻めてきたときにみんなで戦うのもNGだ。彼らはかならず群れで攻めてくる。こっちも集団で戦えるというメリットもあるけれどそれは有利にはならない。
こちらが有利になるためには、彼らが得意なものを避けなければならない。だから近距離での戦いと群れでの戦いはしない。
となると、できる戦い方は遠距離で一騎打ちくらいに絞られてくる。遠距離から単体で行動しているシルバーウルフを一匹一匹丁寧に殺していく。たぶんこれが私が思いつく一番の作戦だった。
でも、この作戦をやるためには遠距離から攻撃できる手段がいる。だから私は今必死に弓矢を作っているのだった。
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