え！？ゴ、ゴブリンですか、転生先!?最弱種族ゴブリンでも道具と知識を使えば格上の相手も殺せるんです。

8話（1）

　「う～ん！！おいしい！！」


　ゴブリンAちゃんは私のつくったクッキーモドキをおいしそうに頬張っている。まだ口をもぐもぐさせている状態なのに、どんどんクッキーモドキを手に取り口に詰め込んでいくからリスみたいだった。


　クッキーモドキはドングリモドキのアクを抜いて粉末状にしたものをこねて焼いたものだ。土器があるおかげであく抜きと、フライパンで焼くのと同じようなことができるようになったため作れるようになった料理である。まだまだ原始的で味付けもできてはいないが、彼女からの評判は良い。


　比較が木の実や草の根、虫なのだからそれもそうか。満面の笑みを浮かべるゴブリンAをみると、土器を作って良かったと思う。苦労した甲斐があったというものだ。手伝ってくれたお礼もできて大満足だ。


　それはそれとして、ちょっと食べ過ぎではないだろうか？喜んでくれているのは嬉しい。でもさすがに10人分をペロリというのは。・・・今日くらい、細かいことはどうでもいいか。


　頑張って作った土器は私の想像以上に村の生活を豊かにしてくれている。水を入れて火にかけることで煮ることができるようになり、今まで食べることのできなかったものの多くを食べられるようにしてくれたからだ。


　生か焼くか以外にも煮る、炊く、炒めるができるようにもなったから料理のレパートリーは大きく広がりいろいろ試せるようになった。まだ前世と比べてしまえば、おいしいものではないし、作れる種類もまだまだだけど。


　だが最初と比べればかなりマシにはなったと言えるだろう。そのまま虫や木の根を食べるよりも量も質も何倍にも向上したのだ。今はそれで十分だ。・・・・・・調味料、ほしいけど。


　他のゴブリン達もどうやら土器の便利さを理解してくれたようで、警戒することなく積極的に使ってくれている。クッキーモドキにも飛びついてくるし、けっこうかわいい。


　私の村での評判も、変人、正確には変ゴブリンから、変だけどすごいゴブリンにランクアップしたみたいだ。普通にうれしかった。でも変なのはついたままなんだ。ふ～ん。