泣き虫悪女さんの事情

冬愛Labo

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轟ルート5

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朝になり、私は轟家を出てバイトに向かう。轟は今日は別バイトの日だから一緒に行けない。
「店長、おはようございます」
「おはよう笹枝さん。今日は元気そうだね」
「はい、久しぶりにリフレッシュ出来ました」
安心している店長に話して、店の用意をすると一番最初のお客様は姉様だった。
「おはよう亜姫、昨日どうして帰ってこなかったの?」
「姉様、友達の家に泊まったんです」
「ずっと心配したんだよ?亜姫は私が居ないと何も出来ないでしょ?」
「そんな事ありませんわ。私は私で出来ます。姉様のお世話にはなりません」
「そんな事だから氷の女王だと言われるのよ。私は心配してるの」
「心配!?これの何処がですか?嫌がらせにしか見えません」
「ううん、亜姫が不良になったら困るからここは辞めさせるわ」
「なりません。お願いですから私の場所を取らないでください」
「亜姫の居場所は私の所だよ」
「姉様!!」
突然分からない持論を話し私を連れて行く姉様に戸惑った。店長はどうすることもできず私は家に連れ戻された。
「今日は反省して?亜姫は私のものなのよ。勝手な事しないでね」
「姉様!!」
「昨日泊まった家も突き止めたわ。バイト先の子ね。仕事辞めさせてあげるから」
「やめて、轟には手を出さないで」
「じゃあ、今から電話して。轟君とは会わないって。じゃないとお父様に頼んでからの仕事全部邪魔させるから」
「何を言ってるんですか!?姉様おかしいですよ!」
「私のものだったのに、私の引き立て役だったのになんで勝手に幸せになってるの?一生私の引き立て役にって私以外仲良くしたらダメ」
姉さんの脅威に私は震えを感じた。このままでは轟が危ないと感じた私は、スマホで轟に連絡をした。
「もしもし、笹枝?大丈夫か、さっき店長から電話が来て」
「御免なさい轟。私もうあなたと関わらない。あなたの事嫌いになったの」
「は?どう言う事?」
「そのままの通り、男の子って分かってガッカリした。だからもう2度と会わない」
「ちょっとま、」
私は全てを聞く前に電話を切った。涙を流しながら姉さんを睨むと嬉しそうに微笑んで人形を私に渡してくる。さっき言ったのは姉様の無邪気な本心なのだろう。
「これでいい?」
「うん、亜姫はずっと私の元にいてね」
「分かったわよ」
私は鎖に繋がれた気がした。一生こんな生活をするのかと思うと、嫌になる。
「あ、そう言えば大河君が会いたいって言ってたよ。勿論大河君には会わせれないから手紙を預かったわ。中身は真っ白だったから」
「中身みたの!?」
「私の亜姫に変な男がつくか心配だっただけよ」
「姉様!最低」
「あら~、そんなこと言わないで」
私は手紙を奪い取って中身を見た。イタズラなのか真っ白な髪が入っていた。
「ねぇ、真っ白だったでしょ?さてと私は行くわね」
部屋から出て行く姉様様を見て私は紙をすかした。
(文字が書いてある?)
私は鉛筆を取り出して擦ってみると「20時に裏口に」と言う内容が書かれていた。今は昼、夜まで時間があるからそれまで待つ。
「今は寝よう」
タイマーをセットして眠る。そして、20時が訪れるのを待った。
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