魔女の箱庭

うかびぃ

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二人って仲悪いの?

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「例えそうだとして僕が阻止するから!」
「そうだね。俺も遠慮願いたいかな。」

椅子をひっくり返して叫ぶレイル君に、よろしくない空気を纏い始めた殿下。室内の温度がガクッと下がった気がするのは気のせいじゃない。商会長や理事長の顔が真っ青だ。

「今回メドニエへは私とレイル君、メロの三人で行く予定です。殿下には万が一アルテナに何かあった時の為に此処に滞在していてもらいたいんです。」
「俺じゃサラの相手は務まらないと?」
「いや、なんの相手ですか…。トゥコーテンさんに言われたんですよ。戦力ダウンするから助けてもらえって。」
「あぁ、そんなの俺の部下置いとけば大丈夫だよ。」

そんなのって、アルテナの扱い雑じゃないですか殿下。住民の魔法行使レベルが高いから問題ないって爽やかに微笑まれても不安しかないのですが。
善は急げとばかりに手紙をしたためようとしている殿下をレイル君が睨みつけているのも怖い。誰か何とかしてくれ。
「真面目な話、此処との交易はヤシュカにとっても大事なのは確かだから、陛下も俺の部下を使うことに反対はしないと思うよ。寧ろ国から正式に寄越されそうだね。」
「だからといって殿下の手を煩わせるのは…。」
「王族の俺が居れば、そもそも向こうもサラ達に手を出すのが難しくなって安全だと思うけど?」

殿下の提案は嬉しいが、他国の王族を利用するのは如何なものか。本人が良くても、流石に陛下が許さないのでは?

「…メロはどう思う?」
「私はサラ様が安全ならロシュロール殿下が来ようがカイル様が来ようがどっちでも構いません。」
「そこは駄目って言ってよ…。そもそも、カイル様は死んだことになってるから無理だし。」
「サラ様第一主義ですので。」

メロなら穏便に事を治めてくれるかと思ったのに彼女も冷静ではないらしい。というより、私とレイル君以外は概ね殿下に賛成なようで、既に話し合いを進めていた。当事者抜きで勝手に決めないで欲しい。

「この後俺は一度ヤシュカに戻って陛下に報告してくるよ。許可はすぐ出るだろうから部下の編成が終わり次第こちらに来るようにする。まぁ、明日には到着出来るだろうから、サラはメドニエへ手紙を出しといてくれ。」
「…訪問の予定は?」
「3日後だ。その間に警備体制を整えて備える。」
「では私は交易課で打ち合わせが終了次第ヤシュカに戻って向こうの警備を見直します。」

殿下と商会長の言葉に頷けば、2人は足早に部屋から出ていった。打ち合わせに関しては私も参加した方がいいのかもしれないが、まずはメドニエの手紙を書かねばならない。護身用の魔道具作成と箱庭の結界の強化もしたいのだが、今日は徹夜かな…。

「サラは手紙を出したら帰るといい。交易課には俺が行こう。同行出来ない分それくらいの手伝いはさせてくれ。」
「カイル様は父の手伝いをしているのでは…?」
「スヴェン殿も把握しておいた方がいいだろう?まとまり次第サラの家に手紙を飛ばすから確認してくれ。」

そういってフィオナ様を伴って退出するカイル様は流石元王太子、オーラが出ていらっしゃる。父への説明も彼なら安心して任せられる。理事長さんとメロもちゃっかりそれに続き、残ったのは私とレイル君だけだ。

「レイル君はこの後どうするの?」
「うーん、サラの家で作戦かい「じゃ、また明日。」…早いなぁ。」

私の家にお邪魔する気な彼の言葉に被せて返答して部屋を出る。
まったく油断も隙もない。
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