前王の白き未亡人【本編完結】

有泉

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229 二人の夜(3) *性的な描写があります*

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「痛かったら言ってくれ。その……俺もここで繋がるのは慣れておらぬし、今しがたのお前の言葉で、余裕もあまりない」

 そしてそう言ったかと思うと、そっと白羽の窄まりに触れてくる。
 濡れた感触がしたのは、さっきまで触れられていた性器から溢れた体液だろう。白羽は密かに赤面する。
 だがそのおかげで、痛みはない。

 それは、指が遠慮がちに体内に挿し入ってきてからも同じで、レイゾンは丁寧過ぎるほど丁寧に白羽の身体を整えていく。

<ん……っ……>

 その細やかさは彼の愛情と優しさの表れのようで、胸が熱くなる。快感以上の快感が全身に広がっていくようだ。けれど同時に、まるで焦らされているようで、ジリジリしてしまう。

 身体が熱くなっているせいだろうか。靄がかかっているようにぼんやりしている視界の中、切なげに眉を寄せたレイゾン貌が見える。
 額に浮いた汗。
 乱れ落ちた髪。
 
 少しでもくっついていたくて身じろぎすると、不安そうな顔で「痛いか?」と尋ねられる。白羽は首を振ってレイゾンに口づけた。

<大丈夫です……。レイゾンさまに、もっと触れていたかった……だけで……>

「!」

 途端、レイゾンはグッと息を詰まらせるような顔をした。
 直後、

<あっ——>

「そういうことを言われると……我慢できなく……っ」

 切羽詰まったような声がしたかと思うと、それまで体内に感じていた異物感がなくなり、代わりにぐっと身体を折り畳まれる。
 間を空けずレイゾンがのしかかってきた。
 直前まで指で弄られていたところに、それまでとは比べ物にならない熱を感じた次の瞬間——。

<っァ……っ……!>

 大きく熱く硬いものが、グイと挿し入ってきた。
 その性急さと思っていた以上の圧迫感に、知らず知らずのうちに逃げるように身体がずり上がる。
 きつく抱きしめられた。

「白羽——すまない。少しだけ堪えてくれ……っ」

<……っ……ぁ……っ>

「もう少し……ちゃんと……ゆっくり時間をかけようと、思って……くそ……」

 最後の悪態は忙しなく繋がった自らに対してだろう。
 レイゾンは眉を寄せると、じわじわと腰を進めながら、白羽を宥めるように——苦しさを紛らわせてくれようとするかのように髪を撫で、幾度も口づけてくる。

<大丈夫……です……>

 白羽は肩で息をしながら言った。
 苦しくないと言えば嘘だけれど、でもそれよりも悦びの方がはるかに優っている。

 気持ちがいい。
 繋がっているところが。
 彼の熱さを感じているところが。
 触れられているところが。
 全身が——。

 誰かと身体を重ねて、こんなに嬉しかったことなどない。
 こんなに幸せだと思ったことなどない。

<レイゾンさま……>

 身体の奥深くまで彼を受け入れながら、白羽はその名を呼ぶ。
 それだけで涙が出そうだ。
 わたしの騎士——。
 
 彼の重みが心地いい。肌の香りが。体奥で脈打つ彼の情熱が。

「白羽——白羽……!」

<レイゾンさま——>

「愛している、白羽——。俺の白羽……白羽——」

<ぁ……あ、あ、ぁあっ……ァ……っ>

 揺さぶられるたび身体の奥から沸々と快感が湧き起こり、あられもない声が次々溢れる。
 羞恥はまだわずかに残っている。けれどそれよりもレイゾンを求める気持ちの方が勝る。
 彼の身体にしがみつき、律動を促すようにして自らも身をくねらせると、猛々しい肉茎がいっそう張り詰めるのがわかる。
 
「白羽……愛している……白羽——ああ……」

 より深くつながろうとするかのように腰をぶつけられ、中を抉られるたび、押し寄せてくる快感に頭の芯まで痺れるようだ。
 舌を絡め合い求め合う長い口づけに息が苦しくなることも、きつく抱きしめられ背が軋むような感覚を覚えることも何もかも気持ちがいい。
 
 抜き挿しされるたび、擦れ合う粘膜がグチュグチュと濡れた音を立てる。
 固くしこった乳首を再び弄られ、その強烈な快感に喉を反らして喘ぐと、今度はその薄い皮膚に跡がつくほど口づけられる。
 
 そして、ひときわ激しく突き込まれたとき——。

「ァ……っ!」

 部屋に響いた声に、レイゾンの動きが止まる。
 白羽も慌てて口元を押さえた。

(???????)

「……白羽……声が……?」

 混乱する白羽に、レイゾンは驚きと歓びの混じった顔で尋ねてくる。
 が、白羽は途端に真っ赤になると、直前の出来事を打ち消そうとするかのように首を振った。

 恥ずかしい。
 恥ずかしすぎる。

 今まで出なかった声が、よりによって……。

 だが、そんな白羽に対し、レイゾンは嬉しそうだ。
 白羽の両脚を抱えなおすと、さらに深くまで腰を進めてくる。

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