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204 王城へ
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◇
二日はあっという間に過ぎた。
レイゾンは、彼が言っていたように毎日忙しなく過ごしていたようだ。
ずっと出かけていたようだし、ほとんど眠ってないのではないだろうか。
サンファたちに見送られ、屋敷を後にして城に向かう軒車の中、白羽は静かにレイゾンの様子を伺う。
昨夜、気になって白羽が部屋を訪れてみると、彼は難しい表情で考え事をしているようだった。白羽の姿を見たらすぐに笑顔になったけれど……。気が休まっていないのはすぐに見てとれた。
登城を前にしていたためだろう。
『やれることはやった』と笑っていたけれど、その結果がどうなるかは全くわからないのだ。
最悪の場合は下命された通りにレイゾンは騎士ではなくなり、白羽はヨウファンの元に送られることになる。
想像して、白羽がつい顔を曇らせてしまうと、
『そんな顔をするな』
レイゾンが、白羽の肩を優しく叩いて言った。
『なんとかしてみせる。そのために、ここのところは苦手な話し合いや交渉ごとに勤しんだのだからな。きっと……なんとかしてみせる』
まるで自分に言い聞かせているかのような声。レイゾンもまた不安なのだろう。白羽はせめて励ましになるようにと願いながら、<はい>と深く頷いた。
<信じております。全て上手くいくように、信じております>
『ああ。……それと、お前の登城のことだが……』
<! はい>
『気持ちは変わっていないか。やはり行きたいか?』
<……はい。……あの……>
ご迷惑でしょうか……?
白羽は小さな声で尋ねた。
行きたい気持ちに変わりはない。行って——そして自分の心としっかりと向き合いたい。
けれどそのせいでレイゾンの気持ちを乱したり迷惑をかけてしまうのだとしたら、それは本意ではない。本末転倒だ。
そっと上目遣いで見つめると、レイゾンは『そんな顔をするな』と困ったように笑った。
『そんな顔をされると、なんでも叶えてやりたくなる。いや……元から叶えてやるつもりでいたのだが……少し不安もあってな』
<不安……?>
どき、と白羽は自分の胸が大きく鼓動を打った音を聞いた気がした。
白羽が城に行きたいと伝えた時もその後も、レイゾンはその理由を尋ねなかった。どうしてだろう思いつつ、訊かれなくてほっとしていたけれど、もしかして彼はその理由に察しがついていたのだろうか。
ティエンに会いに行くという、その理由に。
白羽の前の主であるティエンも、彼が眠る霊廟も、レイゾンにとっていい感情を抱くものではないことは承知している。
そこに赴くのは、やはり止めたほうがいいのだろうか……。
どきどきしながら、白羽はレイゾンの次の言葉を待った。すると彼は、
『お前の処遇が心配だ』
と、ポツリと言った。
『屋敷にいたままなら、万が一俺が騎士の任を解かれたとしても、そうそう強引な真似はされないだろう。人目もあるからな。だが城の中は……なにが起こるかわからない上に、なにが起こっても表沙汰になり難い。陛下が関わっているとなれは、なおさらだろう。それが怖くてな……』
語るレイゾンの面差しは、緊張していた。
二日はあっという間に過ぎた。
レイゾンは、彼が言っていたように毎日忙しなく過ごしていたようだ。
ずっと出かけていたようだし、ほとんど眠ってないのではないだろうか。
サンファたちに見送られ、屋敷を後にして城に向かう軒車の中、白羽は静かにレイゾンの様子を伺う。
昨夜、気になって白羽が部屋を訪れてみると、彼は難しい表情で考え事をしているようだった。白羽の姿を見たらすぐに笑顔になったけれど……。気が休まっていないのはすぐに見てとれた。
登城を前にしていたためだろう。
『やれることはやった』と笑っていたけれど、その結果がどうなるかは全くわからないのだ。
最悪の場合は下命された通りにレイゾンは騎士ではなくなり、白羽はヨウファンの元に送られることになる。
想像して、白羽がつい顔を曇らせてしまうと、
『そんな顔をするな』
レイゾンが、白羽の肩を優しく叩いて言った。
『なんとかしてみせる。そのために、ここのところは苦手な話し合いや交渉ごとに勤しんだのだからな。きっと……なんとかしてみせる』
まるで自分に言い聞かせているかのような声。レイゾンもまた不安なのだろう。白羽はせめて励ましになるようにと願いながら、<はい>と深く頷いた。
<信じております。全て上手くいくように、信じております>
『ああ。……それと、お前の登城のことだが……』
<! はい>
『気持ちは変わっていないか。やはり行きたいか?』
<……はい。……あの……>
ご迷惑でしょうか……?
白羽は小さな声で尋ねた。
行きたい気持ちに変わりはない。行って——そして自分の心としっかりと向き合いたい。
けれどそのせいでレイゾンの気持ちを乱したり迷惑をかけてしまうのだとしたら、それは本意ではない。本末転倒だ。
そっと上目遣いで見つめると、レイゾンは『そんな顔をするな』と困ったように笑った。
『そんな顔をされると、なんでも叶えてやりたくなる。いや……元から叶えてやるつもりでいたのだが……少し不安もあってな』
<不安……?>
どき、と白羽は自分の胸が大きく鼓動を打った音を聞いた気がした。
白羽が城に行きたいと伝えた時もその後も、レイゾンはその理由を尋ねなかった。どうしてだろう思いつつ、訊かれなくてほっとしていたけれど、もしかして彼はその理由に察しがついていたのだろうか。
ティエンに会いに行くという、その理由に。
白羽の前の主であるティエンも、彼が眠る霊廟も、レイゾンにとっていい感情を抱くものではないことは承知している。
そこに赴くのは、やはり止めたほうがいいのだろうか……。
どきどきしながら、白羽はレイゾンの次の言葉を待った。すると彼は、
『お前の処遇が心配だ』
と、ポツリと言った。
『屋敷にいたままなら、万が一俺が騎士の任を解かれたとしても、そうそう強引な真似はされないだろう。人目もあるからな。だが城の中は……なにが起こるかわからない上に、なにが起こっても表沙汰になり難い。陛下が関わっているとなれは、なおさらだろう。それが怖くてな……』
語るレイゾンの面差しは、緊張していた。
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